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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
三章 最初の依頼

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依頼内容と魔力訓練





「では、失礼致します」


頭を下げて去っていく篠原さんを見送って部屋に戻った俺は、机の上に広げられた資料の一枚を手に取る。

そこには筋骨隆々で額からツノが生え、般若の面を被った黒い鬼の絵が描いてあった。

"大嶽丸(おおたけまる)"。

それがこの鬼の名前らしい。

山を黒雲で覆って暴風雨や雷鳴、火の雨など神通力を操り、自慢の怪力で巨大な金棒を振って山をも破壊するという。

大昔に悪事を働き、とある将軍に討伐された後封印されていたらしいが、その封印についこの間異常が起きた。

三重県と滋賀県の県境にある、鈴鹿山(すずかやま)の奥底に大嶽丸を封じるために、何重にも張り巡らされていた封印が何者かによって破壊されたのだ。

解き放たれた大嶽丸は再び暴れ出そうとしたが、事態をいち早く察知した篠原家の者によって今は押さえ込まれている。

しかし、それもまた時間の問題だ。

大嶽丸はまたの名を鬼神魔王(きしんまおう)と言い、日本三大妖怪に数えられる一体にして、その名に恥じぬ絶大な強さを誇る鬼の大妖怪。

さすがに篠原さんでも荷が重かったようで、こうして花恋の元に依頼が来たという訳だ。

篠原さんから依頼されたのは、封印から解き放たれた大嶽丸の再封印。

今の状態がどれだけ持つかわからないので、なるだけ早く来て欲しいとのこと。

話し合った結果、明日の朝一で鈴鹿山に向かうことになった。

あくまで出発が明日なだけで、移動するのに時間がかかってしまうので着くのは遅れてしまうだろうが。

とか思っていたら、花恋の転移魔法で一瞬で着くそうじゃありませんか。

おかげでそっち方面の心配はいらなそうだ。

花恋って、ほんと何でも出来るよね・・・・・・・。

しかし俺はと言うと、今回は完全に戦力外。

今のままだと素手ではともかく、魔法を使う相手に不利すぎる。

しかも大嶽丸は魔法だけでなく肉弾戦も得意らしいので、空手や柔道をちょっと齧った程度の俺では相手にもならない。

そこで、"力が欲しいか・・・・・・"、的なことを花恋に言われて魔力を扱う訓練が急遽始まった。

とりあえず魔力で身体強化が出来ればある程度戦えるようになるみたいなので、まずはそこから。

と言っても、俺は自身の魔力をまだ開花させていなくて使えないので、花恋に強制的に引っ張り出してもらう事になった。

対象者に魔力干渉することでその人の深淵を覗いて、どうたらこうたら・・・・・・・・って言われたけど、ちっとも分かりませんでした。

大人しく花恋さんにお任せします。


「肩の力抜いて、リラックスしてね」


花恋がソファーに座った俺の頭に手を置くと、そこから何やらポカポカしたものが体に流れ込んできて、俺の中心に向かっていく。


「じゃあいくよー。・・・・・・・よいしょ、っと」

「んぎゅっ!?」


俺の中で実体の無い何かを掴んだと思ったら、それをいきなり引き上げられて思わず変な悲鳴が漏れる。

ちょっ・・・・これ・・・・・すごく気持ち悪い・・・・・・・・。


「これでひとまず、魔力は目覚めたね!」

「え?・・・・・・あ、ほんとだ」


気持ち悪さがおさまってから見ると、自分の周りにオーラのような感じで魔力が溢れ出ていた。

おー、憧れの魔力が今この手に!

色々試してみたいことはあるが、今はそれよりも先に魔力による身体強化を習得せねば。

花恋によると魔法はイメージが大切で、それによって魔法の威力や精度も左右されるらしいのだが、幸いなことにそれは得意分野だ。

全身から溢れる魔力を拳や足に集中させたり全身を薄く覆ったり、はたまた強弱を段階分けして強化をしたりすることで、最終的には身体強化の基礎と応用をある程度出来るようになった。

まあ応用とは言っても、まだまだ基礎にほど近い段階だが。


「成長スピードがとんでもないですね・・・・・・」

「元々素質はあったんだろうけど、それにプラスしてこっちの世界はルクス・テネディスと違ってアニメとかゲームがあるから、魔法をイメージしやすいのかもねー」


皐月曰く、基礎はともかく応用が出来るようになるのはどんなに頑張っても一ヶ月以上かかると言う。

ものすごい魔法の天才ならば、この半分くらいの時間でマスターするらしいが。

ちなみに皐月は一週間、花恋は五時間くらいかかったそうだ。

二人とも十分早すぎると思うんだけれど・・・・・・。

それにマスターした時間は短くても俺には実践経験が皆無だから、経験を積んだ花恋と皐月の方が魔力の扱いが上手いに決まっている。


「うん、じゃあ次はこれやってみよう!」


花恋が隣の部屋から持ってきたのは、台座に乗った大きく透き通るような水晶玉。


「これに手を当てて魔力を流すと、火、水、風、土、光、闇、無の七属性の内、自分の適性がある属性が分かるんだー!適性がないと、その属性の魔法はまったく使えないよ」


うっわ、これ一番緊張する。

ここで最強ラノベ主人公みたいに、全属性に適性があるってなればいいんだけどねー・・・・・・・・。

そもそも異世界では、どのくらいの数の属性持ってたらすごいか分からないから、判断に困るのだけれど。

手を当てて魔力を流すと、水晶玉が虹色に光りだした。


「あ、やっぱり全属性に適性があるね。特に光と闇の適性がすごいよ!」

「ほへー、すごいです!皐月より多いですよ!」


おおっ、すごいぞこれは。

俺も必死に頑張れば、最強系主人公のようにチート級の強さになれるのでは?

テンション上がるねー!


「ちなみに花恋と皐月の適正って何属性なの?」


今までに見たことがあるのは、花恋の光、火か風、そして無属性の魔法と、皐月の水と無属性の魔法だ。

その他にも何か適正があるのだろうか。


「んーと、私も全属性だねー」

「皐月は火と闇以外の五属性です!」


特に花恋は光属性、皐月は水属性に高い適性があるそうだ。

基準がわからないから判断しづらいが、これって結構凄いことなんじゃないだろうか。

こちらも実戦で使えるように各属性の魔法をあらかた教えてもらう。

そして、だいたい話が落ち着いた頃に。


「さて、咲夜が魔法を使えるようになったし、今日はここまでにしよっか」

「明日は早い時間から行くので、咲夜さんはしっかりと体を休めてください!」

「うん、わかった」


扉から外に出て階段を降り、柳通沿いを商店街とは反対向きに歩く。

・・・・・・・あー、今から緊張するなぁ。

人の命がかかっている事だし、生半可な覚悟で行くわけにはいかない。

最悪の場合は自分だって死ぬ可能性もあるしね。

明らかに初陣としての相手ではない気がするが、俺も"夜桜"の一員なのだから、他の二人に任せて傍観する気は無い。

魔法が使えて浮かれ気味だが、気を引き締めないと。

俺は夜空を見上げながらそう決意した。







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