衣類で作った白旗
やはり、今度の戦争でも日本は負ける。
小さい上に弱いから負けるのである。
北海道、沖縄は完全に制圧された。
敵は日本の権力者が集まる東京都に向かって進軍していた。
首都での決戦などにはならない。
敵の姿を肉眼で目視することになれば、権力者は我が身を惜しんで即座に投降する手筈なのだから。
首都から遠く離れた山中に、疎開した人間が集まる村があった。
不思議な事にそこの村には子どもしかいない。
大人は子どもを置いて逃げた。
少しでも自分たちが生き残れる確率を上げようと、荷物になる子どもを捨てたのだ。
「これで全部?」
「たくさんあるなぁ」
子どもたちは白い衣類を集めていた。
「これは使える…これはいいや」
真っ白な服はビニールシートの上に放り投げ、少しでも色がある物は地面に投げた。
黄ばんでいる程度の物はシートの上に投げられた。
「糸、足りるかな?」
器用な子どもたちはボロボロになった靴を脱いで、シートの上に移った。
それから、糸を使って白い衣類を縫い付けた。
この村にはミシン以前に、そもそも電気が通ってなかった。
子どもは見捨てられたなどとは知らず、この村で大人の帰りを待っていた。
「おじさんたち、いつ帰って来るのかな…」
「死んじゃったんだ。帰って来るわけないよ」
「そんな事言わないでよ!忙しいだけだよ!」
いや、これに関しては人それぞれの考え方があるか。
子どもたちは白い衣類を縫い合わせると、山肌に貼り付けるように垂らした。
「完成だ!」
子どもたちは白旗を作ったつもりでいた。
戦争を望まない子どもたちは、何かきっかけがあって白旗という存在を知った。
それを掲げれば降伏したと認識されて、撃たれることはない。
降伏した後にどんな事が起こるかは分からないが、死ぬよりかは絶対に良いという考えから、製作に至ったのだ。
「余った服で私たちが振る分も作ったよ!」
さらに小さな旗を作った。
当人たちにそのような狙いはないが、本命の大きな旗に加えて子どもたちが白旗を掲げることで、敵の軍人に同情させやすくなるだろう。
数日後、東京都に向かっていた敵国の部隊が村に訪れることになる。
見張りに出ていた子どもは慌てて村に戻り、部隊の接近を告げて回った。
「いいみんな!?白旗を揚げていれば撃ってこない!絶対に反抗とかしないでね!」
硬い靴底を鳴らして軍人が進む。
戦車は履板で小石を潰した。
子どもたちは大きな白旗の元に集まって、手に持った小さな旗を掲げる準備ができていた。
そして遂に、子どもたちは部隊と接触した。
ライフルや戦車に怯えた子どもたちは何も言わず、撃たれないことを願って白旗を振っていた。
軍人はライフルを構えたままだった。
まだ警戒しているのだろうか。
「くぁzxsw!」
敵である日本語を使う道理もなく、軍人は祖国の言葉で会話を始めた。
「何喋ってるんだろう」
「黙って」
「…えdcvfr!」
すると軍人はライフルを降ろして子どもたちに近付いた。
自分たちは助かる。
誰もがそう確信した。
軍人の動きは妙だった。
白旗を掲げた子どもに近付きながら、ズボンのベルトを外しているのだ。
「tgbんhy」
戦争の中で色々なものが溜まった。
その中で特に、性欲というものはどうしても発散しづらいものだ
男でも女でも、子どもでも老人でも構わなかった軍人は、遂に見つけた幼い子どもたちに、溢れ出そうな性欲をぶつけた。
子どもたちが作った白旗は野外での性交のためにシート代わりとなった。
悲鳴がうるさい子どもがいれば、口を縛って黙らせた。
旗は汗をはじめとした体液を吸って、あっという間に湿っていった。
「うわあぁぁぁ!」
子どもたちは逃げ出した。
「うjmきおlp!」
軍人は拳銃を抜くと躊躇なく発砲して足を撃ち抜いた。
白かった旗に赤が加えられた。
血を流していようと構わず、軍人は欲を満たし、溜まっていた性を発散した。
無情と無法を焼べた戦火の中に訪れた、至福の時であった。
村の子どもは全員、餌食となった。
軍人はもう立ち上がることのない子どもをその場に残すと、気を引き締めて東京都への進軍を再開したのだった。




