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刻まれる秒数

龍鳳高校体育館

体育館の空気は重く、最後の数秒の重圧が充満していた。フリップ式の得点板が厳然と輝く:白陽56、龍鳳55、第四クォーター残り28秒。時間がコートを締め付ける。山田海斗(#9)がストップウォッチを握り、スコアラーズテーブルに立つ、その緊張した指が白陽に無言の警告を送る。龍鳳の紺と赤の「RYUHO」ユニフォームが必死の集中で動き、先輩—中村陸、葉山翔吾、森啓太、工藤大知—は黒田義樹、赤坂文也、青山雅人への誓いを胸に燃やす。白根レンジ(#15)、唯一の1年生が遠藤陸矢に張り付き、黒い瞳が決意に燃える。(1点差。1回のチャンス。) 白陽の白と黒の「HAKUYO」ユニフォームは冷静に構え、リードは脆いが計算ずく。

荒井直也(#4)、白陽のキャプテンがサイドラインでボールを握り、インバウンドの準備。鋭い目が揺らぎ、計算する。(23秒保持してシュート、残り2、3秒—試合終了。今攻めてミスれば、龍鳳に速攻のチャンス。) 遠藤の無謀な闘志が脳裏をよぎる、コントロールのリスク。(ミスは許されない。) 荒井の顎が締まり、(ここで決める。) と決意。タイムアウトを要求、笛が観客の熱狂的な叫びを切り裂く。


白陽ベンチ

白陽が集まり、汗が床に滴る。荒井の声が低く、力強く響く。「得点は不要。ボールを持って、残り数秒でシュートしろ。」視線がチームを貫き、譲らない。

遠藤陸矢(#10)はチャージングの痛手から顔を歪め、「ただ持つだけじゃねえ。白根に借りを返す。」190cmの体が緊張、レンジのブロックへの復讐で目が燃える。「最後のチャンスで潰す。」

荒井の視線は冷徹。「これはお前と白根の話じゃねえ。白陽対龍鳳だ。プランを守れ。」遠藤の顎が締まり、反抗がくすぶる。(絶対に仕留める、) と拳を握る。

佐々木悠斗(#5)は185cmの体躯で静かに頷く。「荒井先輩が正しい。賢くやれば勝てる。」小林颯(#6)、細身で素早い、遠藤を見て落ち着かず、(熱くなりすぎだ、) と考える。後藤健司(#7)は唸る、「遠藤、しくじるなよ。」荒井の視線がチームのほつれた結束を繋ぐ。(時計が武器だ。)


龍鳳ベンチ

龍鳳のベンチで、中村がチームに向かい、灰色の目が落ち着きつつも切迫。「白根、聞け。試合時計は28秒、ショットクロックは24秒。ショットクロックは白陽に24秒以内にシュートを強いる、さもなくばボールロスト—シュートやターンオーバーでリセットされる。たぶん持って遅く撃つ、残り2、3秒。リバウンド取られたら終わり。スティールかミスを誘えば、1回のシュートで勝てる。時間は厳しい。」

レンジの黒い瞳が見開き、プレッシャーが染みる。(時計と戦う?) バレーでは最後の点まで試合は生きていた、点差関係なく。だがバスケの秒数は希望を絞る。24秒のショットクロックは白陽に行動を強いるが、遅いシュートは龍鳳に時間をほぼ残さない。(まるで2回目のタッチで得点しないとラリーを失うみたいだ。) バスケの容赦ない時計はバレーで感じたことのない獣。(これがバスケの苛烈さだ。)

中村の声が鋭くなる。「全力でプレス。ターンオーバーを誘え。白根、遠藤を抑えろ—息もさせんな。工藤、ペイントを封鎖。森、葉山、ボールをトラップ。カオスを起こせ。」視線がレンジを刺す。「前も止めた。またやれ。」

森はポニーテールを直し、ニヤリ。「ガタガタにしろ、レンジ。ミスらせろ。」工藤は拳を鳴らし、頷く。「簡単なシュートはなしだ。」葉山の緑の目が光る。「1回のスティールで逆転だ。」レンジは頷き、心臓が目的で鳴る。(俺は時間と戦ってる。)


龍鳳高校体育館

笛が空気を切り裂き、試合が再び吠える。白陽がインバウンド、龍鳳が群れでプレス。荒井が後藤にロブ、半コートを越え、スニーカーがキーキー鳴る。ウイングで荒井がボール、中村にマークされ、姿勢は計算ずく、目が走査。(時計を削れ。) 山田のストップウォッチは残り22秒、ショットクロック18秒—4秒差。

森、後藤をマークし、中村と荒井にダブルチーム、圧力は容赦ない。荒井の読みは鋭く、トラップ前に後藤へパス。葉山、173cmで執拗、後藤をカバー、コーナーで小林を開ける。後藤は読み、ロブを葉山の伸ばした腕—届かない高さ—に放つ。小林がキャッチ、ゴールに目をやる。(ドライブ?) 荒井の指示が響く。(安全に。) ドリブルで秒を消費。

龍鳳のディフェンスが整うが、時間は逃げる。試合時計10秒、ショットクロック6秒、中村が叫ぶ、「まだ終わってねえ!」森と中村が荒井に迫るが、彼は冷静、工藤にマークされた佐々木へポストにパス。佐々木、185cmの筋肉、工藤をゴール下で押し込むが、工藤、198cmの要塞、微動だにせず、白陽に緊張が高まる。(抜けねえ、) 佐々木が思う。

ショットクロックが迫り、佐々木が左にフェイク、遠藤が鋭くカットイン、レンジを不意に。工藤は佐々木から離れ、遠藤のロブやインサイドの簡単なシュートを防ぐためリムを守る。佐々木、遠藤にパスしようとしたが、工藤の動きで自分がフリーに。(チャンス!) ためらい、変な角度からフェイダウェイ、ボールはリムを叩く。

レンジがリバウンドに突進、バレーの本能で高く跳ぶ。だが工藤が上を制し、空中でボールを掴み、ニヤリ。「リバウンドは俺の戦いだ、レンジ。」レンジは着地、胸が喘ぎ、工藤が速攻に備える。

ベンチから、瞬のヘーゼル色の目が細まる。(何か変だ。) 工藤が走る葉山へロングパスを放つと、瞬の声が騒音を裂く。「待て、工藤先輩!」遅い—ボールが飛ぶ。遠藤の運動能力が炸裂、邪悪な笑みで空中でパスを奪う。体育館が凍り、観客の息が止まる。

瞬の叫びが静寂を砕く、荒々しく必死。「ファウル!!!」

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