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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
三章 最初の依頼

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VS大嶽丸(2)



予定より早めに私生活が落ち着いたので、投稿することが出来ました!






亀裂が新しい亀裂を生み、そして般若の面を粉砕すると、大嶽丸の狂気を孕んだ瞳が段々と理性の輝きを取り戻していく。


『くくっ・・・・くははっ・・・・・・!まさか、暴走した我の面を割るとはな』


よろよろと数歩下がった大嶽丸が、心底愉快そうに大きな笑い声をあげる。

えぇー・・・・・・・。

なんか、こいつから発せられる雰囲気がすっっごい変わったんだけど。

あの背筋が凍るような殺気が霧散して穏やかに、けれども厳かさを感じさせる武人のような気迫だ。

般若の面を付けてる時とは百八十度真逆だな。


「ふーん・・・・・・・。この面、"狂化"の魔法がかかってるねー。付けたのを条件として発動して、対象者を強制的に狂乱状態にするみたい」


いつの間にか俺のそばに来て、面の破片を一つ拾い眺めていた花恋がそう言う。

なるほど、それで大嶽丸は暴れてたってわけね。

きっと篠原さんが言ってた"何者か"の仕業だろう。

・・・・・・・・・・・あれ、でも昨日貰った資料の大嶽丸は、既に面をしてたよな。

面を付けた時に発動するなら、その時点ですもう暴走しているはずなのに、封印が破られた後、暴走し始めたのは俺たちがここに来る直前だったみたいだし、この妙なタイムラグは何なんだろ。

"何者か"も封印を解くのと大嶽丸を暴走させるので、わざわざ二回もここに来ず、まとめて一回で済ませれば効率もよく正体がバレる可能性も減るのに。

何かそうせざるを得ない理由があったのだろうか。

引っかかるな。


『ふむ、我も同意見だ。我の抵抗で上手く働かなかった面の再発動以外に、やつは何かを探していたようだ』


うわぁ、明らかにキナ臭いぞ、それ。

おおかたそう言うのって、後々使われる超重要アイテムだったりするじゃん。

(いにしえ)の邪神復活とか嫌だよ?


「大嶽丸・・・・・・・さん?・・・・・は、その般若の面をあなたにつけた人って、見た?」

『残念ながら、姿を捉えることはできなかった。なにせ封印を解かれた途端に面をつけられたのでな。不意をつかれたとはいえ、我さえ視認できぬほどの速度となると相当の使い手だぞ』

「・・・・・・・そんな人、皐月は絶対に関わりたくないです!」

「右に同じく。出会ったら速攻で逃げることを希望する」

『あの気配は、おそらく異界"ルクス・テネディス"に属する魔族のものだろうな。今ちょうどあの世界では厄介事が起きているのだろう?それに関する案件ではないのか?』

「うぅ、またあいつらが何かやってんの?ほんと懲りないねー・・・・・・・。毎回対処を手伝わされる私の身にもなって欲しいよー・・・・・・!」

「ほらもう魔族の暗躍とか、完全にそっち方向の話じゃん。カッコ悪いけど、そいつとの戦いは花恋と皐月に任せる。怖いんで」

「あっ、ずるいですよ咲夜さん!皐月も嫌です、花恋さんにお任せします!」


魔族も悪い奴ばっかりじゃなくて良い奴もいっぱいいるだろうけど、魔族の暗躍って聞くと大変なことになる未来しか浮かばない。

花恋が前に言っていた、魔神王に属する方の魔族の仕業だろうか。


『お主らは何故それほど怯えておるのだ。十分奴に対抗しうる力を持っていると言うのに』

「ちょっと何言ってるか分からないです。皐月はともかく、俺にはそんな力無いと思うよ?」

「いや、皐月も無理ですからね?」


そう即答すると、大嶽丸はまた大きな笑い声をあげながら俺達の背中をバシバシ叩く。


『お主らはまだ、己の真の力に目覚めておらんだけだ。そこの娘のように底知れぬ魔力を身に宿すのも、存外近い内かもしれぬぞ』


えー、そうかなぁ・・・・・・・。

皐月はユグドラシルがなんとかしてくれそうだけど、俺はこの世界でもルクス・テネディスでもただの一般人だから(たぶん)、花恋ほどのチート級な強さには到底なれないと思うのだが。

まぁ、全属性に適性がある時点で普通ではないんだけどさ。


『どれ、そろそろ休憩も終わりにしよう。今度は三人まとめてかかってくるがよい』


嬉々とした声でそう言った大嶽丸は俺たちから離れ、

空手の構えを少し崩したような構えをする。

え、まだ戦うの!?

暴走状態が終わったんだから、大人しく再封印されてくれないですかね。


『ふむ、断る。我は強き者と拳や剣を交え、互いを高め合うことを好むのでな。六百年程前、()()()に敗れて以来の戦いだ。そう簡単に止めるわけにはいかん』


構える大嶽丸から山吹色(やまぶきいろ)の魔力がゆらりと立ち上り、もう完全に臨戦態勢になってしまっている。

面をつけていた時とはまた違った威圧感が場を支配し、ピリピリとした強いプレッシャーを感じる。

視線だけ花恋の方に向けると、やれやれと肩を竦めて首を振っていた。

・・・・・・・・・・はぁ、やるっきゃないか。

どう頑張っても止めるつもりは無さそうだし、こう言うタイプは適度に発散させないと、後で面倒なことになる。

それに、こっちには花恋さんが居ますし!

三人でボコってやるぅ!

(なか)ばヤケクソで自分を鼓舞しながら、魔力を全身にめぐらせて強化魔法を行使する。


『・・・・・・・・・やはり、似ているな』


ポツリと呟かれたその言葉を、俺は聞き取ることが出来なかった。


『さあ、宴を始めよう!』


突然、大嶽丸の姿がブレたかと思う、次の瞬間には俺の背後に回り込み拳を引き絞っていた。

んわっ、びっくりした!

屈んでそれを躱し突かれた腕を引っ張って蹴りをくらわせると、ガンッ!と肉体がぶつかったとは思えないような音がして、大嶽丸がニヤリと笑う。


「・・・・・・・・・いったぁ・・・・・・!」


足からジーンッ、と痛みが込み上げてくる。

嘘だろ、俺って今かなり魔力を込めてるんだけど、それでもこんな硬いの!?

悶絶しているうちに掴んでいた手が(かえ)されて逆に俺の手が掴まれ、背負い投げのように地面に叩きつけられた。


『はあぁっ・・・・・・・!』

「ぬーーーーーーーーーーーっっ!!?」


しかもそれは一回だけではなく何度も繰り返され、最後には遠心力をたっぷりつけて放り投げられた。

ちょ、扱いが酷くない!?


「っんぉ・・・・・!【雷槍】!」


生成された雷の槍が俺とは反対方向に飛んでいき、大嶽丸に命中する。


『むぅ!』


生じた煙を振り払うと、花恋と皐月が挟み撃ちするように左右から迫っていた。

蒼剣とレイピアが閃き、二つの漆黒の金棒がそれを迎え撃つ。


「うっ・・・・・りゃあぁっ!」


降る瓦礫を吹き飛ばして火炎を纏った拳が大嶽丸のお腹にめり込み、燃える衝撃が貫通した。

その勢いに逆らわず数メートル下がった大嶽丸は、獰猛に笑ってさらに魔力を高める。


『よい、よいぞ!もっと我を楽しませろ!』


戦いになると豹変するのかな、この人!?

さっきのも、思いっきりお腹にめり込んだのにビクともしてないし。

こんな人を満足させるとか、一体どうしたらいいのやら。

早速後悔し始めた。







次回からはまたいつも通り投稿しますので、よろしくお願いします!

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