魔力操作の特訓
昨日、投稿の準備してる間に寝落ちしちゃいまして、投稿できませんでしたぁ(涙)・・・・・・・!
ほんとにすみません!
「さーくーやーさんっ!」
「うわっはぃ!?」
突然背中をポンっと叩かれ、筋肉痛の痛みと単純な驚きで変な声が出る。
び、びっくりしたぁ・・・・・・・。
心臓飛び出るかと思ったよ。
「あはっ、いい反応ありがとうございます!・・・・・・その糸を通すやつ、何ミリまでいけました?」
「まだ0.41(ギリギリ二流)とかそこら辺なんだけど、実はちょっと前から記録が伸びなくてさ。何かコツとかあるの?」
「あー、そうですよね。咲夜さんは今まで、魔力や魔法に触れてきませんでしたもんね。分かりました、皐月が手取り足取り教えてあげます!」
「よろしくです、皐月先生!」
ふんすっ、と意気込んだ皐月は俺の横に座り、人差し指を立てるとそこに魔法の赤い火が灯った。
「まず全てにおいて一番大切なのは、イメージすることです。魔力を引き出すにしろ魔法を使うにしろ、それを出来るかどうかでは雲泥の差です。例えば、咲夜さんは何故、火が燃えるのか知ってますか?」
「えっと、ものが空気中の酸素とくっつく反応をした時に起こる現象・・・・・・・だっけ」
「そうです。私たちの場合はその原理や、マッチの火などといった具体例を知っていますが、異世界人は魔力を燃えやすい紙などにイメージするので、発動自体はするんですけど先ほど質問した"何故、火が燃えるのか"を根本的に理解してはいないのです。火は赤くて熱く、ものを燃やす働きがある。それが向こうでの共通認識です。そのため、このような応用魔法を使える人はそうそういません」
指に灯るゆらゆらした赤い火が安定した青に、続いて緑色に変化する。
ふむふむ、燃えやすいものとかは分かってるけど、なんでそれが燃えやすいかは分かってない、か。
火は燃やす元素や温度によって色が変わるけど、何が原因で燃えているか分からないから、"燃えている火は赤色"というイメージが固定されていて、それ以外の色があるとはちっとも想像していないと言うことらしい。
まあ、数は少ないけど、出来る人も居るには居るみたいだけどね。
魔法文明が進歩してる分、化学文明はそんなに進んでないのかな。
たしか青い炎は、摂氏約千度を超えて酸素が足りている安定した状態。
緑色の炎は・・・・・・・そう言えば、あれってなんで緑色してんの?
ふむ、ホウ酸を燃やすと緑色になると。
・・・・・・・イメージしずらい。
「もちろんイメージって言うのはこういう現実的なものだけじゃなくて、実在しないファンタジー的なイメージも魔法を使う上では大切なのです!これは咲夜さんも得意じゃないですか?黒い炎とか」
緑色だった炎が勢いを増し、黒く染まった。
ほほう、なるほど。
青や緑色の炎を使うキャラをイメージして・・・・・・・ほいっと。
俺の両手で青と緑色の炎が燃え盛る。
うぉわっ!?ちょ、危ない危ない、火事になっちゃう!
急いで手の炎を消し、火事がないことを確認してほっとため息を着く。
イメージが強すぎたのかな。
じゃあ次はもうちょっと抑え目に、ゆらゆらと燃える黒い炎をイメージすると、掌からロウソクの火のような落ち着いた黒炎が立ち上った。
・・・・・・・・んーと、できたのは良いんだけど、なんか黒すぎない?
黒っていうかもう、漆黒よりずっと黒いよねこれ。
奥が見えないほどの漆黒で、全てを飲み込む・・・・・・・いや、全てを優しく包む夜空のような色、かな。
人魂のような形のそれをもう一つ作り、ふよふよ飛ばしたりお手玉のようにして動かしてみる。
うん、結構思い通りに動くな。
これならアレンジして、もう一段階難易度の高そうなやつに挑戦しても大丈夫そうだね。
俺が灯した黒い炎の中心が紅く染まり、何とも言えない怪しい輝きを放つ。
さらにその色を反転させて、今度は白い炎の中に蒼い炎を閉じ込めてみた。
はわぁ、すごい綺麗・・・・・・・!
純白の炎ってこんな神秘的な感じなんだ。
揺らめくたびに透き通るかどうかのギリギリのラインを行き来していて、中にある青い炎だけ世界から隔離されているようにも見える。
どっちも俺のイメージを元にして作られているはずなんだけど、それよりももっと良い色してるね。
他にも色々試してみようかな。
やば、楽しくなってきた。
「咲夜さーん!戻ってきてくださいー!」
「あっ・・・・・・」
どんどんと明後日の方向に向かっていく俺を、皐月が目の前で手を振って呼び戻してくれた。
そうだった、どうすれば糸を通せるかのコツを聞いてたはずなのに、いつの間にか話が脱線しまくってた。
あ、でも改めてイメージが大切って言うのは分かったな。
「もうっ、皐月を放置して一人で盛り上がらないでくださいよぉ!」
はい、ごめんなさい・・・・・・・・・。
自分から聞いておいてこれはあかん。
頬をふくらませてぷりぷりと怒っている皐月に、ただ平謝りし続ける。
「次はありませんからね?」
何とか許してもらうことができ、機嫌の直った皐月と一緒に本命の糸を通す練習を再開する。
アニメキャラが使う糸をイメージ、強度や長さは二の次で細さにリソースを全振り。
「お、いい感じですね!では次に、魔法具の放つ魔力を感じ取ってください。見えないものを見るには魔眼を使うか、相手が放つ何らかの気配で姿を捉える、なんかがありますけど、今回は魔力を感じ取って穴を補足してみましょう!」
「ふんむ・・・・・・・・・難くね?」
「深呼吸して、感覚を研ぎ澄ましてください。"見る"ではなく"感じる"ですから、目を閉じると分かりやすいですよ。がんばれがんばれ、さーくやさん!」
声援をうけながら言われた通り目を閉じ、全神経を集中させて魔力の気配を探ってみる。
・・・・・・・・正面と少し離れた所にものすごくでかい気配が二つ、目の前に小さいやつが一つ。
もっと研ぎ澄ませて、細かい形を補足・・・・・・・・。
あー、少しずつ見えてきた。
まだ見づらいけど、肉眼より断然良いね。
そっと指を動かして糸を穴に通す。
・・・・・・・・・おっし、できた!
「さすがです、咲夜さん!もう既に完成度がかなり高いですね!」
皐月が糸の通った魔法具を覗き込みながらそう褒めてくれた。
いやー、嬉しいね・・・・・・・ってあれ?
近づいて見て気付いたけど、皐月の目元に化粧で隠された黒い痕がうっすらとあるような・・・・・・・。
あれってクマ?
「ねえ、皐月。もしかしてあんまり寝てないの?」
何気なくそう聞くと、皐月の肩がビクリと震えた。




