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愛というにはあまりにも

作者: ツッキー

過去の思い出から語られる不穏な雰囲気があなたを虜にする。主人公の男、拓郎は旅行に行く場所を探していたそんな矢先に彼に起きる衝撃のラストとは!

       愛というにはあまりにも 


 男臭い部屋で草壁拓郎くさかべたくろうは友人の明石忍あかいし しのぶとどこか旅行に行こうと言う漠然とした目標を立てて話し合いをしていた。というのも最近、流行病も治り周りは、以前と変わらない日常を取り戻しつつあったからだ。その病が流行り始めてからというもの皆家に引き篭もるようになり人との接触も避けていわば孤立生活のようなものを強いられ旅行なんて行こうものなら周りからばい菌扱いされこの常識知らずがと咎められ自分一人かかってもいいのにと言う意見すら全く持って世間は許すことをしてくれなかった。

「なぁ、拓郎さんや」

「なんだ?いい宿見つかったか?」

「んや、その話なら申し訳ないんですけどまだ見つかっておりませんじゃ」

 忍はおじいさんのような話し方をわざとして自分に任された宿探しの身の重さをお金関係をまとめるている拓郎に少し負担してもらおうと考えていた。

「拓郎ちゃん頼むよ。少し、少しだけでいいんだ」

 彼は旅行のカタログ雑誌をカップラーメンやらコンビニ弁当が山になっているテーブルから押し除けて広げた。

「忍、まずこの部屋の掃除は誰がすることになってるんだっけ?」

 そう言うと忍は頭をボリボリと描きながら後ろめたさを感じさせられぐうの音も出ないと言わんばかりにわざとらしく欠伸をした。

「まただ。都合が悪くなるとすぐに欠伸をする」

 図星を突かれた忍はまたしてもバレないように小さく欠伸をした。それから身体をぐんと後ろに倒して寝転びカタログを取ってくれと拓郎に少しぶっきらぼうに言った。

「おいおい、自分の仕事なのにその態度はないだろ」

 彼は今まで溜まっていた鬱憤を晴らすように忍に向けて少し強い視線を浴びせたあと呆れた表情を見せカタログを彼から取り上げた。

「もういい、俺がやるから」

 忍が少し拗ねたように部屋の隅で小さくなりイジイジとしているのを横目に彼はページを捲り始め一つの見出しに目が止まった。

 茨城県X市これは忘れもしない彼の今後の人生の考え方の一つを教えてくれた場所だった。

「拓郎さん、なんかいい場所あったんですかい?」おちゃらけた様子で忍は彼を逆撫でさせないようにヨイショした。

「あぁ、この市なんだけど」そう言ってカタログを渡した。

「なんだい旦那、自然に囲まれていい場所じゃないっすか」彼のあからさまに下手に出た仕草が少し鼻に触ったが無視して続けた。

「ここ昔に行ったことがあるんだ、学校の農業体験かなんかで」

「ほー、確かにそんなもんが小学校か中学の時にありましたな旦那」

「忍は民家に泊まったりしたか?」

「うん、泊まったことありやすぜ」

「その江戸っ子訛りみたいな喋り方もうやめてくれよ。腹が立つ」

「へいへい、了解了解」彼は自分の仕事はもう終わったと言わんばかりに拓郎に全て任せて眠りにつこうとしていた。

「お前はなんでそんなに他力本願なんだよ」

 そう言うと彼は立ち上がり冷蔵庫へと向かい新しいビールを2本持ってきて一本を忍の顔の前に突き出し渡した。

「仕事を放棄した上に仕事を任せた人間より早く寝るのか?」彼は少し皮肉を込めて笑い枕に頭を預け寝入ろうとしていた忍はそのビールを渋々受け取る以外に選択肢はなかった。

「朝までコース?」

 その言葉に拓郎は無言で返し、一呼吸おいて話し始めた。

「農業体験の時の話をしよう」そう言うと忍は背筋を伸ばしてビールをグイッと一口飲んで身構えた。

「これは俺が中学の時なんだけど、民家に泊まることになった。5人くらいの班に分かれて各民宿や民家に泊まり畑を耕したり草刈りをした。俺たちが普段接することのないものを体験させてもらいに行ったんだ」

「俺の時もそんな感じだったよ、野菜とかうまかったなぁ」

「まぁそれで民家のおじさんに挨拶をしたんだよ。そうしたら笑顔で受け入れてくれて部屋の中に入るように促してくれた」彼はさっき開けたばかりのビールを飲み干してウィスキーにくら替えしていた。ここからが飲みの始まりだと言う合図だった。

                  ※

 中学生だった拓郎は奇妙な写真がずらりと並んでいるのを見つけた。彼は気になっておじいさんに聞いた。

「すみません、女の方の写真が」

 そう言うとおじいさんは咳払いを一つして話し始めた。

「この写真かね」

「ご先祖さまですか?」

「いいや、これは全員女房だよ」その答えに拓郎は背筋を凍らせた。

「これ全員ですか?」

 そこには6枚の写真が壁にかけられていてどれもみんな違った女の人の写真だった。中でも目を引いたのは鼻筋は通り真っ白な肌に整った体とても美しい女性だった。

「あぁ、そうともさ、わしは昔はハンサムじゃったからのう」

「今はご結婚していますか?」

「あぁ、もちろん。このかみさんがきっと最後のかみさんじゃよ」そうしておじいさんは部屋の奥へと引っ込んでいった。なにやら二つの足音がこちらに向かって歩いてくるのを感じた。

「あらあら、ご挨拶もなくて申し訳ございませんわ」そう言うと40代後半くらいの女の人がお爺さんに手を引かれてやってきた。その女の人はあまり美しいとは思えなかったが年だけは若そうだと認識できた。

「わしもまだまだ現役じゃよ」そう言うとおじいさんは豪快に笑い共に女の人も笑った。

 拓郎が少し疑問に顔を歪めているとそれを察したのかおじいさんは口を開いた。

「わしは65歳、女房とは20は離れておるわ」そう言うとおばさんは、にへっと笑いかけ柔らかな眼差しでおじいさんを眺めていた。

「この人ったら遊び人なんですよ?私の前に何人も女を携えて」

「昔の話はいいじゃないか今はお前が一番じゃよ」

 女は顔を少し赤くして部屋の奥へ引っ込んでしまった。拓郎はこんな歳のタラシ男が存在することにも驚いたが何よりも結婚した回数があまりにも衝撃だった。離婚だってもう6回は繰り返している。その男の生き様は野生そのものという感じがした。

「さぁ!今日は畑を耕してもらうぞい!働かざるもの食うべからず!今夜の飯はさぞかし美味いじゃろうな!」

 そう言うと男は草刈機と耕すためのくわをとりに倉庫へと向かった。拓郎たちは家の外で待つように言われて少し暑い夏の初めの空の下、頭を空っぽにしながらただぼぉっと空を眺めていた。流れる雲が山にぶつかって消えていくように見えて面白おかしく笑った。古い民家はあちこちがガタがきていた。玄関の扉にはヒビが入り、少し木が腐っている場所もあり家のあちこちに修繕した跡があった。これもまた拓郎の住んでいる地域では感じられないものだった。高い塔のマンションが立ち並び大勢の人たちが一斉に交差点を歩いたとしても、器用にぶつかることもない不思議な街でこういった平家や畑なんていうものはあまりにも遠いいものだった。

「おーい、ちょっとこっち手伝ってくれー」

 おじいさんの声がして振り返るとエの部分がボロボロでかなり使い込まれた鍬を、両脇と両手に抱えて今にも倒れそうになりながらフラフラとこちらに向かってきていた。

 拓郎はたちは急いで男の元へと向かい手分けして鍬を運んだ。錆びた鉄の匂いがして少し顔を逸らした。草刈機は後からみんなで取りに行って運んだ。

「若いもんは力があるなぁ、こんな老耄おいぼれには微塵の力もなくて困るわい。若い頃はバリバリ働たんじゃがのう」

 そう言うとおじいさんは民家の縁側に腰掛け、首にかけられたタオルで汗を拭った。 「ほれ、その草刈機で草をやっつけてみろ。楽しいぞ。一気に草をやっつけるのは」やっつけると言う言い方に少し違和感を覚えたが拓郎たちは一斉に言われるまま草刈機を手に取った。

「そこの紐を勢いよく引くのよ。躊躇したらいかんぞ?勢いよく後ろに引くようにするんじゃ」

 男のジェスチャーを見様見真似でやってみると、少しエンジンが動いたような鈍く重い音が鳴った。

「もっとじゃ!もっと勢いよく!男じゃろ!」

 そう言うと男は立ち上がり一人の草刈機を掻っ攫い勢いよく引っ張り始動させてみせた。

「どうじゃ?勢いが大事じゃろ?」

 拓郎もそれに続いて勢いよく引っ張った。すると激しい音を立ててその草刈機は命を取り戻し、俺は生きているぞと言わんばかりに動き始めた。皆が少し感動したように立ち尽くしているとおじいさんは草刈りの指導を始めた。

 拓郎たちはすぐにコツを掴んで調子にのりヤッケになって草刈り競争をした。誰が一番になるか今晩のメインのおかずをかけて勝負をした。

「俺が一番になる!」

 そう拓郎が言うと彼はは必死に腕や腰を振り回すようにしてその草刈機を乱暴に扱った。

「こら!その歳で賭け事を覚えやってからに。それにせっかくカミさんが丹精込めて作っている晩飯をかけてやるなんて勿体無い。今からスイカを切ってやるからやるならそれをかけてやれ。それにもっと大事に物を扱え!」男は拓郎の頭をコツンとゲンコツで叩いて喝を入れた後、拓郎はその恥ずかしさでみんなから顔を背けた。

「なんで俺だけなんですか」

「お前さんが一番目立っておったからじゃ。それにじゃ。人と人との賭け事はな憎しみを生む。それは賭けたものが大きければ大きいほど憎しみは強く残っていくものなのじゃ」

 拓郎はこの時この言葉の意味なんて深く考えることはなかった。後になってその言葉の大事さに気づいたのだ。

                  ※

「おじいさんいいこと言うね」

 そう忍が言うと、ただ冷静に拓郎は頷き深く噛み締めるようにしてため息をついた後息を吸い込んで言った。

「きっとね、おじいさんはそれを肌身で感じていたんだよ。6回の離婚を経験してようやく気づいたんだ」彼は遠くを眺めるように目を細めていった。 

「その言葉と離婚に何のつながりがあるの?」そう言うと忍はポケットからタバコを一本取り出して火をつけた。少し間をおいてから拓郎はゆっくりと口を開いた。

「人生を賭けたんじゃないかな、6人の女の人に」彼はまたウィスキーを一口飲んで頬を赤く染めたままゆっくりの頷き再確認するように頭を上から下に動かした。

「ってことはよ?そのじいさんは人生を賭けて女の人と結婚してその賭けに失敗して6人もの人と離婚したってこと?」

「そういうこと。なんとなくわからない?」

「まぁ、そう言われればそんなような気がするけど」

 少し納得したように彼はタバコの煙を肺に潜らせて深く息を吐きかなり時間が経っていることを知った正直彼はもうこの話に飽きていたがそれを悟られないように程よく相槌を打ちながら聞いている。拓郎がまた口を開いた。

「お前、だったらどうする?人生を賭けて結婚した女がどんどんと変わっていって理想と離れていったら」

「そりゃ少しは嫌だけど。それだけで離婚までとはいかないかな?」

「それは本当の意味で人生を賭けていないのかもしれないね」

「あまりにも。自分勝手がすぎないかな?だってさ?自分の都合の悪くなったら切り捨てるわけでしょ?」

「それが人生を賭けた大勝負だとしたら?」

「さっきからなんなのさ、人生を賭ける賭けるってうるさいよ」

「自分が人生を思い描いて理想の人生を送るために結婚をしているとしたら、なんとなくわからないかな?そのパートナーは心から愛せて自分の思い通りになる人がいいなんて」

「それならわかるけど、そこに愛はない気がする」

「愛ってなんなんだろうね」その言葉に忍は間髪入れずに答えた。

「愛は愛だよ。いろんな形がある。見返りを求めないものこそ本物の愛だよ」

「ならおじいさんは誰一人愛していなかったのかな?」

「それは愛していたと思うよ?」

「どうして?」

「おじいさんは自分を愛していたんだよ。大切な自分のために理想の人生を送るために」珍しくまともなことを言う忍に拓郎は深く頷いていた。確かにそうなのかもしれないと拓郎はそれを咀嚼してウィスキーと一緒に流し込もうとしていた。

「まぁ真実なんてわからないもんだよね。本当にそのおじいさんが自分を愛していただけなのかなんて、そのおじいさんすらわからないと思うし。お前が愛してるのはお前だーなんて言ったら、きっとおじいさんも反発するよね。自分はそんな人間じゃないってさ」

「そう言うもんだよな。人格がしっかりしてしまうとそれを打ち砕くのはそう簡単じゃなもんな」

「その通り!だから俺のことも許してよ。旦那ぁ!」体をクネクネと動かして解放して欲しいと訴えている彼を拓郎はただ見ているだけだった。しばらく目をうるうるとさせて反省したかのような表情になった時彼は言った。

「お前のそれは治せるだろ?気をつければいい。それにちゃんと悪いことだって理解してるはずだ」

「それはそうだけどさ!多めに見てよ。俺は本当にわざと辛い目に合わせようなんて思ってないんだからさぁ」さっきまでの彼の姿はなく情けなく芯のない男に戻っていた。

 拓郎は彼とそう言った話をしたことがあまりなかった。いつも中身の無いどうでもいい流行り物の話や最近あった話などで盛り上がりそれで終わってしまっていた。今日のようにお互いの意見をぶつけるような機会があまりなかったことで彼の真面目な意見を聞き少し面食らってしまったのだ。

「おまえ、割と真面目な話でもいけるんだな」

「そりゃ、俺だってそれくらい話せるさ!同じ歳をこの地球で生きているんだからね」

「急に賢そうなワードを無理に使おうとするな。らしくない」

 そう言うといつもの忍に戻った。

「たまにはこう言うのもいいかも知れないな」

 そう言うと忍は頷き静かな時間が流れていった。拓郎は少し目を瞑りおじいさんのことを思い出していた。

                  ※

 農作業が終わりみんなで片付けに入った頃おじいさんとおばさんがにっこり笑ってお疲れ様とスイカを切ってくれた。拓郎はちゃんと草刈りレースで一番をとり大きくスイカを切り分けてもらった。

「どうじゃね?勝利の味は」

「格別ですね。気持ちもいい」

 おじいさんはそうじゃろうと一言言うと拓郎の頭を撫でてやった。また恥ずかしくなったけれど今回は少し嬉しかった。

「賭け事はほどぼどにじゃぞ?」

「僕にはまだあんまりわからないかも」

 おじいさんはスイカのタネを飛ばし、やがて微笑みながらまた拓郎の頭を撫でた。

「時期にわかるさ、早いうちから気づいて損はない。忘れるなよ。この言葉」

「わかる日が来るよね?」

「あぁ、もちろんじゃ。忘れなければの」

 こうして皆で民家に戻り風呂を浴びて、ゴロリと横になり疲れを癒していた。縁側に吊り下げられている風鈴が揺れ優しい音が、部屋の中に響いて農作業で疲れた体に沁みていく。

 そこにひぐらしの鳴き声が混ざり合いこれまた理想の田舎にまた一歩近づいて聞きなれない声に耳を澄ましてただ日が暮れていくのを眺めていた。皆がリラックスしている時おじいさんの怒鳴り声が聞こえてきた。

「たっくよ、なんでこんな上手くいかねぇんだ。ちょっと叩いただけなのによ!使えねぇなぁ。くそ!動かねぇじゃねぇか!」

 皆が顔を合わせて確認して何があったんだろうと話した。しばらくして息を切らせながら縁側の方へとおじいさんが向かってきた。

「すまない、急に大きい声を出してしまって草刈機の調子が悪くてのぉ。ちょっと修理しておったんじゃ」そう言うと皆は一斉に胸を撫で下ろし口角があがった。

「さぁ!皆風呂も入ったことだし、晩餐とにしようじゃないかー働いた後の飯は美味い。カミさんも心を込めて料理を作って待っておるぞ。料理はちっと下手なところは腹が立つがまぁそれ以外は完璧なんじゃよ。今は皆疲れておるし、きっとうまいじゃろう。さ、こっちへおいで」拓郎たちは促されるままに台所へと向かった。おばさんは朝会った時の笑顔のままご飯を装ってくれていた。

「俺大盛りがいい!」

 拓郎は大きな声で大盛りと叫んだ。おばさんは大盛り、大盛り?大盛り。大盛りとロボットのように発した後にはっとして拓郎のご飯を仏様のご飯のようにぎゅうぎゅうと押し込み詰め込みこれでもかと言うくらい大盛りにしてくれた。それは最早超特盛くらいあった気がするが彼は腹が減りすぎていたのでなんの問題もなかった。そうして夕食が始まった。色とりどりの野菜や揚げ物を大きなお皿にたくさん盛り付けられていてどれもとても美味しそうだった。

「これ食ってみぃ?美味そうだろう?」

 そう言うとおじさんは拓郎のお皿にコロッケを取り分けてくれた。それを拓郎は一口食べて顔が少しへの字に曲げた。

「ほらのぉ、やっぱり料理は苦手なんじゃのう」

「あらごめんなさいネ、どこかおかしかったかしラ?」拓郎はいいえ美味しいですと答えてコロッケをほぼってご飯を口に詰め込んだ。

「どれ、わしが食ってやろう。うむ。お前中身が冷たいぞ?どう言うつもりなんじゃ、お客様にこんなもの出して」

「申し訳ございません!申し訳ございません!」とひたすらにおばさんはおじいさんに謝り続けていた。

「全く、本当にどうしようもないやつじゃ。料理以外はいいのになんでこうを粗相を犯すかねぇ、わしだけの時はまだいいんじゃよ。ただお客様がいらっしゃるのにこんなんじゃのぉ」拓郎はこの空気を少しでも変えようと努力をした。

「まぁまぁ、そんなこともありますよ!ほら他の料理はとっても美味し」他の料理を取り皿に乗せて頬張ってみせた。それはとても無理をしているように映ってしまったのだろうおじいさんの顔は柘榴のように赤黒く染まっていきやがて、もういいといいその場を離れてしまった。それからもおばさんはかなり凹んだ様子で俯きながらご飯を食べていた。この農業体験で二番目に印象に残っている出来事であった。

                  ※

 それからしばらく拓郎は目を瞑りひたすらに昔の思い出の中に浸っているともう眠ってしまっている忍に目をやり、はだけてしまった毛布を一枚かけてやった。まだ入っているウィスキーのグラスを傾け口に当てたとき奥の掛け時計が目に入った。もう朝の6時を回っていた。拓郎はテレビのボリュームを小さくして天気予報を見ようとニュースをつけた。

 そこには茨城県X市の民家にて7体の白骨化した遺体を発見と報道されていた。

愛の形はたくさんありますよね。

どんな愛でも愛と言っていいのかというとそれはまた違う話になってきます。自分よがりな愛は愛ではなく

依存や執着に近いものなのです。

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