2.王都へと続く道
セレヴァールの朝は、やわらかな陽の光に包まれていた。
朝食を終えたユウとフェルは、身支度を整えて、そっと宿を後にする。
「さあ、エリオンまで、あともうひと踏ん張りだ」
「もふっ(おー!)」
フェルのしっぽが、期待にふわっと揺れた。
◆旅路の1日目:丘を越えて、小さな村へ
道は穏やかな丘を抜け、小さな農村へと続く。
ふたりが受けた依頼は――
その村で使われている“魔力式の農具”の簡単な点検と、ギルドからの配送物の引き渡し。
「この農具、魔力が滞留してるな……補助魔法で流れを整えてみよう」
ユウは手早く魔力を調整し、道具の反応をチェック。
フェルはその間、農家の子どもたちに囲まれて“もふもふ対応”中。
「ふわふわだ~!」「あったか~い!」
「……しっぽ、そんなにさわると……くすぐったい、のに……」
もふもふ担当としての活躍は、もはや安定感すらある。
◆旅路の2日目:都市の気配と、心の準備
翌日。
再び歩き出したふたりの前に、徐々に“石造りの道”が増え、
街道の脇には華やかな露店や旅人の姿が目立ち始める。
「……エリオンが近いね」
「……うん。なんか……空気が、ちょっとキラキラしてる」
「そうだな。きっと、いろんな人の想いが集まる場所なんだろうな」
歩きながら、ユウはフェルの頭を優しく撫でた。
緊張よりも、どこか“楽しみ”が勝っていた。
◆王都・エリオン、到着
夕方――
ついに、王都が姿を現す。
高くそびえる城壁と、空に向かってそびえる尖塔。
魔導灯が並ぶ石畳の通りに、音楽と笑い声がこだまする。
「……でかい」
「うん、これが……王国の心臓部だよ」
その大きさに、フェルのしっぽもふるふると震えていた。
◆ギルド報告と宿屋チェックイン
王都ギルド支部は、さすがの規模。
広々としたロビーに、各専門ギルドの受付が並び、冒険者も職人も商人もひしめき合っていた。
ユウは冒険者証を提示し、依頼報告を行う。
「セレヴァール経由で……配送と点検ですね。はい、確認できました。お疲れさまです」
慣れた口調の受付嬢に、ユウは軽く会釈する。
その足で、ふたりは王都中心部の宿へと向かった。
◆夜、窓の外に灯る光
その夜。
宿の部屋の窓から見える王都の夜景は、まるで宝石の海のようだった。
「すごいね……こんなに光があるの、はじめて見たかも」
「……うん。ここで、何かが始まりそうな気がする」
フェルはユウの隣で静かに横たわりながら、
いつもより少しだけ早く、目を閉じた。




