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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
三章 最初の依頼

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六百年前の少女


このお話は書こうかどうか迷っていたのですが、結局書いてみましたー。




六百年前、我を完膚なきまでに叩き潰した少女。

名はアリステラ。

(よわい)十七、八ほどで、なんとも掴みどころの無い、のはほんとした雰囲気だったのをよく覚えている。

あの時の我は、強者との戦いを求め日本中を転々としていた。

名だたる武将や将軍、はたまた実力を隠した者まで数えきれぬほどの強者と戦ったが、我を凌駕するものは一人もおらず、浅い傷をつけるのが精一杯だった。

当時は今よりも発展した魔法や優れた魔法使いがおったのに、情けないことだ。

鍛錬が足りんぞ、まったく。

そして次第に人間は我を恐れるようになり、大嶽丸の名が悪鬼として広まりだした頃、我はアリステラに会ったのだ。




        〜六百年前〜




『ふむ、貴様は割と頑張った方だぞ。また鍛錬し、我に挑むが良い』


視線の先で気を失っている武将にそう言い残し、我は草が鬱蒼とする山道を登って行く。

ものの数十秒で頂上に着いたので、いつもの場所に座り魔力を循環させながら瞑想を始める。

・・・・・・・さて、今後はどうしたものか。

日本に在住する強者とはあらかた戦ってしまったし、そろそろ海外へ行くのも良かろう。

ここでは見られない類の妖怪や精霊に会えるだろうしな。

ドラゴンや上位精霊とは一度戦ってみたいものだ。

しかしそうなると、問題は行く方法か。

我はあまり転移魔法や飛翔魔法が得意ではないから、海を走って渡るしかない。

これ自体はさほど苦ではないのだが、道中で水系妖怪と戦闘になる可能性はゼロではないし、まだ西洋の妖怪について知らぬことが多いなかでそれは避けたいな。

かと言って、何か他の方法があるかと言われれば特になにも無い。

悩ましいことだ。


「ねぇねぇ、こんな所で何してるの?」


突然聞こえたその声に、不覚にも少し驚いてしまった。

ゆっくりと目を開けると、我から数メートル離れた場所に一人の少女がちょこんと座っているのを見つけた。

ふわりとした透き通るような白髪を腰まで伸ばし、美しい紫色の瞳をした少女は、この時代には到底似つかわしくないクリーム色のワンピースを着ている。

この容姿、異国の者・・・・・・・・・・いや、()()()()か。


『貴様こそ何をしている。道に迷ったと言うなら、麓まで送ってやるが』

「ううん、そういう訳じゃなくて、ちょっと探し物してたの。君は蒼く光る剣とか見てないかな」

『知らぬな。この近辺にもそういった物は無いと思うぞ』


それを聞いてがっくりと肩を落としていた少女は、気持ちを切り替えるようにパンっと手を叩いて立ち上がり、その紫色の瞳で我を見つめる。


「君、海外行くの?」

『・・・・・・・・・・ほう、我の心を読むか』

「あ、分かるんだ」

『なんとなくな。貴様のは隠密性が高すぎて、捕捉しづらいことこの上ない』

「強い人と戦いたいの?」

『うむ。望みは我をも超える実力者だが、それは高望みしすぎか?』

「じゃあ私が相手してあげるよ」

『・・・・・・・・・・・・・・・なに?』


少女は言葉を失う我を置いて準備体操を始めると、肩のストレッチをしながら後ろに下がり、ちょうど我との間が十メートルの場所で立ち止まった。


「質問に答えてくれたお礼。私なら君と対等以上に戦えると思うよ?」


次の瞬間、今まで微かにしか感じることの出来なかった少女の魔力が一気に膨れ上がる。

神々しさまで感じる白銀色(プラチナ)の魔力は、この我ですら軽く凌駕するほどのものだが、それでもまだまだ余力を残していて、ちっとも本気ではない様子だ。

おそらく三、四割程度・・・・・・・いや、もしかしたらそれ以下の力しか出していないのかもしれんな。

なんという巨大かつ澄み渡った魔力よ!


『どうやら相手にとって不足はないようだが、そのような格好で大丈夫なのか?』


素材はよく分からんが、この時代の者が着ている物と比べてかなり薄いことだけは分かる。

防御力などは微塵も感じられぬし、そもそも武器はどうする気だ?


「あー、大丈夫だと思うよ?これ、ワンピースって言うんだけど、()()()()()()()()()()()()()やつだから。防御力は申し分ないし、武器に関しては・・・・・・ほら」


かざした手に顕現したのは、魔力と同じ白銀色(プラチナ)のレイピア。

これも相当高位の武器だな。

神器、または神器級の装備品は使い手を選ぶ上に、それそのものが一生に一度見ることが出来るかどうか並に貴重なので、二種も持っているのは大変珍しい。

もちろんこの世界と基準が違う場合もあるので、その限りではないだろうが。

それにさらっと言っていたが、通常神器級の装備品は簡単に変質出来るものではないのだがな。


『うむ、ならば我も心置きなく戦える・・・・・・・と言うか、本気を出さんと我が死にそうだな。来たれ、神器"天砕(あまくだ)き』


神器の名を口にすると、はるか遠くから風を切り飛来した漆黒の金棒が(てのひら)に収まる。

神器"天砕(あまくだ)き。

その名の通り天をも砕く攻撃力を誇り、闇属性とも相性がいいことから我が全力時のみに使用している武器だ。


『では、参る!』


一瞬で少女の正面に移動し金棒を振り下ろすと、間に割り込むように入ったレイピアに止められ、ピクリとも動かなくなってしまった。

行き場を失った衝撃波が少女の後ろを通り、地面を抉りとる。

剣が交わる度に大砲が撃たれた時のような音が(とどろ)き、撒き散らされる衝撃波で山が削れあっという間に荒野と化していく。


『【ヘルフレア】、【超魔十芒(デモンカグラ・)暴風星(テンペスト)】!』

「わわっ!?」


赤黒い地獄の業火が少女を包み、さらに破壊の暴風がそれを閉じこめ追撃する。

しかし、突然竜巻が膨張したかと思うと、まるで風船が割れたかのように四方八方に弾け飛び、中にはレイピアを振り払った姿勢で無傷の少女が立っていた。

だがそれは予想内のこと。

直前に目の前まで接近していた我は、魔力を込め風を纏わせた金棒を少女目掛けて振り下ろす。

間近まで迫りこれは決まったかと思ったが、少女が驚異的な反応速度でレイピアに炎を纏わせて我に対抗した。

衝突した余波で混ざり合った火炎の旋風が立ち上り、空気を焦がす。


「ふっ・・・・・・!」


少女の手が霞んだかと思うと、次の瞬間には赤い鮮血が宙を舞い、体のあちこちが斬られていた。

ぐっ・・・・・今のは何連撃だ?

喰らってもなおその数が分からん。

なんと速い攻撃であろうか。


『"妖獄(ようごく)が・・・・・・』

「"竜聖滅裂弾(ドラゴ・ノヴァ)"!」


技を放つ前に視界が真っ白に染まり、少女の(てのひら)からいくつもの閃光が我に降り注ぐ。

反魔法を全力で体に纏わせ閃光が止むのを待つが、それよりも早く反魔法が破られてしまった。


『ぬぅ・・・・・・・!』


やっと閃光が収まり、我は両足をついて肩で荒い息をする。

魔力もほとんど消費しきり、受けたダメージがデカすぎて立っていることすらもままならない。


「ふぅ、これで満足した?」









第9部の"説明とお願い"で書いた設定をほんの少し変えたので、良かったらそちらもご覧下さい!


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