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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
一章

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日常





「・・・・・ぅ・・・・んぅ・・・・・?」


まどろみから覚め、閉じていた瞳をゆっくり開く。

目に入ったのは、制服姿の男女たち。

友達と一緒にお昼を食べている女子や、昼休みを満喫している男子。

まぁつまり、もう見慣れた"いつも通り"の光景だ。


「またあの夢か・・・・・」


先程まで見ていた夢を思い出し、思わずそう呟いた。

普通の夢だったらこうはならないだろうけど、俺の場合はそうもいかない。

俺はあのファンタジーな夢を、何回も見たことがあるのだ。

最近よく見る程度のレベルではなく、小さい頃から今に至るまで、数え切れないほど。

三日に一回くらいのペースだったんじゃないだろうか。

さすがにここまで来ると所詮(しょせん)は夢、とバッサリ切り捨てることはできない。

これは何かしらの陰謀(いんぼう)を感じるね!

もしかして俺、宇宙人の信号を受け取ってたりして・・・・・・・・・うん、冗談はここまでにしとこう。

それに毎回思うが、妙にリアルなんだよなぁ。

花の匂いやほおを撫でる風、少女の声など、まるで本当に現実のことかと思えるくらい鮮明だった。

その上、なぜか懐かしさを感じる。

あの丘も町も少女も、何一つ記憶にないのに懐かしいとはこれ如何(いか)に。

何が原因でこんな事になっているのか皆目見当(かいもくけんとう)もつかない。

ま、考えてわかる事じゃなさそうだし、とりあえずこの話は置いておこうかな。

一息して思考を頭の隅に追いやり、いつの間にか額から垂れてきた汗を手の甲で拭う。

それにしても、話はいっきにかわるけどあっついなぁ。

ムワッとした熱気が教室に溢れている。

あ〜〜〜、だめだ・・・・・。


「あっっつ〜〜〜〜〜〜・・・・・・・」


気の抜ける声を出しながら机に突っ伏す。

まだ五月だというのに、教室は蒸し返すような暑さだ。

なんでも今世紀最大の猛暑だとか。

春なのにこの暑さとは・・・・・地球温暖化恐るべし。

おっと、垂れてる場合じゃなかった、自己紹介がだいぶ遅れたね。

俺の名前は神月咲夜(こうづきさくや)

彼女いない歴=年齢で、残念ながら身長もあまり高くなく、頭の良さはそこそこな生粋(きっすい)のオタクだ(ここ大事)。

言ってて悲しいがその他はだいたい平々凡々(へいへいぼんぼん)

そんな俺だが、一つだけ普通じゃ無いところがある。

それは・・・・・・・。


「おっ、咲夜が垂れてるぞ」

「本当だ!かわいい〜」

「癒されるよねー」


近くにいた友達が俺の顔を覗き込み、歓声をあげている。

ほおを突かれたりしているが、それに(あらが)う気力もなくされるがままに。


「わぁっ、めっちゃぷにぷにしてる!」

「柔らか〜」


・・・・・・・・・おわかり頂けただろうか。

最初に言っておくが、これは嫌味じゃないぞ。

小柄な体躯にシミひとつない肌、幼さが残っている顔立ちだが顔のパーツは完全にバランスが取れた位置にあり、少し長めの黒髪がよく似合う。

まさに(はかな)げな少女のよう・・・・(友達(いわ)く)。

・・・・・・・さて、一応言うが俺は男だ。

昔から可愛いと何度も言われたり、妹と歩いていたら姉妹と間違えられたりしたが、それでも男だ。

男の諸君よ、今問おう!

男って可愛いより、かっこいいって言われる方が嬉しくね!?と。

いやまあ、可愛いと言われて悪い気はしないし、オタク的な面でも喜ばしいことではあるんだけどね。

だけど"少女の様な見た目"を羨ましがる人もいるだろうが、一回なってみればわかる。

あんま良いとこない。


「あっ、咲夜くん!」


心の中で熱弁していた俺の元に、聞き慣れた柔らかい声とともに足音が近づいてくる。

顔を上げると、俺の席の前に一人の女子生徒が立っていた。


「桃花か。どうした?」


彼女の名前は天月桃花(あまつきとうか)

容姿端麗(ようしたんれい)、成績優秀、おまけに部活であるテニスでも全国大会出場と、文武両道の化身かと思ってしまうような完璧さ。

校内では天女やら女神やらと(しょう)されていたり、実は(ひそ)かにファンクラブまであるらしい。

あと、俺の幼馴染(おさななじみ)でもある。


「えっとね、今日お母さんに買い物を頼まれてるんだけど、重くなりそうだから・・・・・・その、一緒に来てくれると嬉しいな!」


少し恥ずかしそうにそう言った。

うーん、今日はバイトがあった気がするけど、六時からだったから大丈夫かな。


「ん、全然いいよー。任せなさいな」


ついていくこと自体はいつものことなので軽く引き受ける。

すると今度はパァッ、と花が咲くように眩しい笑顔になり。


「ありがとう!それじゃあ帰りに駅前のスーパー寄ってこうね!」


そう言って自分の席に戻っていった。

かわえぇの〜。

一緒に行くだけでこんなに喜んでくれるんだったら、おにーさんはいつでも着いてくよ!?

微笑(ほほえ)ましい光景につい頬が緩む。

おっと、今のに変な意味はないからな。

あれだよ、なんて言うの?

親目線的(おやめせんてき)なあれみたいな・・・・・・・まあいいや。

それを見送って再び机に突っ伏そうとすると、周囲から複数の視線を感じた。


「・・・・・・・何かね?凛、莉音、竜太」


視線の正体は先ほど俺のほおを突っついていた女子二人(ポニーテールがトレードマークの柴崎凛(しぶさきりん)、ボブカットでゆるふわな雰囲気の渡辺莉音(わたなべりおん))と、最初にいた男子(最近若干(じゃっかん)チャラ男になりつつある、葉山涼介(はやまりょうすけ))だ。

三人とも呆れた様な顔をしている。


「あのなぁ咲夜、いい加減気づけよ。ただ手伝って欲しいだけじゃないだろあれは・・・・・・」

「相変わらず女心わかってないねー。可愛いのに」

「咲夜は学習すべきだと思うよ〜」


よく分からんが、三人にボコボコに言われた。

何故だ・・・・・。

よくこんなふうに言われたり、鈍感だと言われるのだが、何でだろ。

今のだって、ただ買い物の手伝いを頼まれただけなのに。

あと凛さん、可愛いは関係ないでしょ可愛いは。


「桃花の苦労がひしひしと伝わるわ・・・・・」

「「ねぇーー」」


・・・・・解せぬ・・・・・。


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