闇の中の響き
レンジの頭ん中、ざわつき始めてきた!何だこの感覚?
レンジのスニーカーが四街道の舗装をガツガツ叩く。土曜の夜、静けさがビリッと裂けるリズム。首筋にじっとり汗、春の冷んやりした風がサッと掠める。桜が闇にフワフワ漂う。ラーメン屋の騒ぎ—瞬のデカい声、森の軽いジャブ、工藤のゴロッとした唸り—が遠くに消える。けど、ストリートコートの感触がズシッと残る。重い。離れねえ。あのダンク。リムのキィンって音。手がまだビリビリ。皮膚の下でジンジン響いてる。
走りのリズムは昔馴染みだ。バレーのコンディショニング。脚がドリドリ動く。セット、ブロック、スパイク。キレイだ。中学の記憶がチラッ。相手エースのキルをバチンって叩き落とし、体育館がドカンと沸いた。MVPトロフィー、手に冷たくて。あれが俺のコート—ビシッと決まる、俺の場所。なのに今夜、なんか…薄っぺらい。バスケのゴチャゴチャがズカズカ入ってくる。瞬のうるせえ声が頭にこびりついて、ボールのドンって音、叩き込んだ時のあの衝撃。胸がギュッとなる。妙な熱が這う。(あれ…良かったのか?)待て、(良かった?)
ペースが鈍る。息がヒュッと鋭く、スニーカーが縁石をガリッ。(良かった?)言葉が引っかかる。狙ってねえサーブみたいに。いつからだ?ただジョグってただけ。通り過ぎるつもりで、遊ぶ気なんかなかった。瞬のドタバタに巻き込まれて、残っちまった。何だ?ブロック—手上げて、バシッと止める、いつもの壁。ダンク—荒々しくて、うるせえ、腕が空気をぶち抜いた。どっちだ?両方か?眉がギュッ。脈がドクドク。(分かんねえ。俺、思ったのか?良かったって?)
バレーはもうそんなんじゃねえ。義務だ。プレー決めて、勝ち積んで、毎日の繰り返し。中学の熱が色褪せて、知り尽くした機械みてえ。バスケは…もっとグチャグチャだ。筋書きねえ。指がムズムズ。ボールか、リムか、何か掴みてえ。立ち止まる。街灯の光がボワッと広がって、空き地の錆びたフープがキラッ。(この感覚、何だ?)鋭くて、知らねえ何かが食い込んでくる。
月曜の朝、龍鳳高がザワザワ。校庭が朝の喧騒で—クラブ勧誘がうろつき回って、新入生がチラシ避けてウロウロ。レンジが休み時間、体育館の壁に凭れる。バレー申請書がバッグん中、目は窓からバスケコートを追う。土曜の瞬の声が頭に響く—「もう一回ダンク見せてよ!」—工藤の*「点が漏れる」も。引っかかる。確かめねえと。ブロックか、ダンクか、バレーか…何か違うものか。クラブ、まだ開いてる。最初の数週、試せる時期だ。変える気はねえ。ただ、分かりてえ。
高田純が角からひょっこり。紺ブレザーピシッと、バレーのピンがネクタイでキラッ。「よ、白根—水曜、体育館3時。頭ぶち抜く準備な?」笑みが軽くて、茶目がキャプテンっぽく鋭い。
レンジが背筋伸ばす。声、低く短く。「おう、行く。なあキャプテン—ちょっと聞きてえ。バスケの方も見てみようかと。…気になってるだけ」平坦に、様子見。
高田が眉上げて、驚きがチラッ。「バスケ?へえ、意外だな」首傾げて、ちょっと考え込む。キツくねえ。「何だ、なんか引っかかるもんでもあんのか?」声軽くて、探る感じ、プレー見極めるみてえ。
レンジが肩すくめる。鋭い黒目が逸れる。「分からん。かもな」(ダンクがフラッシュ。腕が突き抜けて、リムがグニャッ。)口には出さねえ。
高田がニヤッと、肩パンッ。「分かった、探ってみな。試せる時期だし—見たいなら見とけ。ただ俺のコートでサボんなよ、MVP」去ってく。軽く、開けたまま。
水曜の昼下がり、体育館がビリビリ。バレー側のドリルが鋭く響いて、バスケのスニーカーとボールの音が混じる。レンジが高田のチームでウォームアップ—「パンッ!」—サーブがビシッと決まる。でも目が逸れる。瞬の声が突き刺さる:「カリーのスリー!」*—ガシャン、石橋のゲラゲラ。レンジのスパイクがズレて、高田の低い「集中しろ、白根」がビシッと跳ね返し、眉ピクッ。
終わりに、分かれ目で立ち止まる。タオル肩にかけて、バスケチームの終わり見てる。中村が「動け!」って吠えて、工藤がフープ下にドーン、葉山がゆるっとスリー沈める。瞬が気づいて、ニヤッがパッと広がる。「レンジ!偵察か?やっぱすげえって!」森が走り寄って、ボール指でクルッ。「また来たか?キャプテンがあのダンク気にしてるぜ」
中村が顔上げてくる。灰色の目がギュッと細まって、鋭い。緩いパス掴むみてえに。「バレーの子か。森が手のことベラベラ喋ってんな。試せるぞ。やるなら上がれ」声乾いてて、挑戦がキリッと締まる。
レンジがタオルギュッ、脈ドクッ。(上がる?)コートが広がって、フープがキラッ—問い、引っ張り。ゆっくり頷く。声、落ち着くけど鋭い。「かもな」瞬が跳ね寄って、キャップがズレる。「マジか!ダンクだ!」森がニヤッ、ボール放る。
レンジが片手で受け止める。重さがズンって沈む。バレーの響きがバスケの唸りとガチンコ。笛が鳴って、ドリル始まる。ラインに立つ。鋭い黒目がリムにガチッ、次のステップが空気にビシッとぶら下がる。
レンジ、バスケに踏み込むか?X: @RyuhoBasketballで語ろうぜ!