ファーストステージ
レンジ、バスケの扉開けた瞬間だ—ドキドキ止まんねえぜ!
レンジは体育館の床で足を止め、中村の灰色の目が鋭く彼を捉えた。バスケットボールが手の中でドン、ドンと二回鳴る。「白根、お前は入り口に立っただけだ。まだ席はねえぞ」その言葉が鋭く刺さり、フープが照明の下でキラッと光る。瞬が跳ねるように近づき、ニヤッと笑う。「レンジ、チーム入りマジかよ!」森がレンジの首に腕を回し、ニヤリ。「これのために生まれたみてえだな。よろしくな」葉山がゆるく頷き、感心した様子。「工藤先輩を飛び越したぜ。よろしくな」工藤が鼻で笑い、優しさに棘を混ぜる。「黙れよ。次は甘くねえぞ」中村の視線が揺らがねえ。「学ぶことは山ほどある」レンジがポケットに手を突っ込み、低く。「よろしくな」チャイムが鳴り—部活が終わる。
外じゃ、桜が夕暮れに漂い、工藤が中村に近づく。声が低い。「ちょっと冷たかったんじゃねえ?」中村が肩をすくめる。「勝つだけでバスケ好きになってほしくねえ。負けても耐えなきゃ—じゃなきゃバレーがまだ心に残ってるってことだ」工藤が首を傾げる。「最後のプレー—お前についた時。どうやって分かった?」中村が薄くニヤッ。「分からなかった。俺に合わせてくると思っただけ。本能が鋭い—初心者じゃねえレベルだ。バスケ経験ゼロでバレーの技術だけ?鍛えりゃコートをぶち壊すぜ」工藤が唸る。「基礎も基本もねえのに」中村が寄って、低く。「八村は中学で野球からバスケに変えた。大学で目立って、ドラフト8位—日本でNBA最高って言われてる。レンジがどこまで行くかは本人次第だ。俺は練習試合を考えてんだ—経験を早く積ませる」工藤が頷き、納得する。
家じゃ、風呂場の鏡が湯気で曇り、レンジが髪をゴシゴシ拭く。制服が椅子に放り投げられてる。スマホを手に、バレーのグループチャットに打つ:バスケ。1年。返信がバンバン—「何!?」「MVP、残ってくれ!」—そんで落ち着く:「頑張れよ」「応援してるぜ」画面をロックして、ベッドにドサッ。天井のひびがじっと見つめ返す。バスケか。もう戻れねえ。ストリートコートがチラッ—瞬の叫び、リムの軋み。高田の顔が浮かぶ—明日伝えなきゃ。
翌朝、英語の授業が低く響き、先生が動詞をダラダラ喋る。レンジがだらしなく座り、鉛筆がだらん。頭がグルグル—フープ、スニーカーの音、中村の言葉が胸で締まる。入り口に立っただけだ。どこから始めりゃいい?黒板がぼやけ、時制が混じる。タンって音が割り込む—瞬が二列先にいて、机を叩いてる。目が合って、瞬の指がサッ:お前、俺、ランチ。ニヤッと笑顔が光る。レンジが小さくオッケーを返す。先生がビシッ、「白根、集中しろ!」首筋が熱くなって、沈む。(何で俺だけ?)瞬のくぐもった笑いが響く。チャイムが鳴り、机がガリガリ動いて、教室が溢れる。
瞬がドアで捕まえ、声が弾む。「中庭—ランチだ!」レンジがバッグを直し、乾いた声。「分かった。お前がやったせいで危なかったぞ」瞬が首を掻き、笑う。「悪かった!チーム入りでテンション上がっちまってさ!」廊下の騒ぎを抜ける—弁当持った女子、宿題に文句言う奴。中庭が広がり、ベンチが桜の下で擦り切れて、花びらがコンクリに散る。瞬がドスッと座り、ご飯と唐揚げを出す。レンジが向かいに座り、魚と漬物を解く。頭がモヤモヤ。箸を浮かせて言う。「瞬…俺、バスケに全力出すけど、どこから始めりゃいい?」
瞬がパクッと食って、ニヤッ。「アドバイスは下手だよ。ただやる—自転車みたいに、ある日ピンとくる。バレーだって自然に上手くなったろ?」レンジが眉を寄せ、ご飯を止める。「確かに。でも計画が欲しい—早く上達したい」瞬が後ろに寄り、照れ笑い。「計画あったら俺がもっと上手いよ。先輩が何とかするさ」レンジが頷き、風が髪を引っ張る。ただやる。ストリートコートの響き—本能、スクリプトなし。でも今はもっと深い。
ベンチに影が差す—3年のバレー部キャプテン、高田純がニヤッと見下ろす。茶色の目が優しいけど鋭い。「白根。バスケか?」レンジが背を伸ばし、箸がカチッ、脈がドクン。「ああ…1年。今日伝えるつもりだった」高田が首を傾げる。「大胆だな。俺は今年で終わりだけど、バレーは待ってる。サボんなよ」レンジの肩をポンと叩いて去る。微かな刺しが残る。
瞬がヒュッと口笛、ご飯がこぼれる。「キャプテン、落ち着いてんな—怒ると思った」レンジが高田の背中を見送る。ピンがキラッ。1年。重く沈む。箸を掴み、魚が冷たい。「価値あるって証明しなきゃ」瞬が寄って、ニヤッ。「できるよ—ブロック、ダンク?お前、バケモンだぜ!」レンジの鋭い黒目が上がる。バケモン。ビリッと衝撃、生のリムの叫びみたい。ゆっくり噛む。中庭が生きてる—笑い声、遠くでサッカーボールのドン。バスケはバレーの綺麗な線じゃねえ。広く、グチャグチャで、深く引っ張る。
木曜の昼下がり、体育館が部活でビリビリ。レンジがスニーカーの紐を結び、バッグを壁に。コートがうるさく広がる。瞬がそばで跳ね、ボールを手でポンポン。「レンジ、まだバレーシューズか?バスケ用買えよ」レンジが下を見る—スパイク用に滑らかでグリップ、切り返しじゃねえ—そんで頷く。森が走り抜け、ニヤッ。「今日、本能でコケんなよ」チームが集まる—工藤の重い足音、葉山の軽い歩き、中村の視線が鋭い。そしたら体育館のドアがギィっと開き、細長い奴が入る—白髪交じりがボサッと、丸メガネが低く、クリップボードが手にだらん。ニコッと笑い、声が温かいけどしっかり。「おい、静かにしろよ!」瞬がクスクス、ボールを一回。森がゆるく手を振る。そいつがコートの真ん中に立ち、頭を掻いて笑う。「池田だ—お前らの体育教師で、コーチにされちまった。話がある:土曜に練習試合だ。白陽高校。手強いぜ—全力で頼むな」
空気がピリッと締まる。白陽高校—去年、県ベスト8に届きそうだった。荒々しくてしつこい。中村の目がキラッ、頷きが小さく。瞬のニヤッが燃える。「土曜?ぶっ潰すぜ!」工藤が指を鳴らし、黙る。レンジの脈が跳ね、ボールの重さがフラッシュ—入り口に立っただけだ。あと2日、初の本番だ。
街の向こう、白陽高校の体育館が薄暗い灯りでビリビリ。スニーカーのキーキーが剥がれた壁に響く。3年のキャプテン、荒井が細身でキリッと指示を飛ばす。額に汗が光る。「動け—土曜は龍鳳だ!」副キャプテンの後藤、ガッチリしたガードがニヤッと、袖で顔を拭く。「龍鳳は本物だ—去年、決勝まであと1試合。攻撃が3段構え—葉山と中村のスリー、森の中距離、工藤のペイント。気を抜いたらやられる」荒井が頷き、渋く落ち着く。「ああ、でも俺らに勝機はある。あのルーキーが火花だ」目が遠くに—フリースローライン近くで影がデカく、肩幅広く、エネルギーがギュッと。1年の遠藤がニヤッと、ボールを指でクルッ。「龍鳳なんて終わりだ—俺が走り潰す」後藤が笑う。「でかい口だな。向こうは層が厚い。でもお前が切り札—動けよ」
体育館が静まり、遠藤が下がる。目が死んだ電球のチラつきで光る。二歩長く踏み込んで、フリースローラインから跳ぶ—空中で、力の塊がブレて、片手でリムにボールを叩き込む。フレームがガタッと揺れ、ネットがピンと張る。音が壁に跳ねる。荒井の顎が締まり、半分感心、半分警戒。後藤が叫ぶ、「それだ!」影がコートの真ん中に残り、遠藤のニヤッが薄暗さを切り裂く—土曜の熱がもう燃えてる。
白陽の影がデカい!レンジ、どう戦う?X: @RyuhoBasketballで語ろうぜ!