果物に脚が生える話
果物に脚が生える話
プロローグ
縞々模様といえば何があるだろうか?しまうま?それとも、蜂?いいや縞々と言ったらやっぱり俺たちだろう。その昔、俺らは小さかった。それはそれはピンポン玉の様。特徴的なあの縞々模様すらなかったのだ。これは俺らに縞々模様が付く様になったお話。
今から1000年以上前、俺らの事がが大好きな王様がおった。庭で俺らを育て、毎日食べていた。この頃はまだ夏限定の食べ物では無く、どんどん育てられたそうな。ピンポン玉くらいのサイズなので毎日毎日、沢山食べて暮らしていた。しかしある日ご先祖様は思ったらしい。
「こんな人生は嫌だ!毎日毎日味わいもせずに我らの同房を食べやがって!食べらないように進化してやる!!」
そう、俺らは進化をする事にしたのである。
第一進化
進化をするにしてもどうすれば食べられないのか見当も付かなかった。そんな時、奴の奴隷が俺らを採取しに来た。髪は金髪で、寝癖が沢山ついている。
「はぁー…。毎日毎日…採るの面倒くさいなぁ…。俺も脚が早ければこんな所から逃げ出すのに……………。」
奴隷は文句を言いながら丁寧に俺らを刈り取ってゆく。あぁ、そうか俺らも足で逃げればいいのか!!俺らは頑張って頑張って足を出した。人間のように逞しく、美しい足を。しかし、つたで俺らはくっついていたので逃げ出す事はできなかった。さぁ、俺らを刈り取ってみろ!いつもの奴隷が今日も俺らを刈り取りにやってきた。彼はいつもの様に石包丁を俺らにあて……………目をまんまるくしてこちらを見ている。目を擦ったり瞬きをしたりを繰り返したのち、彼は発狂した。もはや何を言ってるのかわからなかった。そうして1日が終わった。
第二進化
次の日俺らを刈り取りに来たのは、いかにも真面目そうな女だった。俺らを見るとすぐに石包丁を取り出して素早く数十匹の俺らを切り取り、足をも切り取ってしまった。その時間訳30秒。あぁなんと酷い。俺らは脚があると無駄に痛い思いをするので、脚はいつしか無くなった。
解決法も出ないまま暫く経ったある日彼女が刈り取ろうとした時、蜂が前を通ったのである。彼女は蜂を見た瞬間に逃げ出した。刈り取られずに済んだのである。彼女は蜂が苦手なのだろう。蜂と俺らの違いはなんだろうか。そうか!縞模様!そうに違いない。そうして俺らは月日を掛けて体に縞模様をつけた。
第三進化
縞模様をつけても、収穫される量は全く減らなかった。むしろ増えたかもしれない。噂によると最近王様は太った事を気にしているらしい。そこで王様は大きい食べ物でなく、小さい食べ物を食べれば太らないという暴論を吐いたらしい。なんて奴だ!なら大きくなってやる!!そうして俺らは大きくなって人の頭より大きくなった。しかし王様はそれを丸呑みしてしまうらしかった。もしかしたら王様は口が裂けているのかもしれない。
第四進化
最近刈り取りに来る人がマッスルなおじさん達になった。俺たちが大きくなったせいで力がない人は収穫できないと判断されたらしい。あぁ、美人なお姉さんとかイケメンが刈り取りに来るのを楽しみにしていたのに。つまらないなぁ……………。
「知ってるか?最近王様にカチカチのパンを出した女中が首になったらしいぞ」
おじさん達は話しながら刈り取って運んでいく。良いことを聞いた!カチカチになれば王様は俺たちを食べないかもしれない。また年月をかけ、俺らは硬くなったのだが中身を固くすることは出来なかった
第五進化
硬く進化したにも関わらず、中身だけ綺麗に食べられる様になってしまった。まぁ、そんなものか。最近は道も華やかになってきて俺達以外の植物も増えてきた。人通りも増えて色々な噂が耳に入ってくる(耳無いけど)。最近王様は血を吐いたらしい。生で豚でも食べたのだろうか、不味かったからきっと吐いたんだ!そうだ!俺らも赤くなれば、血みたいに見えて食べなくなるんじゃあ無いだろうか!!ただ、全部赤くするのは芸がない。開けたらビックリ血の果実!!!!!よし、これだ!これで行こう!!俺らは一年ほど掛けて身を赤くした。進化するために栄養を沢山使ったせいか、夏にしか生えなくなってしまったが誰も困らなかった。俺は刈り取られなくなったのだった。
エピローグ
王様が死んだらしい。いざ食べられなくなると悲しくなってくる。そういえば、王様意外俺らを食べてくれる人はいなかったな…。食べられない様にじゃあなくて、美味しく食べてもらえる様になれば良かったなぁ…。
「お父さん!この植物なぁに?」
明るい少女の声がする。お父さんと呼ばれた人間は優しい声で娘に返事をした。
「この植物はねスイカって言うんだ。食べてみるかい?」
丁寧に刈り取られた俺は家に持ち帰られ、少女の口の中に入っていった。
ご馳走様でした
スイカはお好きですか?私は好きです。
スイカの縞々はどうしてできたんだろうと思ったので書きました。