20.階段の、その一段上へ
「……さて、行こうか」
朝の空気は少し冷たく、でも澄んでいた。
ユウは静かに立ち上がり、宿の食堂でパンと果実のスープを口にする。
緊張していないわけではない。けれど、心は落ち着いていた。
冒険者ギルド・エリオン本部。
受付カウンターの前で、昨日の女性受付が出迎えてくれた。
「おはようございます、ユウ=アルフェンさん」
「では本日、Dランク昇進試験について、簡単にご説明しますね」
■昇進試験の説明
◆ 試験内容(ユウ向け・個別調整):
実技①:解析魔法を用いた古代遺物の安全処理
実技②:簡易罠の解除と再設置
実技③:小型魔物の対応と報告記録作成
「王都での試験は、必ずしも戦闘だけじゃありません」
「“総合的な対応力”と“報告精度”を重視しています」
ユウは、小さくうなずいた。
■昇進試験の説明
試験官は3人。ギルド本部職員と、外部観察員。
「では始めましょう――まずは、これを“安全に処理”してみてください」
テーブルに置かれた古代遺物。魔力が微かに漏れている。
ユウは魔力視を展開し、解析魔法で構造を視認。
魔素の揺れを封じるため、即席で創造魔法による魔力封鎖具を生成。
「……処理完了しました」
続く罠解除試験では、あえて複数の仕掛けを混在させた構造。
ユウは、解析で“本命”と“囮”を見抜き、罠を無効化。
最後の魔物対応では、実際の小型魔物(無力化済)に対して、
被害推定・捕獲手順・記録書類の作成を求められた。
ユウは全体を通して、“目立たず・でも確実に”試験をこなしていった。
■試験後・発表
試験室を出てしばらく。
名前が呼ばれ、ユウは再びカウンター前に立つ。
「ユウ=アルフェンさん、試験結果についてご連絡いたします」
「――Dランク昇進、正式に認定されました!」
手渡されたギルドカードには、新しく“D”のランクマークが刻まれている。
「おめでとうございます。これからは、より高難度の依頼も解禁されますね」
「ご無理はなさらず、でも、楽しんで活動してください」
ユウはカードを見つめ、小さく息を吐いた。
「……やっと、ここまで来たか」
今日という日を、ずっと忘れない。
そう思いながら、ユウはギルドを後にした。




