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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
剣を創りに行っただけなのに

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新しい日常





「俺の新しい武器を取りに行く?」


夏休みも中盤に差し掛かったある日、部屋に不法侵入してきたイシスを捕まえて正座させていたところ、彼女が焦ったようにそう口にした。

曰く、イシスとの戦いの時に折ってしまった黒剣の代わりになるものを、皐月と共に探してくれていたらしい。

ちなみになんで皐月かと言うと、ユグドラシルに所属しているから色々と手っ取り早いそうで。

向こうにもう話は通っていて、日時を擦り合わせたところ今日がベストなタイミングだから、満を持して俺を呼びに来たと。


「入る前に何回かノックしたのよ?でも反応がなくて開けてみたらご主人様、まだ寝てたんだもん!」

「いや、まだ九時だし・・・・・・」

「早寝早起きは大事なんだからね?しっかり体調に気をつけないと、夏バテしちゃうよ」

「・・・・・・・まさかイシスにそんな事を言われる日が来るなんてね」


いつもはド変態な言動しかしていないのに。

まぁでも、今回のは俺の早とちりってことだったんだな。

せっかく俺のために準備してくれていたのに、勘違いしてイシスには悪いことをしちゃったね。


「ううん、これはこれで良いのぉ・・・・・・・その鬼畜さがたまらないわ・・・・・♡」

「これが無ければ心の底から申し訳ないと思えたんだけどなぁ。とりあえず正座止めていいからね?俺の勘違いだったんだし」

「ご主人様ほんとは私、ぐっすり寝てたご主人様にキュンキュンしちゃって、襲いそうになってました!」

「なぜ自分から汚れにいく?」


そんなこと言っても、おしおきはしないからな?

何故かショックを受けているイシスだったが、渋々といった様子で言われた通り正座を崩して普通に座ってくれた。

どんだけおしおきが欲しかったんだか・・・・・・。

たとえイシスが言ってたことが本当だったとしても、もう俺は一度イシスにおしおきしているのでチャラだからね?


「ほれ、イシスちょっとこっちおいで」

「なになに?」


おしおきを貰えるとでも思ったのか、目を輝かせながら一瞬で俺の前におすわりするイシス。

・・・・・・なんだかエサを待ってる犬みたいだな・・・・・。


「イシス、ありがとね。俺のために頑張ってくれて」


その姿に苦笑いしながら正面にあるイシスの頭を撫でた。

変態的な言動はともかく、皐月と共に俺のために動いてくれたことは素直に感謝しなければ。

皆と暮らし始めて一週間ほど経つが、やはりイシスの気配りの上手さはずば抜けて高い。

いつもとっても助かってる。

まあ、本人はご主人様に奉仕するのは奴隷の義務だって言ってるけども。


「・・・・・・・・・・あぅ・・・・・!」


顔を真っ赤に染めたイシスは、珍しくしおらしい雰囲気で下を向いたまま動かなくなってしまった。

あらら、いつもは積極的なのに、こういう風に素直に褒められるのは慣れてないのかな?

思っていたよりウブな反応に悪戯心が芽生えた俺は、俯くイシスをさらになでなでしまくる。

ふっふっふっ、いつも振り回されてるお返しだ!

せいぜい恥ずかしがるが良い。

サラサラな水色の髪をすいてやると、最初はビクッとしていたイシスも徐々に気持ちよさそうに目を細めていく。

・・・・・・・やば、なんか癖になりそうだな。

イシスの髪の毛、すごい綺麗だし絹みたいに滑らかだ。

っと、いかんいかん、恋人でもないのに女性にこんな事するのは失礼か。

改めて考えてみると、朝っぱらから何やってんだろう俺は。

イシスに感謝を伝えるのは良いとして、その後にやった色々は絶対にいらなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず、起きるか。

ふと冷静になった俺はイシスに謝りながら手を退ける。

が、すぐさまその手はイシスに掴まれ、彼女の胸元まで持っていかれた。


「・・・・・・あの、ご主人様・・・・もっと撫でて欲しい、です・・・・・」


上目遣いで俺を見つめる瞳は潤んでいて、朱に染まったほおと合わさって妖艶な雰囲気を醸し出していた。

こんな表情でおねだりされたら、男なんてイチコロだろう。

現に俺も一瞬グラッときたね。

あれ、イシスにも普通の女の子な一面もあるんだ、とも思ったよ。

だが俺は知ってる。

イシスは良い意味でも悪い意味でも、期待を裏切ることは無いんだと!


「・・・・・・ご主人様に撫でられてると、どんどん変な気持ちになるんです・・・・・!こんなの病みつきになっちゃいますよぉ♡」


な?

ちょっと"あれ、なんかこのイシスは可愛いな・・・・・"とか思った次の瞬間にこれだよ。

まあ予想通りの反応ではあるんだけどね。

少し期待してしまった俺の気持ちを返してほしい。

あ、当然ながら無視します。


「イシス、着替えるから外行ってもらっても良い?」

「あぁん、清々しいまでのスルー、さすがご主人様だわ!」

「そんなので喜ぶのかよ・・・・・・。これ以上見たくないから早く出てくんない?」

「んんっ、その軽蔑した眼差し最・高・・・・!あ、それと私のことはお構いなく。ご主人様のお着替えを手伝うのも奴隷の役目だから!」

「そんなわけあるかい、普通に出てけ!」

「脱ぎだしたご主人様は自分の肌に直に触れる私に我慢しきれず、そのまま私を・・・・・!うへへぇ♡」

「あれ、まったく聞いてない!?」


妄想にふけっているイシスは、熱に浮かされた笑みを浮かべながらヨダレを垂らしている。

もうやだこの人・・・・・・。

どうしようもない変態さんには即行部屋から出ていただき、着替えを終えた俺はリビングへと向かう。


「あ、咲夜おはよー」

「おはよ。父さんたちはもう仕事行った?」

「うん。お義母さんは割とすぐ帰ってこられるかもだって」


へぇ、それは珍しい。

うちの親はラノベ作家とアニメ脚本家という仕事上、家にいる時間があまり多くない。

ラノベは家でもかけそうだが、父さんの場合集中できるからという理由で、いつもカフェで書いているそう。

と言うわけで父さんはともかく、母さんが早く帰ってくるのは、すごく珍しいことなのだ。


「咲夜くん、朝ごはんもうすぐできるから、コップとお箸並べてくれる?」

「りょーかい」


キッチンに立つ美海の後ろを通って冷蔵庫からお茶を取り出し、それと一緒にコップとお箸を持って、リビングのテーブルに置く。

皆が引っ越してきてからは、ご飯を作るのが当番制となった。

毎日二人ずつが担当で、今日は花恋と美海の日。

もちろん手が空いてればその他の人も手伝うんだけどね。

まあ、あいにくと俺は朝が苦手なので、いつも自分の担当の日以外は手伝えていないが。


「うぅ・・・・・皐月さぁん・・・まだ眠いんだけど・・・・・」

「朱華ちゃんってば、結構いい時間ですよ?もう、朝が苦手なのは咲夜さんと同じですね・・・・・・・あっ、咲夜さんおはようございます!」


お茶を入れていると、皐月と皐月に肩を支えられた朱華が起きてきた。

朱華は眠たそうに瞼をこすっていて、寝起きなのが見て取れる。


「おはよ、皐月。わざわざ朱華を起こしに行ってくれたの?ありがと、朱華は寝相が悪いし寝起き最悪だし、大変だったでしょ」

「そうですね・・・・たしかにお布団から出るだけですごく時間がかかってました・・・・」

「むぅ、お兄ちゃんも皐月さんも酷い言い草だよ!寝起きはともかく、寝相は悪くないもん!」


寝起きが悪いことは認めるんかい。

さっき皐月が言っていた通り、朱華は起こしたとしてもすぐ布団から出ずに、いやいやと首を振りながらすぐ布団に潜り込むのだ。

時々そのまま二度寝しちゃうし。

まあそれが可愛いってのもあるんだけど、平日にそれになっちゃうと学校に遅れないかすごく不安なんだよね・・・・・・・。

同じく朝が苦手な俺が言える事ではないけども!


「ご主人様、私の時と反応が違すぎない!?」

「・・・・うん・・・・・まあその、日頃の行いってやつかな」

「そんなぁ・・・・!」


たしかに自分でもあれはあんまり・・・・・・って思うけどさ。

でも朝目が覚めて、目の前で荒い息をしてるイシスがいたらそりゃ、ああしちゃうでしょ。

一瞬で襲われると思ったもん。

・・・・・・・うん、イシスの日頃の行いのせいだよね・・・・・?


「はぁん・・・・ご主人様に酷い扱い受けるの、すっごく興奮しちゃう・・・・・♡」

「朝からこれはきついなぁ」

「ほら、イシスもはぁはぁしてないで、もうご飯だよ?並べるの手伝って」

「ん、分かったわ!」


本人は特に意識していないとは思うのだが、ご主人様のおかげで元気いっぱいだわ!、が変な意味にしか聞こえない。

さっきまでの行いのせいもあるのだろうけど、ついに俺の心まで汚され始めたのだろうか。

どうしよう、このままイシス好みの俺になっちゃったら・・・・・・・。

若干危機感を覚えながら、イシスと一緒にお皿を並べるのを手伝い、全員が席に着いたところで、いただきますをする。


「そういえばイシスから聞いたんだけど、皐月と二人で俺の新しい武器を探してくれてたんだって?」

「はい!さすがに武器がないと不便だと思ったので、一度"ユグドラシル"に帰って聞いてみたんです!そしたら快く了承してくれました!」

「おおぅ、まさかそこまでしてくれてたとは・・・・・・・。皐月、ほんとありがとね」

「えへへ、咲夜さんに頭なでなでされちゃいました・・・・・!」


感謝の証として頭を撫でると、皐月は嬉しそうににへらとほおを緩ませる。

・・・・・・・なんか、撫でられてる子犬みたいにしっぽをブンブン、耳をパタパタしてる姿が見えた気がする。

皐月たちの話を承諾してくれた人はかなり高位の存在らしく、俺たちが会えるのが今日しかないそうだ。

有名な鍛冶師なのかな?

時間はいつでも良いということなので、朝ごはんを食べ終わったら準備して行こうという話になった。


「私は残って、オルガさんと一緒に朱華ちゃんと美海の魔法練習を手伝うよー」

「早く一人前になって、お兄ちゃんと一緒に戦えるようになるんだ!」

「私も、皆に迷惑をかけないくらいには強くなりたいなぁ」


花恋と朱華と美海は、残って"夜桜"で修行するそうだ。

オルガさん(この前まで"夜桜"で仕事の手伝いをしてくれていた人)も手伝ってくれるらしい。

お兄ちゃん的には朱華の意気込みはありがたいんだけど、なにも朱華まで戦わなくても・・・・・・とは思っちゃうね。

でも、本人がそう決意してくれたんだし、ここで俺が変に出しゃばるのは野暮なのかな?

ちなみに"ユグドラシル"に行くのは俺と皐月とイシス。

幹部の皐月なら転移で"ユグドラシル"の根元まで行けるそうなので、サッと行ってサッと帰ってくる感じだ。

朝ご飯を食べ終わった俺たちは各自で準備をして、花恋たちを見送った後、俺たちはリビングに集合する。


「じゃあ、二人とも皐月の手を握ってください!」

「ほいよ」

「はーい」


皐月に言われて俺より一回り小さな手を握る。

・・・・・やっぱり、いくら俺が女の子な外見してても、本当の女の子とは別物だな。

なんで女の子の手って、こんなにスベスベで柔らかいんだろ。

そんな不意の出来事にドキドキしているうちに、詠唱が終わったようで転移が開始され、俺たちは光に飲み込まれた。





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