Day 4
午前5時47分、医務室から急報が入った。
助手のリュウが高熱と咳を訴え、吐血しているという。
ラボに駆けつけると、彼の顔は青白く、唇の端には乾いた血がこびりついていた。
血液検査を急ぎ行うと、ウイルスは間違いなくWZ-34株に一致。
さらに検査を進めると、炎症性サイトカインの異常な高値が検出された。
IL-6、TNF-α、インターフェロンγ。
まるで免疫システムが暴走し、体が自己攻撃を受けているかのようだった。
この症状は――出血熱のそれに酷似していた。
皮膚には紫斑が広がり、下血の兆候も見られ始めている。
肝機能も急激に悪化し、DIC(播種性血管内凝固症候群)の疑いがあった。
その頃、陳はいつも通り冷静だった。
彼は封じ込めのために動いているが、その顔は時折険しく、どこか複雑な様子を見せていた。
私はそれを見て、彼がただの「封じ込め役」ではないことを感じていた。
「月俣……」
陳が小声で言った。
「このままでは、封じ込めは成功しない。だけど、今は耐えるしかない」
彼の目は真剣だった。
「俺たちは、この研究所の中でできることをやる。だが、月俣、お前だけは外へ真実を伝えてくれ」
私たちは互いに背中を押し合った。
たとえ立場や意見が違えど、目指すべき未来は同じだ。
だが、ラボの封鎖は日増しに厳しくなり、自由な情報交換は難しくなっている。
それでも陳は、私が外部へ情報を発信できるよう、陰ながら手助けを続けてくれていることを私は知っていた。
助手の容態が悪化する中、研究所内は緊迫感に包まれていた。
「もう、封じ込めに固執していても時間の無駄だ」
私はついに心を決めた。
「ウイルスの鎮圧は理想だが、現実はそれを待っていられない。治療薬の開発に全力を注ごう」
陳は無言で頷いた。
彼の表情には覚悟があった。
「そうだな。治療薬ができなければ、多くの命が失われる」
彼はラボの冷蔵庫から一瓶の未公開薬剤を取り出した。
「これは、他のウイルス用に試作されていた抗ウイルス薬だ。まだ臨床段階だが、WZ-34に効果があるかもしれない」
「時間がない。すぐに試験を始めよう」
私は決意を固め、助手に指示を飛ばした。
研究所の灯りは、夜を越えて朝日を迎えるまで消えることはなかった。
絶望の中で、私たちは希望の火を絶やさずにいた。
午前5時47分、助手のリュウが高熱と咳、吐血で倒れ、検査の結果、WZ-34ウイルスに感染し、出血熱に似た重篤な症状を示していることが判明した!
免疫の暴走や肝機能障害も見られ、状況は非常に深刻だった!
陳は冷静に封じ込めを続けつつも、月俣に外部へ真実を伝えるよう頼み、互いに支え合う。一方で研究所は封鎖が厳しくなり、情報の自由なやり取りは困難になっていた.....
月俣は、ウイルスの鎮圧を待つ余裕はないと判断し、治療薬の開発に全力を注ぐ決意を固める。
陳も未公開の抗ウイルス薬を用意し、すぐに試験を始めることを決めたのだ!
研究所では絶望の中でも希望を失わず、夜を越えて治療薬開発に挑む日々が続いている。