表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

反撃

レンジの心、 白陽の反撃にドキドキだ! 耐えられるか?

龍鳳高校体育館

第四クォーターの体育館は、緊張感で張り詰めていた。白陽のベンチでは、コーチがホワイトボードを手に立ち上がり、第三クォーターで一点も取れなかった苛立ちの嵐を静めた。ハーフタイム以来得点がない重圧が、チームにのしかかっていた。

「落ち着け」とコーチが言った。声は穏やかだが、力強さに満ちていた。選手たちが顔を上げると、彼は続けた。「俺はお前らが気づくのを待ってたが、その様子はないな。相手を見ろ。一年生と初心者だぞ。」その言葉が突き刺さり、新井、佐々木、小林、後藤が拳を握り締めた。遠藤は歯を食いしばり、心の中で呟いた。(俺たち、何やってんだ……)

コーチはホワイトボードに2-3ゾーンの図を描き、佐々木に視線を向けた。「ゾーンの中間が弱い。佐々木、ハイポストにポジションを取れ。あの新人――レンジが動かなければ、ミドルレンジからジャンパーを打て。選択を迫れ。」佐々木が頷き、決意のこもった目でコートを見た。

コート上では、白陽の戦略が形になり始めていた。佐々木がハイポストに滑り込み、フリースローラインの少し上で龍鳳の2-3ゾーンに隙間を見つけた。レンジはペイントを固め、中央のディフェンダーとして迷った。(佐々木に近づくか? 遠藤を抑えるか?)遠藤がリム近くで待ち構え、脅威となっていた。レンジは遠藤を見据えたまま動かず、佐々木がフリーでジャンパーを放った。ボールがネットを揺らし、スコアが34対32に。龍鳳のベンチから西田が呟いた。「調整が遅れた……」ゾーンのトップにいたシュンが顔をしかめ、次は佐々木に詰め寄る決意をした。

コーチの声が再び響いた。「レンジが動かなければ、中間を攻め続けろ。佐々木、次はカバーに来た奴をポストアップして、ゾーンを崩せ。」次のポゼッションで、佐々木が再びハイポストに陣取った。ゾーンのトップからシュンがステップダウンしてカバーに入り、ペリメーターが一瞬開いた。佐々木はシュンをポストアップし、サイズの優位性を活かしてフェードアウェイを放った。ボールが綺麗な弧を描き、ネットを通過。36対32。シュンが舌打ちし、苛立ちが募った。(俺じゃ止められねえ……)遠藤がニヤリと笑い、レンジに低く言った。「ゾーン、ボロボロだな、新人。」

ハドルの中で、コーチが話を続けた。「レンジが佐々木を止めに来たら、遠藤、リム近くにいろ。佐々木、ロブを投げろ――お前なら取れる。龍鳳にそんなサイズはいない。」コート上では、3回目のプレーが始まった。佐々木が再びハイポストにポジションを取ると、レンジは前の2回のシュートに圧され、佐々木にステップアップし、遠藤がリム近くでフリーになった。ゾーンのウィングにいた中島と佐藤が慌ててカバーに入ったが、佐々木がレンジの腕を越える完璧なロブを放った。遠藤が跳び上がり、ボールを宙で掴み、力強くダンク。38対32。中島が小さく呟いた。「やられちまった……」佐藤の冷静な表情が崩れ、顎が引き締まった。(ローテーションが遅い……)遠藤が着地し、レンジを指差してニヤリ。「言ったろ、選べよ。」

コーチが話を切り替えた。「攻撃では、奴らは何も持ってない。速攻に頼ってるだけだ。逆に利用してやれ――リバウンドを取って、止めるたびに速攻だ。小林、スピードを使え。後藤、一緒に走れ。新井、パスを出す。お前ら三人なら、あの一年生より上だ。速攻を止めようとしても、バラバラにしてやれ。」

白陽の反応は即座だった。龍鳳のシュートミス後、小林がコートを駆け抜け、新井がバックコートから鋭いパスを送った。後藤が続き、龍鳳のディフェンスを切り裂いた。小林がドライブし、ディフェンダーを引きつけ、後藤にパス。後藤が無人のレイアップを決めた。40対32。中島がポジションを外され、拳を振り下ろした。「速すぎる!」ディフェンスを整えようとした石橋が叫んだ。「戻れ!」だが手遅れだった。白陽側では、新井がプレーを見ながら静かに頷いた。(これが俺たちのリズムだ。)

観客のざわめきが大きくなり、勢いの変化が空気を圧迫した。龍鳳のベンチは白陽のランに押され、選手たちの表情が硬くなった。中村がタイムアウトをコールし、体育館の騒音を切り裂いた。彼は一年生たちを集め、灰色の瞳が鋭く光った。「2分間、持ちこたえろ。できるだけペースを落とせ。」一年生たちは視線を交わし、現実を悟った――白陽の勢いを止めることはできない。抑えるしかない。中村は葉山、森、工藤に向き、自分も加わりながら言った。「準備運動とストレッチを始めよう。俺たちの出番だ。」彼は仲間と共にストレッチを始め、動きに確信がこもっていた。中村、葉山、森、工藤が共に準備する姿が、一年生たちの胸に火をつけた。先輩たちを失望させるわけにはいかない。彼らはカムバックの舞台を整え、試合を届く範囲に保つ時間を稼がねばならなかった。レンジは肩に重い責任を感じ、黒い瞳が細まった。(ここで終わらせるわけにはいかねえ……先輩たちがプレーする前に。)

龍鳳高校近くのスポーツショップ

スポーツショップでは、市川結衣がカウンターを握り、スコアが40対32と表示された生配信を見つめていた。心臓が沈んだが、彼女は小さく呟いた。「頑張れ、レンジ……まだ諦めないで。」店の静かな音が消え、画面に集中した。(みんな、レンジを頼ってる……負けられないよ。)

龍鳳高校体育館

ホイッスルが鳴り、試合が再開した。シュンがボールを運び上げ、小林の素早い足が執拗に追い詰めた。ハーフコートライン近くでトラップされ、シュンは石橋に何とかパスを押し込んだ。ショットクロックが迫る――残り10秒。龍鳳はクリーンなシュートチャンスを見つけられず、動きが慌ただしくなった。石橋が佐藤にボールを振ると、佐藤がディフェンスの隙間を必死にドリブルで突いたが、後藤の執拗なプレッシャーに阻まれた。スペースがない中、佐藤は外のラインで中島にキックアウトしたが、小林が稲妻のような速さでカバーした。中島はシュンが3ポイントラインで大きく空いているのを見つけ、残り2秒でパス。シュンの頭がフル回転し、ヘーゼル色の瞳が鋭くなった。(ここで決めなきゃ……先輩たちに尻拭いさせられない。)シュートを放ち、新井がカバーに遅れた。ボールが弧を描いて飛んだが、レンジはその軌道を見て、落ちないと直感した。本能的にリバウンドの位置を取り、ボールがリムに当たって跳ねた瞬間、跳び上がって両手で確保した。素早く中島にパスしたが、中島のシュートは慌てて放ったもので、エアボールに。レンジは即座に反応し、バレーのトスのようにボールを宙で佐藤に向かって弾いた。

シュンの声が混沌を切り裂いた。「落ち着け! 時間を削るんだ――俺たちの仕事は試合を遅らせることだ!」石橋をマークしていた新井がその言葉に眉をひそめた。(時間を遅らせる? 負けてるのに……何を考えてる?)彼は龍鳳のベンチに目をやり、中村、葉山、森、工藤がストレッチをしているのを見た。理解が閃き、小さく呟いた。「なるほど……それが作戦か。やっと出てくるんだな。」彼はチームメイトに向き、鋭い声で言った。「時間を稼いでるぞ――息つく暇を与えるな!」白陽の選手たちが頷き、動きが揃って佐藤をサイドライン近くでトラップした。佐藤はボールを失いそうになり、震えるパスで石橋に押し込んだ。ショットクロック残り5秒――石橋が必死のジャンパーを放ったが、レンジが再び跳び、バレーのスパイクのようにボールを宙で弾き返した。白陽のコーチがベンチから叫んだ。「ボックスアウトしろ!」ボールが跳ね、シュンの手に落ちた。

シュンはボールを強く握り、頭の中でショットクロックを数えた。(14秒……1秒1秒が大事だ。)白陽がさらにプレッシャーをかけ、まるで負けているかのように群がった。(10秒)とシュンが思い、石橋にパス。(5秒)。石橋がクロスコートパスを中島に送り、残り2秒。シュンが叫んだ。「打て! リムに当てろ!」中島は震える手でシュートを放ったが、エアボールに。ホイッスルが鳴った――ショットクロック違反。中島が首を振って呟いた。「ごめん……」石橋が肩を叩き、ぶっきらぼうだが支えた。「気にするな。ディフェンスに戻れ。」

白陽がその瞬間を逃さず、再び中間からオフェンスを切り裂いた。石橋がシュンと共に佐々木をダブルチームし、新井が3ポイントラインでフリーに。石橋が歯を食いしばり、呟いた。「くそっ!」新井のシュートは滑らかで、ボールがネットを簡単に通過した。43対32、残り5分。リードが膨らみ、観客のざわめきが大きくなった。体育館の緊張感が息苦しいほどだった。

龍鳳がボールをインバウンドしようとした時、白陽がフルコートプレスにシフトし、圧力が容赦なかった。龍鳳はハーフコートを越えるのに苦労し、8秒違反が迫っていた。シュンはそのリスクを察知し、佐藤に叫んだ。「8秒に気を付けろ!」観客席から、ある観客が囁いた。「8秒って何?」もう一人が説明した。「ハーフコートを8秒以内に越えないと違反なんだよ。」佐藤はプレッシャーを感じ、フロントコートに向かって高くボールを投げた。レンジが全力で走り、宙でボールを掴み、足がギリギリでハーフコートラインを越えた。観客が一斉に息を呑んだが、白陽のプレスは緩まなかった。レンジは囲まれ、ドリブルが自由にできなかった。本能が再び働いた――彼はリムを見た。向こう側に誰もいない。彼はボールを強くバックボードに投げつけ、すぐに走った。ボールが跳ね返り、レンジが走りながら掴んだ。石橋が新井のディフェンダーからフリーになり、レンジに近づく新井を見た。レンジは迷わず石橋にパスを送り、石橋が簡単なレイアップを決めた。43対34。

体育館が驚きの歓声で沸いた。レンジの型破りなプレーが白陽のフルコートプレスを破った――誰も予想しなかった動きだった。シュンの目が大きく見開き、顔に笑みが広がった。「レンジ、めっちゃやばい!」中島が拳を振り上げ、叫んだ。「ナイスプレー!」心臓が激しく鼓動し、安堵と決意が湧き上がった。(先輩たちを失望させるわけにはいかねえ……持ちこたえなきゃ!)普段静かな佐藤さえ叫んだ。「よくやった!」白陽側では、新井の表情が暗くなり、心の中で呟いた。(この子……厄介だ。)遠藤が拳を掌に叩きつけ、唸った。「まぐれだろ!」頭の中で苛立ちが湧き、自信に小さな亀裂が生じた。(この新人が……こんなにやれるはずねえ!)

ストリートコート

ストリートコートでは、コウキ、タクミ、ダイキ、コージが生配信を見ていた。スコアは43対34。コウキが低い口笛を吹き、キーホルダーがジャラジャラ鳴った。「あのレンジって奴、こんなことしたんだ?」タクミが腕を組み、ヘーゼル色の瞳が細まった。「確かに本能はあるな。だが白陽が優勢だ。」ダイキがボールを指で回し、ニヤリと笑った。「白陽がやっと頭使ってきたな。一年生たちはもう終わりだ。」コージがキャップを直し、ドライな口調で言った。「まだ何か隠してるか見てみようぜ。」

龍鳳高校近くのスポーツショップ

市川結衣は手を叩き、スコアが43対34に変わった瞬間、希望の火が灯った。「やった、レンジ! その調子!」と小さな声で応援し、目が輝いた。(戦ってる……まだいける!)彼女はアディスターのシューズがあった棚の空いたスペースを見やり、小さな笑みが浮かんだ。(頑張って……あなたならできる。)

龍鳳高校体育館

試合は続き、時計が刻々と進む中、1秒1秒が重く響いた。龍鳳の一年生たちはペースを落とすために戦い、中村や先輩たちが準備運動をする姿に決意を固めた。レンジは拳を握り、黒い瞳が決意で燃えた。(ここで終わらせねえ……先輩たちがプレーする前に。)観客が叫び、緊張感が最高潮に達しながら、最後の数分が迫っていた。

レンジのバックボードプレー、ヤバかったな! 次も驚かせてくれるか? X: @RyuhoBasketballで語ろうぜ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ