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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
二人の転校生

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執事さんと転校生





「ほんっとうに、すいませんでしたぁ!」


日を(また)ぎ、学校帰りに"夜桜"に立ち寄ると、皐月がそれはもう見事に綺麗な土下座をかました。

どうやらすっかり元気になったようで、土下座までの動きが非常に俊敏だった。


「そ、そこまでしなくてもいいと思うけど・・・・・・・。とりあえず、皐月が元気になったみたいでよかったよ」

「元はと言えば私が無理させちゃってたからねー。こっちが謝らなきゃいけないくらいだよ・・・・・・・ごめんね?」

「あはは、皐月も加減が出来なかったので、お互い様ということで」


顔を上げた皐月が苦笑いをする。

まあこれで一件落着ですな・・・・・・・・あ、でもこれからはどうするんだろう。

このままにしていたら、またいずれ体調を崩しちゃうだろうし、なにか対策を考える必要があるかな。


「それに関してはご安心を!昨日の夜に頼もしい助っ人を呼んでおきました!もうすぐ来るはずですよ」


皐月によると、なんでも完璧にこなす"ユグドラシル"でも選りすぐりの超有能さんなんだとか。

どんどん俺の肩身が狭くなっていく・・・・・・・・。

硬っ苦しい人じゃないと良いなぁ、と思わざるを得ない。


コンコン。


っと、来たみたいだね。

・・・・・・ノックの音のしかたが玄人のそれなんだけど。

なんか執事さんみたいなイメージが湧いてきた。


「お初にお目にかかります、花恋様、咲夜様。本日よりこちらで皆様のお手伝いをさせていただきます、オルガと申します」


出迎えに行った皐月が連れてきたのは、穏やかな笑みが特徴的な四十代後半くらいの白髪の男性、オルガさん。

ビシッとした執事服がよく似合っている。


「じぃは皐月が子供の頃から白川家に仕えてくれてる人で、去年に引退してたんですが、無理を言って来てもらいました」

「ほっほっほっ、引退していたと言っても、それは戦闘業だけですからな。事務であればまだまだ現役ですし、皐月様からのお願いでしたら断る理由がございません」


おぉう、オルガさんって意外と武闘派だったのね。

たしかに身のこなしにはまったく隙がないし、体から出る魔力も絶妙に抑えられていて、まさに歴戦の猛者みたいな雰囲気だ。


「・・・・・・・・・・えっとぉ・・・・・・?」


そのオルガさんが、さっきからずっと俺をじっと見ている。

じろじろした嫌な視線じゃないんだけど、何だか居心地が悪い。

やがて満足したのかオルガさんは頷きながら視線を外し、今度は微笑みを見せる。


「突然失礼いたしました。旦那様・・・・・・皐月様のお父様に、一応確かめておけと申し付けられておりましたので」

「え、ちょ、何をですか!?」


いきなり皐月のお父さんに目をつけられる理由が分からん。

何も悪いことはしてない・・・・・・・・・はず。

あ、もしかして、俺が皐月に手を出さないか心配しているんじゃないだろうか。

彼氏でもなんでもない見ず知らずの男が、娘の家にいるって考えたら、そりゃ父親からすれば心配になるよねー。

まあそんな事にはならないだろうけど。

だって皐月が俺なんか好きになるわけないし。

自分で言ってて悲しくなるけど、俺の良いとこなんてほとんど無いからさ。

オルガさんも今俺を見て分かったと思うんだけど・・・・・・・・。


「大変素晴らしい実力をお持ちのようですね。申し分ない人となりでありますし、これなら旦那様も許可してくださるのではないでしょうか」

「いやだから何を!?」

「ほっほっほっ、どうやら良い方を見つけたようですな。皐月様がほれ───────」

「ちょ、ちょっと何言ってるんですかぁ!そういうのは言っちゃダメなんですよ!」


微笑ましそうに笑うオルガさんに、顔をほんのり染めた皐月が食ってかかる。

どうしたんだろ。

オルガさんが言おうとしていたことは、そんなに恥ずかしい事だったのだろうか。

ほれ・・・・・・・保冷剤?

んなわけないよな。


「それはそれとして皐月様、花恋様、例の件は上手く行きそうでございます。今日中に手続きを終えれば、早速明日からでも良いと」

「あ、そうですか、わざわざありがとうございます。じゃあ私と皐月で、手続きと必要な物の買い出しの二手に分かれよっかー」

「了解です!花恋さんはどっちに行きたいですか?」


俺が馬鹿なことを考えているうちに、なにやら別の話で盛り上がっている三人。

あの、俺初耳なんですが。

手続きとか言ってるし、何か重要なことなのだろうか。


「ごめんね、咲夜にはまだ内緒なんだー」

「 咲夜さんは明日を楽しみにしててくださいね!」


満面の笑みでそう告げられ、俺はそこはかとなく嫌な予感を感じるのであった。



         ◇◆◇◆◇◆



「よっ、おはよう咲夜」


昔ながらのレトロな雰囲気が有名な江ノ島電鉄、通称江ノ電から降りて学校に向かっていたところ、後ろから一人の爽やか系イケメンに声をかけられた。

俺のもう一人の幼馴染である藤村颯馬(ふじむらそうま)だ。

透真はスポーツ万能で、所属しているサッカー部では既に期待の新人として注目を集めているらしく、勉強も俺よりできるし、その甘いマスクも合わさって女子からの人気はとてつもなく高いそうだ。


「はよー。今日は朝練なかったんだね」


いつもならもっと早い時間に学校に来て練習をしているはずだが、今日のグランドにはサッカー部ではなく陸上部がいる。


「おう。なんか陸上の大会が近々あるらしいから、交渉して大会後の朝練の時間と入れ替えてあげたらしいな」

「もう大会あんのか。運動部は大変だねぇ」

「咲夜も帰宅部じゃなくて、どっか運動部に入れば良かったじゃんか。色んなとこから助っ人頼まれたりしてるんだし」


下駄箱で靴を履き替えて二階にある教室に向かう。

途中には筋トレ室があり、運動部の人達がペンチプレスなんかをしていた。


「あれをやると思うと、絶対に運動部には入りたくない」

「全員が全員あれをやる訳じゃないんだけど・・・・・・咲夜は少し筋肉をつけた方がいいと思うぞ」

「だが断る。下手に筋肉をつけるくらいなら、このままの方がいい」

「まあ無理にとは言わないさ・・・・・・・っと、おはようございます!」


苦笑いしていた颯馬が顧問の先生とすれ違ったらしく、ハキハキと挨拶する。

もちろん俺もしたよ?


「そう言えば咲夜、今日俺らのクラスに転校生が来るって知ってたか?」

「え、そなの?今初めて聞いた」

「なんかここ数日で急遽決まったことらしくてさ。ちょうど俺らのクラスは人数少なかったし、二人まとめて来るんだと」


二人も同時に転校してくるなんて珍しいな。

てかそもそも、透真はそんなのどこで知ったのさ。


「部活の先輩が昨日たまたま見かけたんだって。二人ともすっごい可愛かったらしいぞ」

「ふーん・・・・・・・」

「全然興味無さそうだな」

「いやだって、俺みたいなモブがそんなヒロイン的な人と、お近づきになれる訳ないじゃないっすか」

「咲夜がモブだったら、周りもほとんどモブになると思うんだけど・・・・・・・・・・」

「あっ、咲夜くんおはよー!」


教室に入ると、先に来ていた桃花が笑顔で駆け寄ってきた。

朝から元気だね〜、何かいいことでもあったのかな。


「だって、席替えで咲夜くんの近くになれたんだもん!」


昨日やった席替えで俺は一番奥の一番後ろの席になり、桃花は空席を挟んだその隣、颯馬は俺の前の席になった。

ちなみに後ろは二席とも空席なので、俺は完全にボッチでございます。

新手のいじめかな?

まあそれはそれとして、三人で他愛のない話をしているうちにチャイムがなった。


「さあ、朝のHR始めるわよーん」


担任の先生が来ると、日直が号令をして朝のHRが始まり、いつも通りいくつかの連絡事項を聞く。

眠い・・・・・・・。

昨日夜更かししすぎたか。


「君たちも噂で聞いてるかもしれないけど、このクラスに転校生が来てるの。とりあえず入ってきてもらうわね」


先生の合図でドアが開き、二人の少女が入って来た。

腰まで伸びた甘栗色の髪をクラウンハーフアップ(サイドの髪を三つ編みにして後ろでまとめた感じ)にした幼さの残る顔立ちの少女と、茶髪を肩先まで伸ばした元気パワー溢れる少女。


「んなっ・・・・・・・!?」


言わずもがな、花恋と皐月だった。








気がついた人がいたらすごいんですけど、花恋の髪の色が変わりました。


ブラウン→甘栗色



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