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4.ギルド通りと、繋がる縁

翌日――

ユウとフェルは、テレミアの中央通りを歩いていた。


ここは「ギルド通り」と呼ばれる地区で、冒険者、職人、商人たちが店舗や仕事場を構えるにぎやかな一角。

王都のような華やかさはないが、実直な気風と職人魂にあふれた活気のある街だ。


「……なんだか、懐かしいな。この道、昔、兄さんたちの買い物に付き合って歩いた」


「うん、でも……今は、ユウが自分で歩いてる道、だね」


フェルの言葉に、ユウは小さく笑った。


ふと立ち寄った小さな店で、道具の手入れを頼んだり。

街角の屋台で、スパイスの効いた軽食をふたりで頬張ったり。

ほんの些細な出来事のひとつひとつが、ユウの心に静かな喜びを灯していく。



そんな中――


「おおっ、兄ちゃんたち、あのときの旅人じゃねぇか!」


懐かしい声に振り返ると、そこには以前に世話になった鍛冶屋「ベルナ工房」の職人ベルナの姿。

セレヴァールからたまたま仕入れに来ていたらしく、まさかの再会だった。


「おぉ、あん時の“仮面のノール”!……じゃなくて、今は“素のユウ”か?」


「えぇ、まぁ。仮面の方は……ちょっと事情があって」


「いいんだよ、そんなの。あのときのお前の仕事は、ほんとに見事だった。忘れちゃいねぇさ」


ベルナはそう言って、ユウの肩をポンと叩いた。


「人ってのは、どこで誰に見られてるかわかんねぇ。……でも、良い仕事をしてれば、ちゃんと“誰か”が見てる」


その言葉が、ユウの胸に深く染み込んでいく。



夕暮れ――

ふたりはギルドに顔を出し、軽い報告とあいさつを済ませた。

そしてその帰り道、フェルがふと思い出したように言った。


「ねえ、ユウ。あの人――ベルナさん。“仮面のこと”には、なにも触れなかったね」


「うん。たぶん、察してたんだと思う。……でも、全部じゃなくて、“必要なぶんだけ”」


「そういうのって……やさしい、ね」


「うん。……すごく、やさしい」



夜。

宿の窓から見下ろす、街の灯り。

淡い光が、まるで“つながる縁”のように、遠くまで連なっていた。


ユウは静かに、ひとつ息を吐いた。


「この街にも、少しだけ……帰ってこられた気がする」


フェルは隣で、そっとその言葉を噛みしめるように頷いた。


「……おかえり、ユウ」

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