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プロローグ
今日からなっちゃんはすずちゃんになった。
一九四六(昭和二十一)年の初夏。戦災孤児の奥原なつ(九)は父の戦友の柴田剛男に連れられ、北海道・十勝にやって来たところからNHK朝ドラ『なつぞら』は始まった。なつと剛男の父・泰樹の関係がたまらない。朝から号泣させられる。
子牛が逆子で生まれた。ホルスタインの赤ちゃん。当然だがかわいらしい。動物の赤ちゃんはすべからくかわいいのだ。こんなドラマを見ていると酪農に興味をもつ人もたくさんいるだろう。そんなことを考えながら、日課の朝風呂に入った。四十一度のお湯に十分浸かる。浸かりながらさっき見た子牛のことを考えていた。
「牛飼ってみたいな」
新興住宅地の中の一戸建て、小さな庭はあるものの当然不可能である。田舎に家はあるが、親父が亡くなって、今は誰も住んでいない。
「でも、あの白と黒のブチ。いいよなあ」
「ポメラニアン位の大きさならなんとか飼えるのに」
今こんなことを考えている人間は私だけではないだろう。




