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ディフェンスの要

レンジ、バスケのコートで新たな一歩を踏み出す! 何かが変わる予感がするぞ!

龍鳳高校体育館

ハーフタイムのホイッスルが体育館の熱気を切り裂き、一時的な休息を告げた。フリップ式のスコアボードがカタカタと止まり、32対18、白陽がリードを保っていた。まばらな観客がざわめき、二階の手すりに身を乗り出したクラスメイトたちが予測を囁き合い、他の部の観戦者たちが控えめに拍手した。龍鳳の一年生たちは汗を滴らせながらベンチへ向かい、擦り傷だらけの木の床にその汗が落ちた。第二クォーターでのレンジの遠藤へのブロックが火花を散らしたが、点差はまだ大きかった。

白陽のベンチでは緊張がくすぶっていた。遠藤はタオルを頭にかぶせ、がっしりした肩を丸めていた。レンジのブロックの記憶がチクチクと刺さる。彼はタオルを勢いよく引き剥がし、鋭い目つきでチームメイトを見渡した。「俺は大丈夫だ」と低い声で唸り、力強さを込めた。「あの新人に二度もやられるわけにはいかねえ。このクォーターは俺に任せろ――俺がそいつを潰す。」隣に座る後藤が肩を叩き、不安を隠したぎこちない笑顔を見せた。「お前ならいけるよ、遠藤。あのブロックはまぐれだ。」他のメンバー――新井、佐々木、小林――は不安げな視線を交わし、レンジの影響で自信が揺らいでいた。キャプテンの新井が身を乗り出し、鋭い視線で全員を貫いた。「第三クォーターは遠藤に任せる。だが、ここから巻き返せなかったら俺たちが仕切る。」その声は冷たく、反論の余地はなかった。

体育館の反対側では、龍鳳のベンチがスコアにもかかわらず慎重な楽観ムードに包まれていた。中村は腕を組み、灰色の瞳でコートを見渡し、一年生たちにリズムを掴むことを信じていた。森は指でボールを回し、葉山にニヤリと笑った。「あのブロック、ストリートコートを思い出すな。レンジ、根性あるぜ。」葉山は穏やかな笑顔を崩さず頷いた。「まだ粗削りだけど、素質はあるな。」工藤が低い唸り声を上げ、彼らの会話を遮った。「思ったより粘ってるな。」池田コーチは静かに座り、中村に任せていた。一方、石橋が手を叩き、トゲトゲの髪が揺れた。「勢いに乗ってるぞ、新人たち! ここで気を抜くな!」中島と佐藤が決意を固めた顔で頷いたが、荒い息づかいが疲労を物語っていた。すでに交代していた西田はベンチから見つめ、呟いた。「また遠藤にやられないでくれ……」

シュンがレンジの元へ小走りで駆け寄り、14番のユニフォームが汗で体に張り付き、ヘーゼル色の瞳が点差にもかかわらず輝いていた。「レンジ、あのブロックやばかった! まだいけるぞ!」レンジは息を整えながら黙って頷き、黒い瞳に決意が宿った。(あのブロック――ドライブ、叩き落とし、観客の歓声。俺、できる。やらなきゃ。)シュンの楽観的な態度が伝染し、レンジは不安の中に自信の兆しを感じた。

龍鳳高校近くのスポーツショップ

500メートル離れた場所で、市川結衣が家族のスポーツショップのカウンターに寄りかかり、スマホを靴箱の山に立てかけていた。生配信の画面には、ハーフタイム開始時のスコア32対18が表示されていた。彼女は柔らかく微笑み、画面に目を奪われた。「レンジのブロック、完璧だった」と小さな声で呟き、試合前に彼にアディスターのシューズを手に入れる手助けをしたことを思い出した。店内は静かで、蛍光灯の微かな音と遠くから聞こえる試合の実況が混じり合っていた。(本当に頑張ってる……彼ならできるって信じてた。)その日の短い出会いを思い出し、レンジの静かな決意やシューズを選ぶ際の躊躇いが頭をよぎった。彼女は棚の空いたスペース――アディスターがあった場所――を見やり、胸に小さな誇りが膨らんだ。

龍鳳高校体育館

第三クォーター開始のホイッスルが鳴った。白陽がボールを持ち、遠藤がトップ・オブ・ザ・キーでレンジを睨みつけた。新井の言葉が頭に響く――(第三クォーターは遠藤に任せる)。彼は歯を食いしばり、ボールを強く握った。(ここで決めなきゃ。あの新人に負けるわけにはいかねえ。)力強くドリブルし、その一打一打が挑戦状だった。「止められると思うか、新人?」と挑発した。レンジは答えず、低い構えで黒い瞳を集中させた。

遠藤が勢いよくドライブし、ストリートコートの試合で森が使ったダブルクラッチを繰り出した。レンジの記憶がフラッシュバックする――森の流れるような動き、空中でのシフト。(本能が動く!)レンジが反応し、シュートをコンテストしたが、腕が遠藤に軽く当たり、ホイッスルが鳴った――レンジ、龍鳳の15番にファウル。ボールはリムに当たって弾かれ、外れた。遠藤がフリースローラインに向かいながらニヤリと笑い、肩越しに一言。「次はもっとうまくやれよ。」レンジは挑発を無視し、リバウンドのポジションを取った。(頭に入れさせない。)

遠藤がフリースローを二本打つ準備をした。体育館が静まり、緊張が張り詰めた。シュンが遠藤の動きを注視し、ヘーゼル色の瞳が細まる。遠藤が一本目を放つ――短く、リムに当たって外れた。シュンの頭がフル回転し、第二クォーターの記憶が蘇る――遠藤がレンジにシュートフェイクを見せたが、打たずにスピンしてドライブした。(あの時、打たなかった……)二本目がバックボードに当たり、強すぎて外れた。シュンの確信が固まる。(遠藤、外から打てねえ。それが弱点だ。)レンジが跳び、両手でリバウンドを確保し、中島にロングパス。中島がコートを駆け抜け、簡単なレイアップで決めた。スコアボードがカタカタと32対20に変わる。中島が拳を振り、声がひび割れた。「ナイスパス、レンジ! この調子だ!」

シュンがフリースローライン近くで素早くハドルを組んだ。白陽が次の攻撃の準備をし、石橋がボールを脇に抱えていた。シュンの声は急ぎながらも落ち着いていた。「分かったぞ――遠藤、外から打てねえ! さっきフリースロー両方外したし、第二クォーターでもレンジにシュートフェイクしてドライブしただけだ。ジャンパーを打たせよう!」レンジに視線を向け、頷きを確認した。「レンジ、ペイントを守れ。遠藤から離れて、シュートを打たせるんだ。中島、佐藤、ディフェンスで止めたら速攻だ!」シュンのヘーゼル色の瞳が仲間たちを見渡し、理解を求めた。

レンジが首を傾げ、眉を寄せる。(ペイントを守る? 何だそれ?)シュンがレンジの困惑に気づき、レンジが分かる言葉に切り替えた。「バレーのミドルブロッカーみたいにだ、レンジ。リムを真ん中から守るんだ――誰も通すな。」レンジの表情が少し晴れ、不安が残りながらも理解した。(ミドルブロッカー……リムを守る。分かった。)疑念を振り払い、頭の中でシンプルにした。(近くで得点させない。遠くなら打たせる。)石橋がシュンの肩を叩き、ぶっきらぼうだが認めていた。「いい読みだ、新人。賭けてみよう。」中島と佐藤が視線を交わし、自信を取り戻しながら頷いた。

ベンチから中村が静かに見つめ、微かな承認が顔をよぎる。森が葉山に囁いた。「シュン、頭いいな。うまくいくか見てみよう。」葉山が小さく笑い、緑の瞳が輝いた。「レンジがペイントを抑えられれば、巻き返すかもな。」

次の攻撃で、遠藤が再びトップ・オブ・ザ・キーから仕掛けた。だが龍鳳は2-3ゾーンディフェンスに切り替え、レンジがシュンの指示通り遠藤から離れ、リム近くに構えた。白陽の選手たちが一瞬凍りつき、対応に戸惑った。小林が佐々木に呟いた。「シュートを打たせようとしてる?」遠藤はフリーになりながらも、フリースローでの失敗が自信を揺さぶっていた。(俺を馬鹿にしてる……いいぜ、見せてやる。)ジャンパーを放ったが、ボールは大きく外れ、エアボールに。レンジが長い腕でリバウンドを簡単に奪い、すでにコートを走り出すシュンにパスした。

シュンがゴール近くで独り、シュートを放つが、リムに当たって外れた。(くそ、またか!)と自分を叱り、心臓がバクバクした。(焦るな、シュン。落ち着け。)自ら外したボールを拾い、深呼吸して再び跳んだ。今度はボールがネットを揺らし、龍鳳での初得点となった。スコアボードが32対22に変わる。シュンがレンジに向き、満面の笑みで叫んだ。「ナイスパス、レンジ! 巻き返してるぞ!」ベンチから西田が手を叩き、震える声で希望を込めた。「ナイス、シュン! その調子だ!」

龍鳳の2-3ゾーンディフェンスが効果を発揮した。レンジがペイントを固め、彼の存在が遠藤に無理なシュートを強いる一方、中島と佐藤が速攻で走り、レイアップやダンクで得点し、白陽のリードを削っていった。観客の歓声が得点ごとに大きくなった。スコアボードが次々と動く――32対24、32対26、32対28。中島がまた速攻レイアップを決め、佐藤に視線を向け、息を切らしながらも決意を込めた。「だんだん詰めてるぞ、佐藤! 気を抜くな!」佐藤が汗を拭い、頷いた。(今、気を抜くわけにはいかねえ。)

白陽のオフェンスが龍鳳の戦略に押され、崩れ始めた。遠藤が再びドライブを試みたが、レンジがしっかりと守り、長い腕でシュートを乱した。ボールが外れ、レンジがリバウンドを奪い、また中島にロングパスを出し、速攻で得点。新井がタイムアウトをコールし、表情が暗くなった。龍鳳のベンチでは、一年生たちが息を整え、顔は紅潮していたが決意に満ちていた。中村が静かに言った。「今、お前らがペースを握ってる。遠藤にシュートを打たせ続けろ。レンジ、ペイントをしっかり守れ。」シュンが汗を拭い、笑った。「この調子だ、レンジ!」レンジが頷き、静かな自信が宿った。(リムを守る。俺にはできる。)

観客席からの視点

二階の手すりから、クラスメイトのグループが生配信を録画しながら試合を見ていた。一人の少女が友人に囁いた。「あの新入りのレンジってやつ、すごいね! 白陽の選手を完全に抑えてる!」友人が目を丸くして頷いた。「うん、でもまだ負けてる……追いつけるかな?」龍鳳の得点ごとに観客のエネルギーが高まり、歓声が体育館に響いた。

龍鳳高校体育館

試合が再開し、龍鳳のディフェンスが固く守った。レンジが遠藤のドライブをまたブロックし、ボールをアウトオブバウンズに弾いた。次のポゼッションで白陽がターンオーバーを犯し、龍鳳が速攻で得点。スコアボードが再び動き――32対30、そして32対32。スコアが同点になり、体育館が歓声で爆発した。龍鳳は第三クォーターで白陽をシャットアウトし、ハーフタイム以来一点も許さなかった――彼らの圧倒的なディフェンスとレンジのペイントでの支配力が証明された。一年生たちは驚きと誇りを込めた視線を交わした。中島が声を枯らし呟いた。「一点もやらせなかった……!」シュンが拳を振り、興奮で声がひび割れた。「シャットアウトだ、レンジ! リード取ろうぜ!」普段静かな佐藤が拳を握り、目に珍しい闘志が宿った。(俺たち、一緒にやってるんだ……)

龍鳳高校近くのスポーツショップ

市川結衣の目が大きく見開き、生配信のスコアが32対32と同点になった。「やった」と囁き、誇らしげな笑みが広がった。店の静かな音が消え、画面に引き込まれた。(レンジ……本当にチームを変えてる。)

第三クォーター終了のホイッスルが鳴り、フリップ式のスコアボードが32対32の同点を表示した。両チームがベンチに戻り、空気が緊張で重くなった。白陽のベンチでは苛立ちが爆発。遠藤が水のボトルを叩きつけ、顔が怒りで嵐のようだった。(俺を馬鹿にしやがって!)小林が佐々木に囁いた。「遠藤、キレてる……俺たちがなんとかしないと。」佐々木が厳しい表情で頷いた。龍鳳側では、一年生たちが息を整え、顔は紅潮していたが決意に満ちていた。レンジが汗を拭い、黒い瞳が決意で燃えた。シュンが背中を叩き、満面の笑みで言った。「もう追いついたぞ、レンジ!」観客が叫び、体育館のエネルギーが最高潮に達し、両チームが最終クォーターに備えた。中村がベンチから見つめ、灰色の瞳が承認の光を帯びた。森がボールを指で回しながら笑った。「この一年生たち、なかなかやるな。」葉山が同意して頷いた。工藤がニヤリと笑い、低い声が響いた。「見た目よりタフだな。」

ストリートコート

ストリートコートでは、コウキ、タクミ、ダイキ、コージがタブレットの周りに集まり、生配信で第三クォーター終了時のスコア32対32を見ていた。コウキが首を振って呟き、キーホルダーがジャラジャラ鳴った。「同点に追いつくなんて信じられねえ。あのレンジって子、厄介だな。」タクミが腕を組み、ポニーテールが揺れ、ヘーゼル色の瞳が細まった。「思ったよりタフだな……でもまだまだだ。」ダイキがボールを指で回し、ニヤリと笑った。「白陽、目を覚まさないとやられるぞ。」コージがキャップを直し、ドライな口調で言った。「第四クォーターで新人がどこまで耐えられるか見てみよう。」

同点に追いついた! レンジのペイント支配、半端ねえな。シュンの読みも冴えてる! 第四クォーター、どうなると思う? X: @RyuhoBasketballで熱く語ろうぜ!

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