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学食にて

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「まったく、お前ら朝ごはんをあれだけ食べたのに、まだ食べるのかよ」


大学の食堂入って、一番奥にある長机の隅に陣取った俺たち四人の目の前に、人数以上の料理が並んでいる。ウリエルはラーメンとたらこスパゲッティ。ガブリエルはオムライスと中華丼。お前ら少しは食い合わせ考えろ、まったく。


「しかし、よく食べるねえ。やっぱ外国の人は胃袋の大きさが違うんだなぁ」


ベタベタな感嘆を述べて、炒飯(小)を口に運ぶ親友笹本の姿が隣にあった。ちなみに俺は焼きそばだ。


「この食べ物、美味しいですの。魔界って本当に食べ物が美味しいですのね」

「お姉様、この黄色いオムライスと言う食べ物今まで食べたこと無い味です」

「まあ、ガブリエル。私も一口食べて見たいですの」

「どーぞ、どーぞお姉様」


お、豪快に一口行きやがったなウリエルよ。


「まあ!本当ですの。食べたこと無い味ですの」

「でしょ?でしょ? 」


おい、お前ら余りきゃーきゃー騒ぐな。隣の女の子グループがさっきから、お前らの食いっぷりに驚いてるじゃないか。

ウリエルとガブリエルは俺のツッコミ気味の視線を物ともせず、あっという間に目の前の料理を平らげてしまった。


「魔王が食べている、その食べ物はなんですの? 」


ウリエルよ、これは焼きそばと言ってな。食堂で一番安くて、ありがたーい食べ物だ。お前らの食べたご馳走とは違う庶民の味方だ。と、言ってやりたいところであったが、それを言ったところで「そうなんですの?」で終わってしまうのは目に見えてる。ここは名前だけ言っておくか。


「焼きそばだ」

「焼きそば……それも美味しそうですの」

「お姉様、笹本様のお食べになっているご飯も美味しそうですよ」

「流石はガブリエル、やりますのね。実は、既に明日はあれを食べようと心に誓っていますの」

「あらまあ、わたしも明日絶対に食べようと……」


おい、明日も来るんかい!ってこいつら本当に食に対しての欲求がすげーな。天界ってろくな食べ物が無いのかよ。……いやまてよ、確か仙人って霞を食ってるんだっけな。まさか、こいつらも。


「明日も来るのかー。じゃー明日は午後からしか講義が無いから、食堂で集合になるかな」


笹本が能天気に薄ら笑いを浮かべて言ってやがる。何ならこいつらの昼飯を奢ってやってくれても良いんだぞ?


「まあ、素敵ですの!魔王!明日は食堂スタートですのよ」

「お姉様、わたし明日何食べるか今から決めておきます!! 」


ウリエルとガブリエルが手を握り合って喜んでいるのを眺めていると、笹本が話しかけてきた。


「お前、今日バイトだろ?この二人どうするんだ? 」


しまった、すっかり忘れてた。今日は月曜日か。十八時から二十二時までしっかり四時間入らなきゃいけないな。

確かにこの二人を、何処か外にほったらかして置くわけにも行かないし、先に帰れといっても「魔王から目を離せません」とか言うんだろうなあ……。


「バイトって何ですの? 」

「えっ、バイトって英語じゃ無いのかよ……うーん。なー真央、バイトって英語で何て言うんだっけ」


笹本よ、何故英語で説明が必要になるんだ。今までこいつら、思いっきり日本語で話ししてたじゃないか。外人の親戚と説明したが、こいつの頭の中で外人が独り歩きしてるな……。


「バイトってのは仕事だ、仕事」


その通り、バイトだって立派な仕事だ。ただちょっと融通が利くだけだ。


「あーしってます。仕事って大変ですよね」


ガブリエルが今度は深く頷いている。


「ガブリエルずるいですの。私もそれくらい知ってますの」


さあ、どうしたものかと俺は考えていた。バイト…当日だから交代してくれる人もいないだろうし……。

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