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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
義兄妹

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犯罪臭しかしない・・・・・・と思ったら




・・・・・・・・・・・ねむい。

学校帰りの江ノ電の絶妙なスピードと揺れは、徹夜(てつや)明けの俺に容赦ない眠気を与えてくる。

さっきからウトウトしては、手に持ったスマホを落としそうになって起きるのを繰り返していた。

ランキングの追い込み→別ゲーのギルドイベントに参加、長時間かけてボスを討伐→新イベが始まると同時に鬼のような周回、ランキング上位に→二種類の音ゲーをプレイして指が死ぬ→朝の四時頃就寝→六時五十分に朱華に叩き起される→完。

一応睡眠時間はあったね、うん・・・・・・三時間くらいだけど。

・・・・・・・みんなは真似(まね)しちゃだめだよ?

午前中はアドレナリンどばどばで耐えれていたが、もう限界な気がしてきた。

学校でも目のクマがすごくて、花恋とか皐月とかに心配されてたもんなぁ。

あ、そうそう。

花恋と皐月、あと美海さんもだけど、婚約者(仮)になってからというもの家に来ることが多くなった。

一緒に登校するためにわざわざ早く来てくれたり、美海さんの場合は大学が終わったあと遊びに来たり。

もちろん俺が"夜桜"に行くことだってあるが、まだ美海さんの家には行ってない。

何故かと言うと、美海さんは両親と弟、妹との五人暮らしらしいから。

・・・・・・・婚約者(仮)って言うのを伝えるつもりじゃなくても、まだ俺には彼女たちのご両親に会う度胸はありません・・・・・・。

ま、それは置いておいて。

みんなに心配かけるのも悪いし、徹夜も程々にしないとね。

実を言うと今日で三徹目(睡眠ちょっとあり)だし、さすがに寝ないとマズいと自分でも思ってる。

思ってはいるけどゲームとアニメの誘惑(ゆうわく)には勝てないんだよなぁ。

まあ今日は勝てる勝てない関係なく、布団に潜ったらすぐに寝ちゃう、だろう・・・・・け・・・・ど・・・・・。

意識が持って行かれかけて首がガクッとする。

あー、ダメだ・・・・・・五分だけ寝よ・・・・・・・。

俺の場合、五分か十分寝ればすっかり元気になってしまうので、こういう時は(いさぎ)く寝て帰った後のために備えよー。

それでも眠い時は、家にストックしてるエナジードリンクを飲むか諦めて爆睡(ばくすい)します。

今日の場合はさっき言った通り爆睡の方。

という訳でおやすみ〜・・・・・・・。


       お昼寝中(Zzz……)


『次は、藤沢ぁ〜。終点でございます』

「ん・・・・・ふあぁ、よく寝たぁ・・・・・・」


車内アナウンスで起こされた俺は、大きなあくびをしながら立ち上がりドアの前まで移動する。

うん、だいぶ楽になった。

眠気スッキリ気分爽快、おめめパッチリでっす。

駅に滑り込んだ車両がゆっくりと止まり、目の前のドアが開く。

そして途端に襲いかかってくる真夏のような熱気。

・・・・・・・出たくねぇ〜。

絶対建物から出たらもっと暑いじゃん。

人波に揉まれながら江ノ電の建物から出ると、肌を刺すような日差しが容赦なく襲いかかってきた。


「ぐえぇ、灰になる・・・・・・」


状態異常(じょうたいいじょう)の継続ダメージを喰らってる気分だ。

まるでヴァンパイアかのようなボケを元気なくかましながら、サンパール広場を通り過ぎて(わき)の階段を降りる。

くそぅ、電車のクーラーが恋しい!

てか今更だけど、日焼け大丈夫かこれ。

朝たしか塗ってなかったよな・・・・・・また朱華に肌は大事にしろって言われちゃいそうだ。

まあこんだけ汗かいてたら落ちそうだけどね。

男子の長ズボンって冬は良いけど、夏だと軽く地獄。

一刻も早く帰って涼しい格好に着替えてゲームしたい・・・・・・。


「やっほー、さっくん!元気ないじゃんどうしたの?」


突然、誰かに背中をバシッと叩かれた。

いや"誰か"と言うか、俺の事をさっくんなんて呼ぶ人を俺は一人しか知らん!


青來(せいら)ちゃん、何故ここに・・・・・」

「ん?私だけじゃないよ、みんなで買い物してたんだ〜」

「さくにぃ、久しぶり。ケガは治った?」

「よお舞衣(まい)ちゃん。ケガはもう大丈夫だよ・・・・・その袋があるってことは、やるの?」

「ん、勝負する。そしてみんなが見てる前でこれを食べさせる」


うわぉ、またすごいの買ってきたな。

舞衣ちゃんが見せてくれた袋の中には、激辛ポテトに酸っぱいガムやらその他などなど。

で舞衣ちゃんが勝ったら、これをみんなの前で俺に食べさせると。

いつもの罰ゲーム方式ですな・・・・・・・ん?"みんな"?


「さっき、みんなで朱華(あすか)の家に遊びに行くことになったんだ、おにーさん」

「あ、なるほど、だからみんなの前でなのね。なかなかエグいことするじゃないですか舞衣さんや」


琴葉(ことは)ちゃんがだいたいの経緯を話してくれたので納得。

罰ゲームでお菓子食べるところをみんなに見せるだなんて・・・・・・舞衣ちゃん、恐ろしい子!

爆笑される未来しか見えん。

今日は負けられないじゃないっすか。

・・・・・・で、肝心(かんじん)の家の朱華(いもうと)は?


「ほら、あそこだよ!」


みると、朱華がお姉さんにお辞儀してこっちに向かってきていた。

誰だろう、朱華の知り合いかな。


「ごめん、遅れちゃって」

「さっきの人、知り合い?」

「ううん、ちょっとぶつかっちゃってさ」

「おいおい、気をつけなきゃダメだぞ?」

「うん」


朱華も反省してるようなので、これ以上野暮(やぼ)なことは言わないでおこう。

とりあえず全員揃ったので歩きだす。

いつまでも道のど真ん中で立ち止まってる訳には行かないからね。


「待って。もうヘトヘト、助けてさくにぃ」

「って言われてもなぁ。頑張れとしか」


この中で一番体力のない舞衣ちゃんが音を上げた。

助けを断られた舞衣ちゃんが、なぜかポケットからティッシュを取り出そうとする。

が、手を滑らせてそれを落としてしまった。


「よっと。ほれ、落としたよ・・・・・・」

「スキあり・・・・!」


俺がティッシュを拾って立ち上がろうとした瞬間、バテていたとは思えない俊敏(しゅんびん)な動きで俺の首に手を回し、背中にしがみついてきた。

いわゆるおんぶの体勢。

肩に背負(せお)うタイプのスクールバックだったため、背中が空いていたのだ。


「ちょ、背中汗まみれだよ?」

「気にしない」

「俺が気にするわ。降りてくださいな」

断固拒否(だんこきょひ)する。意地(いじ)でも離れない」


(ため)しに支えていた腕をパッと離してみる。

すると、俺の腰を足でホールドしてがっしりしがみついて離れない。

そんなことする元気あるなら歩けるだろ・・・・・・。

この後、揺さぶっても落ちなかったため、(あきら)めてこのまま行くことにした。


「さくにぃ、くすぐったい」

「もしかしてさっくんセクハラ?」

「これはしょうがなくね!?」


身体を支えるために仕方なく太ももに手を回すと、背中でくすぐったそうに笑う声が聞こえてきた。

そして青來ちゃん、誤解(ごかい)(まね)くような言い方やめい。

ただでさえ高校生が中学生を背負って、他にも三人の中学生を連れて歩いてるとか、周りから二度見されそうな風体(ふうてい)でしかない。

下手したら通報(つうほう)されてもおかしくないぞ・・・・・・・。


「大丈夫っしょ、さっくん女の子にしか見えないし」

「だね。お兄ちゃんを初見で男の子って見破(みやぶ)れる人は少ないと思うよ?」

「たしかに。おにーさん、姉妹(しまい)がじゃれ合ってるようにしか見えないよ」


なん・・・だと・・・・・。

そう言えば女子がスラックス着れる高校もあるらしいし・・・・・・・。

なんてこったい、周りからの微笑ましそうな視線はこれが原因か!


「容姿が問題って、もうどうしようもないじゃん・・・・・・あ、舞衣ちゃん舞衣ちゃん、ここはさすがにキツイので降りてもらってもいいっすか?」


目の前にそびえ立つはあの長い上り坂。

真夏に女子中学生背負ってこれを登るのは、出来れば避けたい。


「すー・・・・すー・・・・・」

「うおい、なに寝とんじゃ!てかそれ絶対寝たふりだろ」

「ぐーぐー・・・・・・」

「もはや誤魔化(ごまか)すつもりすら無いな!?」


ガクガク揺さぶってみたが、ギュッとしがみついてビクともしない。

・・・・・・・あの、舞衣ちゃん、もう降ろそうとしないから、そうやってギュッてするの辞めてもらっても?

故意かわざとか分からないけど、引っ付かれるとその()()()()モノが当たって・・・・・・・。


「むぅ、今さくにぃ失礼なこと考えた」

「気のせいじゃね?」


あ、起きた。


「おにーさん置いてっちゃうぞ〜」

「男の子でしょ、頑張れさっくん!」

「お兄ちゃんファイト!」

「さくにぃ、がんば」

「舞衣ちゃんには言われたかねぇわ!」


もう、しょうがないなぁ。

観念(かんねん)して背中の舞衣ちゃんをおんぶし直し、傾斜のキツい上り坂を登り始めた。

くそぅ、こう言うのは運動部にやらせるべきだ!

颯馬(そうま)とか喜んでやりそうだな今度やらせよう。

密かにそう決意しながらも登り続け、やっとの思いで上までたどり着いた。


「ぜぇ・・・はぁ・・・・あ、明日は筋肉痛だわこれ」


ひ弱なオタクに何させてくれとんじゃマジで。

坂の上で待っていたみんなと合流して、交差点を左に曲がると家までの一本道に差し掛かる。

まああそこさえ越えれば、もうどうってことないさ。

ゲームではボコボコにしてやるぅ!

この思いを胸に、家まであと数分の距離を頑張って歩くのであった。





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