アフタートーク:星空の下の宴
(再び失われた星々のサロン。中央にある円卓には、湯気を立てる豪華な料理や、デザート、そして各々の好みの飲み物が豊かに並べられている。照明も暖色系に変わり、リラックスしたムード。)
あすか:「皆様、長時間にわたる白熱の議論、本当にお疲れ様でした!」(にこやかに拍手する)「ここからは、ノーサイド!アフタートークの時間とまいりましょう。皆様には、それぞれの時代やゆかりの地の『味』をご用意いただきました。ぜひ、互いのお料理を楽しみながら、語らいの続きをどうぞ」
あすか:「まずは…これは壮観ですね!始皇帝陛下、こちらの美しい点心とお料理は?」
始皇帝:「ふん、宮廷の料理人が腕によりをかけたものよ。まあ、食してみよ」(相変わらず尊大だが、どこか機嫌が良さそうにも見える。自身も黄金色の杯を片手に、優雅に点心をつまむ)
トクヴィル:「おお…これは見事な細工ですな。味も実に繊仕事で奥深い…」(感嘆しながら点心を味わう)
リンカーン:「滋味深いスープだ…身体に染み渡るようですな、陛下」
石丸:「これが二千年以上前の宮廷料理…!貴重な体験です」
あすか:「では次に、トクヴィル様。こちらは温かみのある煮込み料理ですね」
トクヴィル:「ええ、これはカスレといって、フランス南西部の郷土料理です。白いんげん豆と肉を煮込んだ、素朴なものですが…」(ワインを片手に説明する)「わたくしの故郷の味というわけではありませんが、地方の豊かさを感じられる一品かと。どうぞ、ワインとご一緒に」
リンカーン:「ほう、これは心も体も温まる。素朴ながら、実に味わい深い」(美味しそうに頬張る)
石丸:「豆と肉の旨味が凝縮されていますね。ワインによく合います」
始皇帝:「ふむ…なかなか悪くない」(意外にも素直な感想を漏らす)
あすか:「そして、リンカーン大統領。こちらは豪快ですね!フライドチキンにアップルパイ…アメリカの家庭の味、でしょうか?」
リンカーン:「はは、まあ、そういったところかな」(少し照れたように笑う)「戦場では質素なレーションばかりだったが、時にはこういう、故郷を思い出させるような力強い味が恋しくなるものだ。アップルパイは、妻のメアリーが得意でね…。バーボンも、気付けには良い」(バーボンを少し口にする)
石丸:「チキン、香ばしくて美味しいです!パイも甘さがちょうどいいですね」
トクヴィル:「なるほど、これが新大陸の家庭の味ですか…力強さと優しさを感じますな」
始皇帝:「(チキンを一口食べ)…ふむ、なかなか骨のある味よ」
あすか:「さて、石丸様!こちらは…見た目も鮮やかで、ソースの良い香りがしますね!」
石丸:「はい!これは『あきたかた焼き』と言います」(少し誇らしげに紹介する)「私が市長を務めていた広島県安芸高田市で、名物の広島風お好み焼きを元に、地元の食材を使って新しく考えられたものなんです。生地を薄く焼いて、キャベツや肉、そばなどを重ねて蒸し焼きにするのが特徴でして…どうぞ、熱いうちに召し上がってください!こちらは地元の日本酒です」
(石丸が小さなヘラで安芸高田焼きを切り分け、皆に勧める)
リンカーン:「ほう、これは面白い!色々な具材が層になっているのだな。…うん、美味い!ソースと具材の組み合わせが絶妙だ」
トクヴィル:「野菜の甘みと麺の食感、そしてこのソース…複雑で、しかし見事に調和していますな。日本酒も進みます」
始皇帝:(珍しく興味深そうに口に運び)「…ふむ。異国の味だが、悪くない。なかなか腹にたまるものよ」
石丸:「ありがとうございます!実は陛下…」(少し興奮した様子で切り出す)
始皇帝:「む?何だ?」
石丸:「陛下にご覧いただくことは叶いませんが、私の時代には『漫画』という絵物語のようなものがありまして、そこで陛下が主人公の『キングダム』という作品が大人気なのです!」
始皇帝:「まんが?きんぐだむ?朕が主役だと?馬鹿な…いや、まことか?朕の偉業が、どのように描かれておるのだ?」(驚きと疑い、そして少しの好奇心が入り混じった表情)
石丸:「はい!まさに中華統一を目指される、若き日の情熱的で、時には苦悩もされるお姿が…多くの人々の心を掴んでおります。もちろん、史実とは異なる部分もありますが、そのリーダーシップには皆、憧れておりまして…」
リンカーン:「ほう、それは面白い!絵で指導者の物語を伝えるとは、良い方法かもしれんな」
トクヴィル:「大衆文化を通して、歴史上の人物が身近に感じられるというのは、興味深い現象ですな」
始皇帝:「ふん…まあ、朕の偉大さが正しく伝わっておるのなら、良しとしよう」(まんざらでもない様子で、安芸高田焼きをもう一口食べる)
あすか:「ふふふ、まさかキングダムのお話が出るとは思いませんでした」(微笑ましく見守る)「皆様、お話も尽きないようですが…そろそろお開きの時間が近づいてまいりました」
(和やかな笑い声の中、それぞれが料理と会話を楽しみ、本編の緊張感はすっかり解けている。異時代の指導者たちが、食卓を囲み、人間らしい表情で語り合う、不思議で温かい時間が流れている)




