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両手に天使

「やっと終わった……長かった」


机に突っ伏している俺を、涼しい顔して眺めるウリエルとガブリエルが両脇に座っている。

おい、やめろ。周りを行き交う人に笑顔を振りまくな、ただでさえ目立つのに。

ほら見ろ、あそこの男三人組がやらしい目つきでヒソヒソ話をしてやがる。まぁ、実際持って行ってもらえるものなら持って行って欲しいのだが。良いぞ今ならのし紙つけて贈呈してやる。


朝の玄関前でのひと騒動のあと、三人で慌てて電車に飛び乗り、ってまあ、勿論二人とも定期を持っていないので慌てて切符を購入したりしていたんだが、まあ長くなるからその話はいいか。

兎に角、目立つ二人を従えて、大学の講義室に到着した時は講義が始まった直後であった。滑り込みセーフなんだが逆にこれまた無駄に目立ってしまい、確実に全員に認識されちまった。これはこれで大問題だ。

そこからそそくさと講義室の最前列に座り、講義を受けること一時間半。つかれた……いつもよりつかれた。


「よう、#真央__まなか__#。今日はまたギリギリだったな。また寝坊か? 」


やはり来たか親友よ。中学校の時からの腐れ縁でもある#笹本__ささもと__# #宏__ひろし__#が声をかけて来た。まあ、こいつが講義が終わって声をかけてくるのは、いつもの事なんだが。顔を上げてみてみると、笹本のわざとらしい笑顔とトレードマークであるキツめの天然パーマが目に入る。


「まあな。今日はいつもより色々あって大変だったよ」


むっ、笹本の野郎、ウリエルとガブリエルを交互に見てるぞ。まあ、目立つからしょうがないか。

って、お前気づいてなかったのかよ、全く天然なんだよなぁ。


「真央、このお嬢さん二人とお前はどんな関係なんだ?まさか、彼女でもあるまい 」


失礼な、彼女でもあるまいって最初から彼女ではないと決めつけるのは良くないぞ。まぁ、でもお前の言う通り彼女ではないから文句は言えないんだがな。


「遠い親戚だ。外国人の従兄弟ってやつだな」

「へーっ、長い付き合いなのに知らなかったな。しかしめちゃめちゃ可愛いじゃん。なぁ真央、俺に紹介してくれよ」


おいおい、まずこんな下手な言い訳をしているツッコミをしないか。都合よく外人の親戚ができるほど日本はグローバルな国ではなく、未だに周りを海で囲まれた鎖国状態だろに……っとまぁ半分八つ当たりなことを考えていると、ウリエルとガブリエルが突然立ち上がった。


「お初にお目にかかりますの。私はウリエル・ヴァーミリオン、上級天使ですの。隣にいる魔王を倒すためにこの魔界にやって来ましたの」


ウリエルの自己紹介を聞き、固まっている俺と笹本にガブリエルがトドメを刺す。


「わたしは、ガブリエル・アンダーソン。見習い天使です。お姉様のサポート役兼、勉強を目的として付いて来ました。よろしくお願いします」


深々と頭を下げるウリエルとガブリエルを尻目に、笹本は俺の方を見る。


「や……やっぱり、外国の人の言葉は分からねえな。#真央__まなか__#を魔王と間違えて言っちゃってるし。ははははは……」


笹本よ、あまりのショックで外国語と日本語の区別もつかないか……すまんな。まあ、都合がいいから今のはそう言うことにしておこう。


「ま……真央、こんなとこに突っ立っててもなんだから、えーっと……そうだ!学食でも行こうぜ」


笹本は、必死に取り繕うとしている。


「学食?それは何ですの? 」


ウリエルが笹本に問いかけた。うん、完全に日本語だな。ウリエル日本語上手だぞ。


「あー学食ってのは、ご飯食べるところだよ。ラーメンとかオムライスとか色々あるよ」

「「ご、ご飯!!!」」


笹本の言葉にウリエルとガブリエルが飛びついた。おい、お前ら。さっきたらふく朝ごはんを堪能したばかりだろ……

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