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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
夏だ!海だ!神殿だぁ!

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もぉー、やだぁ!




「【フレアストーム】!」

「無駄なのだ!」


紅蓮(ぐれん)の竜巻が火の粉を()き散らしながら飛龍(フェイロン)に接近するが、迷わず突っ込んだ彼女によってあっという間に破壊されてしまう。

やっぱり効かないか・・・・・・。

予想通りだが残念な結果。

迫り来る拳を避け、飛翔(ひしょう)魔法を使って高速の空中戦を繰り広げる。

ドンッ、という衝撃を幾度(いくど)となく響かせてぶつかり合い、そのスピードはどんどん増していくばかりだ。


「"万焼波紋突(ばんしょうはもんづ)き"!」

「"龍の拳(ドラゴブロー)"!」


巨大な神気を(まと)った二つの(こぶし)が衝突し、暴れ狂うエネルギーが空間さえも(きし)ませ暴発した。

煙の中から弾き飛ばされて地に足が着いた途端に前へ踏み込み、直径三十メートルは有ろうかというリンクを一瞬の内に駆け抜ける。

そして接近する二人の間が一メートルにも満たないほど縮まった時、俺は今まで温めておいた奥の手を解放した。


────────────【神威解放(しんいかいほう)】!


そう口にした瞬間に神気(しんき)の量が膨れ上がり、光の翼を(たずさ)えた白髪(はくはつ)紫目しめの姿へと早変わりする。

後先考えない全力の姿なので神気の消耗(しょうもう)は激しいが、()()()()()()()()()使()()()()圧倒的に強くなっているはずだ。

さすがの飛龍(フェイロン)もこれには驚いたようだったが、それはすぐに引っ込んで代わりに凶悪な笑みが口元に浮かぶ。

心底楽しそうで、かつ闘争心むき出しの笑顔。



「「はあぁぁぁっ!!」」



お互いの拳がほおを(かす)めて後ろへ抜ける。

顔面に迫る蹴りを残像が残る程の速さで(かわ)して背後に回りこみ、裏拳を繰り出すがあっさりと空振(からぶ)ってしまった。

っ、上か!

バッと見上げると、高くまでジャンプしていた飛龍(フェイロン)の龍の爪が(みどり)色の光を()び、さらに巨大化する。


「"翠龍の神爪ジェイド・ドラゴクロー"ォォッ!」


落下と同時に隕石(いんせき)のような勢いで振り下ろされた龍の爪が、ガードする俺の腕をミシミシと軋ませ、その力に耐えきれなかったリンクは陥没(かんぼつ)して大きなクレーターを作る。


「潰れろ、なのだぁ・・・・・!」

「させるかっ・・・・!」


互角の鍔迫(つばぜ)り合いはまだ続く。

何もかも破壊し尽くされて荒野と化した場所で、翡翠(ひすい)純白(じゅんぱく)が一歩も譲らずせめぎ合う。

その光景は驚異的なのに幻想的ですらあり、さっきまで固唾(かたず)を飲んで見守っていた観客たちが、一斉に俺たちの名前を叫び始めた。


「咲夜ちゃ〜んっ!負けるなぁー!」

「ここまで来たんだ、やったれー!」

「押し切れ飛龍(フェイロン)さん!」

「勝利をもぎ取れぇ!」


声援に答えるように飛龍(フェイロン)の力が強まり、腕への負担と陥没はより大きくなった。

神気も徐々(じょじょ)翡翠(ひすい)が勝ってきているように見える。

ギリッと食いしばった歯から血が(したた)り落ち、身体全体はあまりの酷使(こくし)に悲鳴をあげている。


「う・・・・おぉぉぉぉっ!!」


翼をバサリとめいいっぱい広げて全身全霊(ぜんしんぜんれい)の神気を込めると、純白の翼は一際(ひときわ)輝きだし、キラキラした光の粒子(りゅうし)が勢いよく舞い上がった。

腕をクロスしたまま右手で龍の腕を掴み、握りつぶす。

亀裂(きれつ)は広がって行きついにバキンッ、とガラスが砕け散るような音と共に粉々に破壊され、(みどり)色の欠片が宙を舞う。

それとほぼ同時に【神威解放】を解除。

白と(みどり)残滓(ざんし)を振り払って、今度は飛龍(フェイロン)本人の腕を掴んで喉元に手首を引っ掛け、身体をひねりながら地面に押し倒す。


「俺の勝ち、ってことで良いかな?」

「・・・・・・・・うむ、参ったのだ」


いつでも急所を狙えるこの体勢では、もう勝ち目はないと(さと)ったのだろう。

やっと飛龍(フェイロン)が白旗を上げた。



『ついに!白熱の決勝戦、終了です!!激しい闘いを制したのは本日のダークホース、咲夜(さくや)選手ぅ!!』


「「「「「うおぉぉぉぉーーーーーっっ!!!」」」」」



今までで一番大きな歓声が巻き起こる。

俺を応援してくれた人も、飛龍(フェイロン)を応援していた人も、一丸となって俺たちの闘いを()たたえていた。

ふぅ、やーっと終わったぁ・・・・・・。

喉元を押さえていた腕をどけて、飛龍(フェイロン)の横にへたり込む。

全てを出し切ったせいでもうヘトヘトだ。


「わっはっはーっ、最後のは全力の一撃だったのに、よく防げたのだ!」

「かなりギリギリだったけどね。もう二度とあんな攻撃は受けたくないよ・・・・・・・・・」


飛龍(フェイロン)がゆりかごのように勢いをつけて起き上がった。

彼女の差し伸べてくれた手を取って俺も立ち、微笑み合いながら拳を交わす。


「神気の扱いはまだまだなのだ。鍛錬を忘れるでないぞ?」

「うぅ、りょーかい。いつか飛龍(フェイロン)みたいに出来るように頑張るよ」

「うむ、良い心掛けなのだ!」


【試練をクリアしました。また、強襲(きょうしゅう)ボス"飛龍(フェイロン)"を倒したため、三階→五階に移動します】


ピロンッとそんなテロップが出てきた。

どうやら飛龍(フェイロン)はこの階層のボスではなく、ランダム出現の特殊ボスだったらしい。

どうりで強かったわけだよ・・・・・・。

でも苦労して勝ったおかげで、一気に五階まで上がれたな。

五階をクリアすれば残るはラスボスのみ。

いよいよ終わりが見えてきたね。


「ふむ、咲夜。お前そのまま行くつもりか?」

「え?あ、チャイナ服(これ)?たぶん次の階層に着けば・・・・・・」

「そっちじゃないのだ。その消耗っぷりでどう闘うのか、っていう話なのだ」

「・・・・・・・・・・・どうしよう」


しまった、闘いに集中しすぎてそこら辺のこと考えるの忘れてた。

いやまあ手加減して勝てる相手じゃなかったし、負けたらゲームオーバーだから、結局こうするしかなかったんだけどさ。

このまま上の階層に行ったらそこら辺に居るゴブリンにも負ける自信あるよ?


「まったく、仕方ないのだ。これは私からのサービスなのだ!」


ため息をついた飛龍(フェイロン)が指をパチンと鳴らすと、(みどり)色の光が俺を包み傷や体力、神気までをも元通りに回復した。

おぉ、すごいこんな事も出来るのか。


「わっはっはー、私は最凶(さいきょう)の龍の神だからな!当然なのだ!まあ()()()()()はもっと凄いのだが・・・・・・」


ドヤ顔で薄い胸を()らし高らかに笑う。

最後の方はボソッと呟いてて聞こえなかったけど、この様子じゃ自画自賛(じがじさん)だったに違いない。

飛龍(フェイロン)の場合は本当に自慢できるだけの力があるんだけどね。


【準備が完了しました。十五秒後に第五階層に転移します】


テロップとともに光のゲートが出現する。

おっと、もう時間のようだ。

少し名残惜(なごりお)しいが進まなくては。


飛龍(フェイロン)、回復ありがとな。また機会があったら勝負しようぜ」

「その時は絶対負けないのだ!」


不敵に笑い合って再戦を誓い、みんなに見送られながら光のゲートをくぐり抜けた。



        ◇◆◇◆◇◆



ゲートを抜けた先は今までの階層とは違い、何とは言わないけど()()()()雰囲気をしていた。

ピンポイントに俺の苦手な分野だ。

・・・・・・・いんや、見た目で判断するのはいけないよね!

ただ単にそういう感じなだけかもしれないし。

と、とりあえず進もうか。


『ア゛・・・ア゛ア゛・・ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ・・・・!!』

「ひぅっ!?」


ほらぁ、思った通りですよもぉ!

曲がり角の先にいたのは、不気味なローブを羽織り黒いモヤのような身体をした魔物。

おそらくレイスという魔物だろう。

そしてみなさん覚えているだろうか。

俺はこういう(たぐ)いがめちゃくちゃ苦手だということを。


「逃げるが勝ちっ!」


清々(すがすが)しいまでの逃げ。

だってあんなのと戦えるわけないじゃん!

対アンデット用の魔法もあるけどそういう問題じゃないの。

決めた、この階層では極力戦わないで最速でボス部屋に行こう、そうしよう。



【ファントムを五体倒せ】



『『『『『グアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!』』』』』


「ちょっと待て普通に上位魔物じゃんか!ええぃ、悪に魅入(みい)られし魂よ、今(くさび)から解き放たれ輪廻(りんね)に戻れ!【浄化(エクソシズム)】!」


淡い光がファントムたちを包み込み、現世に囚われていた魂を浄化し天に送る。

ふう、対アンデットに特化した神聖魔法はほかの魔法と違って、詠唱が必要な上にちょっと厨二病っぽいけど、威力は半端ないんだよね・・・・・・・。

この調子でサクサク進もう。








【部屋を埋め尽くすアンデットを殲滅(せんめつ)し───────】


「ここは(せい)なる領域(りょういき)にして、蔓延(はびこ)()しき魂を(めっ)する疆域(きょういき)なり!【聖域(サンクチュアリ)】!」


部屋に入った瞬間、中に溢れかえるようにいたアンデットを一瞬で消滅させる。

もぉー、この階層こんなのばっかり!

ボス部屋は全然ないし、一体どうしたら良いんだよぉ・・・・・・って。

試練をクリアして奥へ進むと、今までとは違った雰囲気(ふんいき)の大きな扉がある広い部屋にたどり着いた。

来たぁー、いかにもボス部屋!


「最速だ・・・・最速でクリアしてこんなとこ、おさらばだ・・・・・・」


ふふふっ、と怪しい笑み(?)を浮かべながら扉に手をかけた瞬間、部屋の中からドンッという轟音(ごうおん)が響いてきた。

おおぅ、びっくりした。

もしかして先客が・・・・・って花恋(かれん)しか居ないか。

こんなとこに居るのは俺か花恋ぐらいだろうしね。

今のはボスを倒した音かな?


「先を越されたのは悔しいけど、やっとこれで先に進めるよ・・・・・。後でお礼言っとこ」


正直、アンデット系のボスと戦うのはかなりキツそうだったから、花恋が倒してくれたのはとてもありがたい。

重々(おもおも)しい扉をゆっくり開ける。


「おーい花恋ー、次の階層行くなら俺も─────────っ!?」


俺が見たのは信じられない・・・・・・信じたくない光景。

壁には大きなクレーターが出来ているため、さっきの衝撃はあれができた時のだろう。

しかしそのクレーターの中心で倒れていたのは、この階層のボスではなかった。

おびただしい量の血を流し、胸元に剣を突き立てられていたのは───────────────花恋だった。

壁に寄りかかるように項垂(うなだ)れて顔は見えない。

そんな彼女を睥睨(へいげい)するように、首なしの騎士が少し離れて立っていた。

アンデット系魔物の中でもかなり上位に君臨(くんりん)する不死の魔物"デュラハン"。

こいつがボスか。


「お前・・・・・・」


絞り出した声にデュラハンが反応し、ガシャガシャと音をたてながらこちらに向く。

感じられる神気の大きさはかなりのものだ。

アンデットなのに神気を(ゆう)するとはこれ如何(いか)にとツッコミたいが、今はそれどころではない。

純白の神気を拳に集め、瞬時にデュラハンの懐へ潜り込む。


「人の嫁に、何してくれてんだっ!!」


手加減なし、本気の一撃で部屋の向こう側までぶっ飛ばした。






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