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路地裏と待ち伏せ

千葉の暗い路地裏 - 夜

遠くのネオンサインが影をギザギザに落とし、濡れたコンクリートに光が溜まる。ゴミが溝でカサカサと動き、湿った風が吹く。5つの影が迫る—黒崎悠真、天野龍司、狩野翔太、坂口鷹也、松岡剛が、獲物を囲む狼のように高橋達也に近づく。

高橋は龍鳳高校の制服でピンと立ち、190センチの体に反抗の目が燃える。「どうする?1対1か、一気に全員か?」

黒崎の笑みがゆっくり、危険に広がる。刃が光を捉えるようだ。「落ち着け、強え奴。そんな喧嘩したいか?」

高橋の唇がピクッと動き、苦い笑み。「何だ?土下座しろってか?靴でも舐めろ?冗談じゃねえ。」

坂口が一歩踏み出し、拳をポキポキ鳴らし、恨みを滲ませる。「悠真、俺にやらせろ。このガキ、さっきゲームセンターでやった分、やり返さねえと。」

高橋の笑みが意地悪に変わり、目が細まる。「お前が先に手出してきたんだろ、バカ。もう一発くらいたいなら、受けてやるよ。」

路地裏が静まり、緊張がピリッと張る。

黒崎の笑みは揺らがず、だが後ろに下がり、鷹のような鋭い目で見つめる。紺のブレザーが雨に濡れて揺れる。後ろで狩野が落ち着かず、片足でコンクリを叩く。松岡が拳を掌に打ち、動きを求めてウズウズ。天野は動かぬ柱のよう、192センチの体は読めず、目が影に沈む。

黒崎が首を傾け、声は滑らかだが鋭い。「まあまあ、馬鹿げた勇気は要らねえ。まず話そうぜ。」

高橋が鼻で笑う、声が鋭い。「話?お前が?やめとけ、黒崎。」

「度胸あるな。」黒崎の声、ほぼ賞賛だ。「認めるぜ。だが、度胸だけじゃいい結果にならねえ。簡単なことだ。龍鳳の体育館まで連れてけ。それで自由だ。」

高橋のあごが締まる、頭がフル回転。(なんで龍鳳にこだわる?何の企みだ?)「なんでそんなことしなきゃなんねえ?」

坂口が近づき、汗と安いコロンの酸っぱい匂いが漂う。「おい、協力しろよ。後悔するぞ。」

高橋の声、低く冷たく。「お前らの目的は知らねえ。龍鳳を巻き込むな。」

黒崎がさらに首を傾け、楽しげに、ネオンの下で目が光る。「難しくすんなよ。いい兄貴を傷つけたくねえんだ。」

その言葉が火花のよう。高橋がキレ、飛び出す—無謀な振りじゃなく、坂口の肋骨を狙った速く正確なジャブ。拳がドスッと当たり、坂口がうめいて後ずさり、脇腹を押さえる。

黒崎が一度手を叩く、静かで、ほぼ丁寧な音。「やるじゃん。戦えるな。だが、俺なら賭けねえよ。」

狩野が最初に動き、ガラス瓶をコンクリに落とし、ガシャンと割れ、破片が散る。松岡が低く滑り込み、捕食者の動き。天野、死のように静か、背後から迫り、影が高橋を飲み込む。

坂口が復活、野蛮な笑みを浮かべ、高橋の脇腹に肘を叩き込む。高橋の肺から空気が爆発、炎のような痛み。彼は折れ曲がり、喘ぐ。

高橋が体をひねろうとするが、狩野の足が踝を押さえ、巧みな突きで転倒。雨で滑るコンクリに倒れ、ズボンを通して冷たさが刺す。坂口の打った肋骨に鋭い痛みが咲く。

松岡が飛びつき、高橋をコンクリに押さえ、気楽に背中に座り、肩を押さえる。「じっとしてろ、ヒーロー。」

黒崎がしゃがみ、柔らかいが鋭い声。「こんな面倒にしたくなかった。選択肢は与えた。お前が俺らの仲間を殴った。だから次は俺らが決める。」

高橋がコンクリを引っ掻き、血を吐き、睨み上げる。胸に怒りが燃えるが、息は浅く、荒い。5つの顔が迫る—狩野の嘲笑、坂口のむき出しの歯、松岡の気楽なニヤつき、天野の無表情、黒崎の静かな獰猛さ。

坂口が膝をつき、拳をハンマーのように上げる。「早く決めろ、ガキ。今すぐ龍鳳に連れてけ。さもなくば大事なもん壊すぞ。顔でも手でも—なんでもな。」黒崎に視線、うなずきを待つ。

黒崎が立ち上がり、天気の話でもするように気楽に。「簡単にしろよ、お前。一晩協力すりゃ終わりだ。さもなきゃ龍鳳に俺らが来たことを覚えさせるぜ。」後ろに下がり、慈悲のふり、ネオンにシルエットが浮かぶ。

高橋の喉が動く、血が舌に苦い。(くそ…一人、血を流し、押さえつけられてる。やられた。)路地の冷たいコンクリが締め付け、夜はもう決まった。

黒崎の影が高橋の顔に伸び、雨音に声が漂う。「退屈になってきた。龍鳳に自分で行くか。歓迎されるかと思ったが、そうもいかねえな。」坂口にチラリ。「おい、鷹也、スマホで道引けよ。」

坂口がスマホをいじり、素早く頷く。「あ、ああ、了解。」

高橋、息切れ、頭がフル回転。(龍鳳で何を企んでやがる?)

龍鳳高校 - 近くの通り

数分後、龍鳳バスケ部が到着、足音が湿った夜に響く。高橋響が兄をコンクリに倒れているのを見つけ、血が唇に滲む。声が震え、必死。「お兄ちゃん!」

田中瞬が滑り止め、目を大きく、高橋のボロボロの姿を見る。「達也!何だこれ!?大丈夫か?」

高橋が体を起こし、うめき、肋骨を押さえる。「俺はいい。それより、アイツらが学校に向かってる。」

瞬の眉が寄り、キャップが傾く。「アイツら?誰だよ?なんで学校?」

高橋の声、荒く、切迫。「とんでもねえ奴らだ、瞬。早く止めねえと。」

響がリュックを握り、顔が青ざめ、口を挟む。「あの…バスケ部員だと思う。ゲームセンターでシュートしてた奴、めっちゃ上手かった。」

石橋春樹のトゲトゲ髪が揺れ、中村陸と視線を交わす。(とんでもねえ奴ら?バスケ部?)「中村、ひょっとして…?」

中村の鋭い視線が固まり、袖をまくった腕がピンと張る。「ああ、間違いねえ。」

工藤大知が後ろに立ち、影を落とす。「極円高校か?」

山田海斗と斎藤春人が一斉に、半笑いで叫ぶ。「それ、違うでしょう!」

工藤が目をパチクリ、戸惑う。「は?何?」

気まずい沈黙、チームが不安な視線、雨の音が響く。

中村が緊張を切り、声が堅い。「佐藤、中島、西田、交番に通報しろ。残りはアイツらを探す。遠くには行ってねえはずだ。」

高橋が咳き込み、顎の血を拭い、急ぐ。「ダメだ、頼む、通報すんな。俺もゲームセンターで殴った。カメラに映ってる。停学や退学はゴメンだ。」

響の目が大きく、声が小さい。(お兄ちゃん…)

中村が一瞬ためらい、頷く。「分かった。自分たちで何とかする。誰か、高橋と弟を家に連れてけ。」

高橋が首を振る、痛みで体を起こす。「俺は平気だ。一緒に行く。お前ら、アイツらの顔知らねえだろ。念のためだ。」

森啓太がポニーテールを直し、眉を上げる。「その必要ねえかもな、俺…」

5つの影が暗闇から現れ、足音が濡れた舗道に響く。高橋の息が止まる。(戻ってきた!?)

黒崎が前に出て、紺のブレザーが雨で光る、狡猾な笑み。「楽だったな。お前ら、龍鳳のバスケ部だろ?探してたぜ。」

中村が肩を張り、声が鋼。「何の用だ?」

黒崎の笑みが広がり、目に得意げな光。「やっぱりな。あのデカい奴見て直感した。」工藤を指す。「だから尾けてきた。あ、響、みんな連れてきてくれてサンキュな。」

響の拳が締まり、幼い顔が怒りと裏切りに歪む。「ゲームセンターでシュート見て、こうなりたいと思った。でも兄貴をやったこと、絶対許さねえ。KYだろうが関係ねえ!」

天野、狩野、坂口、松岡が集まり、鋭い囁き。

狩野がヒソヒソ。「ヤバい、またKYって言ってる。」

天野が松岡を睨む。「ったく、剛。『空気読めない』なんて言うからだ。お前が本物の空気読めねえだろ。」

松岡が頭を掻き、気まずく。「悪ぃ、こんなハマるとは思わなかった。」

坂口が目をパチクリ。「どういうことだよ?」

田中瞬、白根レンジ、葉山翔吾が素早く視線を交わし、「KY」に好奇心が湧く。

葉山が響に近づき、穏やかだが好奇心の声。「なあ、坊主。俺、今『KY』って言ったか?」

雨が強まり、ネオンがチカチカ、2つのグループが向き合い、空気がピリピリする。

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