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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
二人の転校生

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泣き終えて






「うぅ、ごめんなさい。お恥ずかしい所をお見せしてしまって・・・・・・・・」


ベッドにちょこんと女の子座りした皐月が、赤く染った顔でひたすらに謝り続ける。

どうやら俺の胸元でわんわん泣いてしまったり、自分の涙や泣きじゃくった時の鼻水が、俺のシャツをびちゃびちゃにしているのがとても恥ずかしかったらしい。

俺的にはあんまり気にする必要は無いと思うんだけどね。

泣きたい時は泣けばいいし、このシャツだって皐月が元気になってくれるなら安いもんさ。

名誉の負傷(?)みたいな感じ。

まあ俺がそう言っても、やっぱりやってしまった側としては恥ずかしいんだろうなぁ。

例えば俺が自分の涙や鼻水で花恋とか皐月の服を汚しちゃったら、羞恥心とその他諸々で死にたくなる、精神的に。

皐月も今、同じようなことを思ってるんじゃないかな。

こればっかりは俺がどうこう出来ることじゃないけど、そんな重く考えなくて良いと思うよ?


「じゃ、俺は服着替えてあっちにいるから、何かあったら声掛けてねー」

「あっ、ちょっと待ってください!服、服は皐月が洗います!そんなにしちゃったのは皐月なので!」

「皐月は寝てていーよ。と言うか寝てなさいな、数歩歩いてよろけちゃうくらい疲れてんだから」

「あ、あれはその~・・・・・・急に動いて立ちくらみがしただけですから!それにさっきいっぱい泣いたので、もう元気モリモリですよ!」


いや、たしかにさっきよりは元気そうだけど、ここで皐月に何かさせたら、今日休みにした意味が無くなっちゃうじゃん。

ベッドから立ち上がろうとする皐月を手で制す。


「だいたい皐月が倒れた時、三十九度以上の高熱だったんだよ?先生(魔法医さん)の特製の薬を飲ませたけど、まだ熱は下がりきってないんじゃないかな」

「熱はもうないと思いますよ?全然だるくないですし」

「えー、ほんとかなぁ。ではちょっと失礼して・・・・・・・・」


前髪をどけ、おでことおでこをコツンとくっつけて体温を測ってみる。

んー・・・・・・あれ、ほんとに熱下がってるぽい。

皐月が寝ている間に体温計で測った時とは大違いだ。

先生の薬が効いたんだろうか。


「なっ・・・・・・ななっ・・・・・・!?」


おでこを離すと、今まで見たことないくらい顔を真っ赤に染めた皐月がなにか言おうとしているが、あわわわ、と言葉にならない様子。


「ってそんだけ顔赤いなら、まだ熱あるんじゃないの!?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!皐月やっぱり寝ます!もう、咲夜さんのばかぁ!」


皐月はシュバっとすごい勢いで俺から離れ、反対側を向いて寝っ転がったまま、頭ごとシーツをかぶりピクリとも動かなくなってしまった。

えぇ〜・・・・・・・・・?

なんてこったい、まさかの反応。

そんなに俺に触られたくなかったのかな・・・・・・・・。

俺の思いすごしだと信じたい。

伸ばしかけていた手を戻して頬をかく。


「あはは・・・・・・・ま、まあいっか。おやすみ皐月」


見てないだろうけど、軽く手を振ってから部屋を出る。

しっかり寝てほしいから、花恋が帰ってくるまでは起こさないでおこう。

んじゃ、とりあえず俺は服着替えちゃいますか。

白のシャツを脱いで洗濯機に放り込み、泊まるために持ってきていた着替えの中から、黒いパーカーを取り出して着る。


「ぷはっ、結構でかいなこれ・・・・・・・・」


去年、友達に誕生日プレゼントとして貰ったんだけど、ものすごくだぼっとしてて、袖は腕を思いっきり伸ばしても十センチくらい余ってるし、裾は膝辺りまである。

別にこういうスタイルが嫌いなわけじゃないのだが、男子の萌え袖とか誰得よって話。

そんなことを思いながら洗濯機のボタンを押し、さて次は何しようと考えていたところ、スマホが震えて着信を伝えてきた。

相手は花恋からだった。

時計を見るとちょうど五時半頃だったので、手伝いが終わった頃合いだろう。


「あいもしもーし」

『もしもし。私だけど、手伝い終わったからそろそろ帰るねー。ちょっと寄ってくとこできちゃったから、夜ご飯の支度お願いしてもいい?』

「おっけ。俺たちのはなんか適当に用意するけど、皐月のはお粥とかの方がいいかな」

『そうだねー。体調は良くなってそうだけど、今日はそんな感じで良いんじゃないかなー』


スマホを耳にあてながらキッチンに移動して冷蔵庫の中身を見る。

うん、これなら特に買い出しも必要なさそう。

てか何これ・・・・・・・"みっ〇ちゅじゅーちゅ"・・・・・・?

表示を見る限り乳性飲料らしいけど、名前のインパクトすごいな。


『どうしたの?』

「ん?いや、何でもないよ。入ってた食材だとロールキャベツとかできそう」

『いいねー。あ、もう行かないいけないみたいだから、あとは任せるねー』

「あいよー」


通話が切れたのを確認してからスマホを台所の机の上に置く。

最後の方にビュッていう風を切る音が何回かしたんだけど、さてはスマホ持ったまま走ってたな?

いつか落として壊しそうな気がする。


「えっと、ロールキャベツ作るならまずキャベツだよなー・・・・・・・・」


調理時間は一時間もしないので作り始めるには早いかもしれないが、念の為に。

いつものようにエプロンと片耳イヤホンを付けて、鼻歌交じりに料理を始めた。




        ◇◆◇◆◇◆



     一方そのころ、皐月の部屋にて。



「ぅ〜〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜〜・・・・・・!」


顔を朱に染め悶えながらベッドの上をゴロゴロ転がっている人が一人。

言わずもがな皐月である。


「咲夜さんのばかばかばかぁ・・・・・・・・・」


頭上にあった枕に手を伸ばしバシバシ叩く。

何でいつもはチキンで鈍感なくせに、こういう時だけあんなことするんですか。

完全に不意打ちでしたよ。

自分のおでこに触ると、また咲夜さんの温もりが戻ってきたような気がして心臓の鼓動がうるさいくらいに高鳴る。


「"まだ熱あるんじゃないの"、じゃないですよぉー!」


誰のせいで真っ赤になってると思ってるんですか・・・・・・・。

あれからずっと頭が上手く働かない。

咲夜さんのことだけがぐるぐる回り続けて変になりそう。

これ、やっぱり皐月は咲夜さんのことが・・・・・・・・・・。


「でも咲夜さんは皐月なんか見向きもしないだろうし、どうしたら・・・・・・・・・あ、そう言えば咲夜さん、"甘えていいんだ"って・・・・・・・」


こ、これしかないよね!

いっぱい甘えて、咲夜さんをメロメロにさせちゃえば・・・・・・・・!

そう決意してシーツの中でギュッと手を握った。







みっくちゅじゅーちゅ

・ 大阪生まれの飲料水らしいです

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