これ仕組んだやつ、ぜっっったい許さんからなぁ!
ベットの上で頭を悩ませていると、コンコンッとドアがノックされる音がした。
んぅ、朱華かな・・・・・と言うか朱華しか居ないよな。
ベットから降りてドアを開けると、ワイシャツ姿の朱華がそこに立っていた。
何故かスカートは履いていないから、正直目のやり場に困るのだけれど・・・・・・。
さすがにその下に短パンは履いてますよね?
「お兄ちゃん、ちょっと部屋入ってもいいかな・・・・・・・」
朱華は俯いてワイシャツの裾をギュッと握りながらそう頼んできた。
むむっ、これは結構深刻な感じっぽいな。
まさか俺を頼ってくれるとは思わなかった。
俺に出来ることなんてたかが知れてるかもしれないけど、頼られたからにはやれるだけの事はやってあげたい。
俺は二つ返事でオーケーし、朱華を部屋に招き入れる。
あ、普通に入れちゃったけど、そう言えば見られたくないものとかしまってたっけ。
不安になって部屋を見回すと、案の定机の上に怪しい本が。
あっぶねぇ隠せ、隠せ!
朱華に見られる前に、速やかにそれをカバンにしまう。
ちなみに言っておくが、これはこういう時の定番であるエロ本ではなく、ただの禁書だ。
魔力を持たない一般人が中身を見ると、禁呪の呪いにかかって場合によれば衰弱死してしまう事もあるらしい。
朱華が興味本位で見ちゃったらいけないからね。
何でこんなものがここにあるかと言うと、俺が花恋たちに借りたから。
この前のリヴァイアサンとの戦いで力不足を感じたので、剣の修行ついでに覚えていたのだ。
ちなみに俺は代償無しで禁呪を放てるらしいよ?
すごくね?
・・・・・・・・とまあ、この話はここまでにしておいて。
「で、朱華。何か相談でもあrのわっ!?」
あまりに突然の出来事すぎて、俺は何も反応できなかった。
後ろから腕を引っ張られて、崩れた体勢のままベットに押し倒される。
「ちょ、朱華どうし・・・・・んむっ!?」
俺の上に馬乗りになる朱華に困惑していると、いきなり唇を奪われた。
口内に舌が入り込んできて、貪るように濃厚な口付けが行われる。
・・・・・・・く、くるじい・・・・・息できな・・・・・・・!
酸素が恋しくなるほど長い口付けが終わり朱華が離れると、二人の間に銀色の糸が艶めかしく繋がっていた。
ぷはっ、はぁ、はぁ・・・・・・・・・ふぅ、危うくキスで窒息死なんていう、変な死に方するところだったぜぃ・・・・・・・・てそれどころじゃないよね!?
目の前で熱の篭った荒い息を繰り返し、蕩けきった顔で俺を見つめる朱華の存在で一気に我に返る。
ちょっと待ってこれどういう状況!?
誰か説明求む!
「あはっ・・・・お兄ちゃんとキス、しちゃったぁ・・・・・・!」
恍惚とした笑みを浮かべながらワイシャツのボタンを全て取ると、俺の手を掴みさらけ出された二つの果実を握らせた。
なぁんでブラもパンツも着てないのかなぁ!?
びっくりして思わず手に力が加わってしまうと、敏感になっていたらしい朱華はゾクゾクと背筋を震わせて喘ぐ。
「んぁっ!・・・・・自分でやるのと全然違うぅ・・・・・・!お兄ちゃん、しゅごいぃ・・・・・・」
そういう本でなら目にハートが浮かんでも、おかしくないくらいとろんとした朱華は、もう一度口付けをするとおもむろに俺の下半身に手を伸ばす。
「ちょい待ちそれはあかん!」
我ながら神がかった反射神経で細い腕を掴み、なんとかそれを阻止する。
朱華、君はほら・・・・・え〜っと・・・・・そう、疲れてるんだよ。
勢いに任せてそんなことしたら、後で後悔するぞ〜。
「・・・・・・・?なんでぇ?私、お兄ちゃん好きだよ、大好きぃ」
そう言いながらもう片方の手を自分の秘部に持っていき、誘惑するようにクチュっと音を立てる。
「私のあそこ、もうグチョグチョだよ?お兄ちゃんが欲しくてたまらないって、キュンキュンしてる・・・・・・・」
「止めて朱華、いやほんと落ち着いてね!?」
恥ずかしながら、このままじゃ俺の理性も危うい。
口では妹だ妹だと言いながらも、やはり一人の女の子として見てしまっているようだ。
だってしょうがないじゃん、血の繋がっていないうちの妹はめっちゃ可愛いですからね!
逆に朱華相手に何も感じない奴いたら、教えて欲しいくらいだわ。
でも俺には朱華に引けを取らないくらい美少女、美女の花嫁たちがいるんで、誘惑に負ける訳にはいかんのよ!
なんとかして朱華を正気に戻さねば・・・・・・えっ、ちょ、力強くね!?
普段だったら負けるはずないのに、抑えていた手が徐々に下半身に向かって行っている。
「ぉぉおおお落ち着け朱華、取り返しがつかなくなる!」
「何も問題ないよねぇ?」
「大ありだわ色々と!」
「大丈夫、お兄ちゃんもちゃんと気持ちよくしてあげるから。ほら、私のエッチな─────────」
「だぁーーーーー!それ以上は言わせないよ!?」
こんなやり取りの間にも、朱華の手は確実に進んでいる。
なんでこんな力を・・・・・・っ、魔力!?
いつの間にか、朱華が紫色の魔力を纏っていた。
朱華が魔力を・・・・・・いや、違う。
これは第三者が朱華に魔力を与えているだけで、朱華が覚醒した訳ではない。
かなり近くにいるはず・・・・・・。
おそらく隠蔽魔法で隠れていると思われるので、魔眼を使って室内を見回す。
「見つけたっ!」
「あっ、お兄ちゃんのゾウさんも見つけたぁ・・・・・・・」
「うん、そっちは見つけないで欲しかったかな!?」
「よかった、ちゃんと大きくなってくれてる。お兄ちゃんも準備万端だったんだね」
「うわあぁぁんっ!ほんとに許さんからな覚えてろぉ!」
だってしょうがないじゃん!
自分に好意を持つ子に迫まられてさ、どうしても異性として意識しちゃうしさ!
涙目になりながらも、ズボンに手をかける朱華を抱きしめて魔物から遠ざけ、それに向けて光属性の魔法を放つ。
しかし、光の矢が魔物を貫いた瞬間、それが煙のように消えて代わりに結界のようなものが展開され、周囲が赤黒い空間に染まっていく。
『あはっ、おにーさん容赦ないねっ!』
パタパタと翼を羽ばたかせる二頭身の幼女は、笑いながら俺たちから離れると、この空間の中で一番大きな岩の真上に舞い上がった。
それと同時に朱華は力が抜けたかのようにへたり混み、俺の腕の中で呆然と赤黒い空間を眺めている。
どこか拗ねたようにほおを膨らませているように見えるのは気のせいに違いない。
『ねーさま!コアはちゃんと役目を果たしたよっ!ほめてほめて〜!』
すると、その呼び声に応えるかのようにそこに闇が集い、それが霧散するとそこには一人の女性が宙に座っていた。
「よくやったわ、コア。お礼はあとでたっぷりあげるから、今はゆっくり休みなさい〜」
『あいあいさ〜!』
煙と化した幼女は空気に溶けるように消えてしまった。
さて、と一息ついた女性は、俺と朱華を微笑みながら見下ろして口を開く。
「やっと会えたわね、器の子」
「おあいにく、俺はあなたのことを知りませんが」
俺は警戒心マックスで朱華をかばいながら女性を睨む。
この人、リヴァイアサンなんて比べ物にならないくらい強いぞ・・・・・・・!
魔力量が尋常じゃない。
「うそっ、この声・・・・・!」
腕の中の朱華が、何やら驚いたように顔を上げる。
えっ、もしかしてこの人知り合い?
「サキさん・・・・・・?」
「ええ。朱華ちゃん久しぶりね」
嫣然と微笑む女性は、少し申し訳なさそうな顔をすると。
「でもね、それは本名じゃないの」
「えっ?」
バサリとコウモリのような翼を広げた彼女は、まるで舞踏会で挨拶をする淑女のように、短いスカートの端を掴んでお辞儀する。
「魔神王に仕える"七つの大罪"が一人、【色欲】のリリスよ。以後よろしくねぇ」




