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瞬が監督!?

龍鳳高校体育館 ― 放課後

アップが終わり、全員がセンターコートに集まっていた。

中村陸がボールを軽く回しながら、いつもの淡々とした口調で言った。

「大会がもうすぐだからな。公式スタメン、今日で決める」

1年生たちが一斉に息を飲んだ。

「センター工藤」

工藤が首を軽く回す。「はいよ」

「パワーフォワード森」

森がポニーテールを払う。「うす」

「スモールフォワード俺」

「シューティングガード葉山」

葉山が小さくピースを出す。「了解」

「ポイントガード石橋」

石橋が拳を握る。「テンポは任せろ」

中村がぐるりと見回す。

「文句ある奴?」

誰も口を開かない。数人が軽く首を振るだけ。

中島(やっぱり1年はゼロか……)

レンジ(俺の名前が呼ばれるわけない……まだ何も証明してないし)

瞬(この5人なら本当に誰にも負けない気がする)

瞬がレンジをチラ見。(レンジ、大丈夫。絶対お前がデカい存在になるから)

中村はすぐに続ける。

「初戦が近い。これから練習はスクリメージ中心にする」

ベンチの方に視線をやって、指差す。

「西田、白根、佐藤、斎藤、山田。お前ら5人で俺たちとやる」

そして、何事もないように付け加えた。

「あと、田中。お前があいつらの監督な」

体育館が一瞬、静まり返った。

瞬(えっ!? 俺!? どうして!?)

中島がニヤニヤしながら背中を叩く。

「お前ならイケるって、マネージャー」

瞬「どこからマネージャー出てきたよ! 俺ジャージ着てんだぞ!?」

中村(さて、田中。どこまで見えているか楽しみだな)

斎藤がニコニコ近づいてくる。

「瞬、よろしくな」

山田が首を掻く。

「後輩に監督されるって変な感じだけど……お前ならできるって思うよ」

瞬(急に何だよ!? いきなり変な展開すぎる……)

「ちょ、待って待って! 俺ただのバスケオタクだし! こんなことになるなんて気の毒すぎるって!」

レンジが静かに口を開く。

「そんなこと言うなよ。瞬は気づいてないけど、いろんな形でみんな助けてくれてる」

残りの4人も小さく頷いて、優しい笑みを浮かべる。

瞬は大きく息を吐いて、頭を掻いた。

「……しょうがねえな。やるよ。けどボロ負けしても文句言うなよ?」

山田が笑う。

「誰も文句言わねえよ。な、みんな?」

全員が即座に頷く。

瞬の頬がちょっと赤くなる。

「わかった。やるからな」

斎藤が首を傾げる。

「で、作戦は?」

瞬(監督なんてやったことねえ……しかも相手があの化け物5人って鬼畜すぎる……)

「斎藤先輩、山田先輩、普段どんなポジションっすか?」

斎藤「フォワードがメインだけど、どこでも対応できるよ」

山田「俺も同じ。ポジション言ってくれれば合わせる」

瞬(本職のポイントガードいねえ……でもサイズは悪くない)

「ポイントガードやったことある人います?」

山田が手を挙げる。

「小学生のとき、体小さすぎて無理やりポイントやらされた。トラウマレベル」

瞬(俺と同じ理由じゃん)

「決まり。山田先輩がポイントで。斎藤先輩はシューティング。2人でバックコート組んでください。一番一緒にやってるコンビだし」

2人が拳を合わせる。

「りょーかい」

「健太、パワーフォワード。キツいけど森先輩に当たってくれ」

西田がガクッとうなずく。(マジかよ……森先輩に遊ばれる未来しか見えねえ)

「陸、SFで。自分のポジションでいい。中村先輩に好き勝手させんなよ」

佐藤が鋭く頷く。

「全力で抑える」

「レンジ、センター。工藤先輩と張り合えるのはお前だけだ」

レンジ「了解」

山田がニヤッと笑う。

「なんか知らんけど……勝てる気がしてきた」

斎藤も笑う。

「だよな。瞬のおかげだわ」

瞬「やめてくださいよ! プレッシャーしかかかりませんって!」

斎藤「ははは、悪ぃ悪ぃ。まあ、楽しもうぜ」

中島がビブスを持ってきて、先発は赤、瞬チームは黄色。

両チームがセンターサークルに並ぶ。

工藤がレンジを見下ろしてニヤリ。

「よぉレンジ。前回のジャンプボール、寝てた俺が悪かったな。今回は絶対取る」

レンジ「ただの運でした、先輩」

工藤「もっと燃えろよ。お前が本気じゃないとつまんねえだろ」

中島が二人の間に割り込む。(さすがに大きい……)

「21点先取、タイム無し」

ホイッスル。

ボールが上がる。

工藤が跳ぶ——

が、レンジが一瞬早く跳び上がり、バレーのトスみたいに前方へ弾き飛ばす。

佐藤が拾ってダッシュ。ほぼ速攻。

工藤(チッ。高さだけじゃねえ、初速もバケモンかよ)

葉山が後ろを振り返りながら茶化す。

「先輩、さっき何か言ってませんでしたっけ?」

工藤「うるせー! 守れ!」

西田が叫ぶ。

「陸、いけー!」

中村はもうバックコートにスライド済み。

「いつものパターンだ。甘えよ」

佐藤が一瞬止まる——瞬の指示が脳内再生される。

(瞬「レンジがティップ取るから、全員早めに走れ……」)

(ここで瞬が言ってたのは……レンジを待って、ロブだ!)

レンジが工藤を振り切ってゴール下へ突っ込む。

中村が叫ぶ。

「レンジだ! 止めろ!」

遅い。

佐藤がハイロブを上げる。

レンジが片手で掴んで、豪快に叩き込む。

2-0 黄色リード

体育館がどよめく。

中村が小さく笑みを浮かべる。

(田中……一歩先を読んだな。正直、予想外だ。面白い。もっと見せてくれ)

葉山が工藤の横を通り過ぎながら囁く。

「先輩、俺はちゃんとディフェンスしたんですけど……レンジのマーク誰でしたっけ?」

工藤の顔が真っ赤。

「次は絶対ねえからな!」

スクリメージが一気に熱を帯びる。

瞬チームが、いきなり先制パンチを決めた。

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