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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
デート 美雨編

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VS【色欲】のリリス




咲夜くんがスライムと戦ってる時の花恋側のお話です。





「あ、この掃除機どうですか?お値段もやすいですし」

「そうだねー。(うち)にあるやつは中古だったから、そろそろ新しいのに買い替えても良い頃だし、この値段だったら買おうかな」


咲夜がバイト先の先輩とデートに行くらしい土曜日、私と皐月は家電量販店に買い物に来ていた。

こっちでの生活も落ち着いてきたので、ちゃんとした家具なんかを買い揃えに来たのだ。

皐月はデートを尾行したいとも言っていたけど、今日は皐月には会って欲しい人がいたから、超頑張って引き止めたよ・・・・・・・・・。

その人と待ち合わせしているのが、この家電量販店の前にあるサンパール広場なので、約束の時間になるまでこうして買い物をしているの。

お会計を済ませてエレベーターで八階に上がる。

この階の書店でそれぞれ適当な本を買えば、今日買う予定だったものは全て買い終えたことになるかな。

皐月と分かれて私は雑誌コーナーを見てまわり、気になったものを一つ手に取る。

んー、どうしよっかなぁ・・・・・。

付録が良いんだけど他にも欲しい本があるから、あんまり使いすぎる訳にも行かないんだよねぇ。


「よし決めた。また今度にしよーっと」


元の位置に雑誌を戻してふと視線を上げると、たしか咲夜が読んでいたはずのラノベの新巻が出ているのを見つけた。

あれれ、この最新巻出てたんだ。

咲夜はもう買ったのかな・・・・・・・・・あ、今日発売だったみたいだからまだ買ってないか。

先に買っておいてあげようとその本に手を伸ばしかけたその瞬間、建物の外からガラスが割れるような音と共に膨大な魔力が溢れ出し、周囲の景色が赤黒くなっていく。


「花恋さん、これは!?」

「"簡易領域(エリア)の展開。とんだ大物が来ちゃったみたいだね」


親指と人差し指で輪っかを作り、そこに透視の魔法をかけて外を確認した私はため息を着く。

景色が全て赤黒く染まり、枯れかけた木やボロボロの岩石が現れ、空にはいつの間にか赤色の月が浮かんでいた。

簡易領域(エリア)の展開はそう容易なことではなく、簡易とは言え独自の領域をそこに作り出すことからそれ相応の魔力や精神力が不可欠。

魔力結界とは似て非なる()()()で、見た目は似ているものの魔力結界は汎用性に長け、簡易領域は特殊性が際立つ。

そんなのが使えるのはかなり限られた人達だけなんだけどなぁ。

外を覗いた時にちらっと見えたシルエットから考えると、たぶん彼女のばず。

しかも、厄介なことにここから少し離れたところからも魔物の気配を感じるね。

場所的に咲夜がいる所らへんかな?

スマホの画面を開いて咲夜に電話をかける。


「もしもし、咲夜?」

『あはい俺です俺です。どしたの?』

「そっちも()()出てるよね。一人で勝てる?」

『んー、たぶん。"そっちも"ってことは花恋のとこにも?』

()()()()。二体同時なんて珍しいねぇ。私は皐月と一緒に居るからすぐ終わると思うんだけど、ちょっとその後も色々立て込んでて無理そうだから、頑張ってもらっても良いかな」

『りょーかい。花恋と皐月も気をつけてな』

「咲夜も災難さいなんだねぇ、デート中に魔物が現れるなんて」

『ほんとだよぉ・・・・・・・・・ってちょい待ち、なんでそれ知ってんの!?』

「じゃ、のんびり話してる暇も無さそうだしぃ、また後でねぇ」

『あっ・・・・・・・・』


咲夜の返事を待たないまま通話を切る。

ごめんね、あんまり長話してると彼女が暴れだしそうだからさ。


「さて、もたもたしてる時間はないよね!」


【ストレージ】からレイピアを取り出してサンパール広場の方を向いた壁を破壊し、そこから躊躇いなく飛び降りる。


「わわっ、待ってくださいよ花恋さぁん!」


私に続くように皐月も飛び降り二人して広場の近くに降り立つと、どうやらあちら側も私たちの存在に気がついたらしく、大仰(おおぎょう)な仕草で肩を竦めている。


「あらあらぁ〜、やっとの思いでこっちの世界に来られたのに、出た先にまさかあなたがいるなんてねぇ」


空中で足を組み色っぽい声でそう話すのは、背中と頭からコウモリのような翼を一対ずつ生やし、身にまとった露出が激しい服(もはや服と言っていいかすら分からない)の隙間から先端がハート型のしっぽを揺らす女性。

ピンク色の髪をかき分けた彼女は、私の(かたわ)らにいた皐月に目を向ける。


「そちらのお嬢さん・・・・・・へぇ、皐月って言うのね。あなたとは初めましてかしら。私は"七つの大罪"が一人、【色欲】のリリス。見ての通り淫魔(サキュバス)よぉ〜」


艶惑的な笑みを浮かべるリリスがしっぽをクルクルしながらそう言った。

皐月はそんなリリスから視線を逸らさないようにしたまま、【ストレージ】から蒼剣を取り出して正面に構える。


「花恋さん、"七つの大罪"ってなんですか?」

「"七つの大罪"って言うのは、魔族のなかで自身の種族を率いる力があるとか、一定以上の実力があるとか、色んな条件を満たした人達の中でもさらに別格な七人に付けられる称号みたいなもの。リリス達が言うには、()()()によって与えられるらしいよ?」

「ほへ〜、リリスさんってすごい人なんですねぇ」

「そうよそうよぉ〜。私すごいのよ〜」

「リリスの魔法は強力だから気をつけてね?」

「了解です!」


地を蹴って左右に分かれ、両側から円を書くように間合いを詰めようとすると、リリスは舌なめずりをして艶惑的な笑みをさらに深め、空中で座ったまま右手を真上に(かざ)した。


「うふふ〜、あなた達、この魔力が気薄な世界じゃ魔力の回復すらままならないでしょう?そんな状態で私に勝てるのかしらぁ〜」


空にいくつもの魔法陣が展開され、各属性の魔力弾や槍、弓矢などの攻撃が弾幕のように押し寄せてくる。

飛翔魔法【フライ】を使って飛びながら避けたり魔法でそれを相殺しながら接近し、光をまとったレイピアで突き技を繰り出す。


「魔力が回復できないのはお互い様じゃないの?」

「私は【ゲート】の向こう側から、魔力が絶え間無く送られてくるから大丈夫なのよ〜」


しかし、肌に触れる数十センチ前で障壁によって止められてしまった。

絶え間ない魔力の供給・・・・・・・持久戦になったら辛そうだね。

通常、異世界では魔法を使う時、大気に満ちている魔力を使って魔法を行使するのだけど、こっちにはほとんど魔力が存在しないので、自身の体内にある魔力を使うしかない。

魔力の回復速度も遅いし、枯渇したら倦怠感がマックスになって動けないから私たちは魔法を使いすぎることは出来ないけれど、リリスは【ゲート】のせいで異世界から魔力を補給できるらしい。

魔力量には自信あるけど、節約するに越したことはないと思う。

距離をとって攻撃を防ぎながら考えを巡らせる。

攻略法は魔力の供給が追いつかない速度で魔力を消費させて、回復できないくらいの致命傷を与えるか、リリスの【ゲート】の向こう側への繋がりを断つか。

前者は魔力回復のできない私たちの場合、チャンスが一度きりしかないし、失敗した時に勝つ可能性がかなり低くなっちゃうから現実的じゃない。

でも【ゲート】を破壊するって言ったってねぇ・・・・・・・・。

リリスよりさらに上空に空く紫色のワープホールを見上げる。

リリスがあっさりやらせてくれる訳ないもんなぁ。


「"花流の舞(かりゅうのまい)"!」


舞を踊るように弾幕の隙間をすり抜けた皐月が振るう剣と障壁が衝突し、盛大な火花が散る。

軋む障壁の奥で、リリスは少し驚いたように皐月を見つめると。


「ふぅん、あなたこっちの世界の住人とは思えないくらい強いのねぇ〜。気を抜いてたら二人とも障壁割っちゃいそうだし、私もうかうかしてられないわぁ〜」


右手の指が鳴らされると魔法陣の数が増え、弾幕の密度も避けるのが難しいくらいに高くなった。




「さぁて、最初に脱落するのはどっちかしらぁ〜?」






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