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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
三章 最初の依頼

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何でも屋"夜桜"と最初の依頼人






あれから数分して、多くの警察や消防がやって来た。

いくら魔力結界(まりょくけっかい)で空間を閉じていたおかげで戦いでの被害(ひがい)がほぼ無かったとは言っても、それ以外での被害はそれなりにあったようだ。

ヴラフォスドラゴンの出現場所が陥没(かんぼつ)していたり、揺れによる備品(びひん)の破壊や小規模(しょうきぼ)火事(かじ)とかね。

ちなみにあの揺れはショッピングモール内だけで起こったらしく、警察や救急、消防の人たちは現場を見るまで、本当に大規模(だいきぼ)な揺れが起こったのか半信半疑(はんしんはんぎ)だったらしい。

そう思うのも無理はない。

モールの外は何も異常(いじょう)がないのに、中だけ局地的(きょくちてき)に地震が起きたなんて、普通じゃありえない事だからなぁ。

まあ実際は地震じゃないんだが。

そういう訳で、一番最初に来た警察の人たちは中の惨状(さんじょう)を見て凄くびっくりしていたが、すぐに消火活動(しょうかかつどう)や救助が始まって怪我人(けがにん)はタンカーに乗せられ運ばれていき、無事な人達は誘導(ゆうどう)に従って各々(おのおの)外に出ていった。

俺たちはちっとも怪我などしていなかったし、事情聴取(じじょうちょうしゅう)されても話せることが何も無いため、特に救急車にお世話(せわ)になることなく普通に藤沢駅(ふじさわえき)まで帰ってきた。


「じゃあ朱華(あすか)、俺たちは予定通りバイト先に寄らなきゃいけないから、悪いけど先に帰っててくれ。夜ご飯までには帰るから、それまで父さんをよろしく」

「うん、気をつけてね」


サンパール広場の前で朱華と別れると、俺たちはパチンコ店の横にある階段を下りて柳通(やなぎどお)り沿いに商店街(しょうてんがい)の方に向かって少し歩き、やがて一つの建物の前に着いた。

茶色をベースとした大人(おとな)しめな三階建ての建物で、一階にはテナント募集(ぼしゅう)の張り紙が貼られており、おそらく二階と三階が何でも屋"夜桜(よざくら)"なのだろう。

花恋(かれん)達が一階入口近くにある階段を上がっていくので、俺もついて行く。


「たーだいまー」

「ただいまです!」

「お邪魔(じゃま)しまーす」


鍵を開けた花恋を先頭に中に入ると、俺はぐるりと部屋を見渡した。

中心には向かい合ったソファーと間に机があり、その奥には大きな横長デスク、後ろにある窓の反対側にはテレビが置いてあった。

花瓶などの調度品(ちょうどひん)派手(はで)すぎず大人しすぎずな物がそろえられていて、オシャレな雰囲気(ふんいき)(かも)し出している。

いかにもアニメやマンガで見る事務所(じむしょ)のような場所だ。


「ここが"夜桜"の仕事スペース的な所だよー。依頼を受けたり仕事したり遊んだり、仕事スペースって言ってるけど、結局色んなことで使ってるんだー」

「時々急に依頼が来たりしますからね。五時くらいまではいつでも対応できるように、必ず皐月(さつき)と花恋さんのどちらかがここに常駐するようにしてます」


特に仕事もなくて(ひま)な時は、ここで趣味(しゅみ)や勉強とかをしながら依頼が来るのを待つらしい。

隣室もいくつかあって、ミニキッチンや仕事の時に使う魔法資料(まほうしりょう)がしまわれた書斎(しょさい)などがあるそうだ。

・・・・・・・・ほほぅ、ちょっとその魔法資料とやらが気になるじゃないか。

色んな魔法や魔物についての記述(きじゅつ)を始め、専門家の研究(けんきゅう)レポートやら童話(どうわ)まで、幅広(はばひろ)知識(ちしき)が大量に()め込まれている、まさに宝の山だ。

正直勉強は嫌いだけど、こういう自分が好きな分野(ぶんや)のことに関しては不思議(ふしぎ)と読む手が進むんだよねぇ。

特に童話とか神話(しんわ)は読んでてすごく面白い。

今度、時間があるときにでも見せてもらおっと。


「それでこの上が生活スペース。私たちの私室とかリビング、その他にもちゃんとしたキッチンとかがあるよー」

「今日はちょっと物が散乱(さんらん)してて見せられないんですが、いずれ咲夜(さくや)さんにも使ってもらうつもりなので、期待しててくださいね!」

「うん、楽しみにしてるよ。て言うか、なぜに物が散乱して・・・・・?大掃除でもしてたの?」

「えーっとまあ、そんな感じです・・・・・・」


そう曖昧(あいまい)に答えて苦笑いしていた皐月は、ふと思い出したようにポケットからキーホルダーの付いた二つの鍵を取り出す。


「ここと上の階の鍵です。これから働いてるうちに使う機会もあると思うので、失くさないでくださいね?」

「りょーかい。大事にしまっておくよ」


受け取った鍵をカバンに入れる。

それから、花恋と皐月に各部屋を案内してもらい、一通り物の使い方やルールなどを確認した。

ついでに書斎にあった魔法書も少し見せてもらったんだけど、文字が読めなくて何が書いてあるかよく分かんなかった・・・・・・・。

まあそれはともかく、ここでの過ごし方は結構覚えられたぞ。

細かいところはまだあんまりだけど、それはやってるうちに覚えよう。

一段落(ひとだんらく)して外を見ると、オレンジ色の夕日(ゆうひ)が空一面を染めていた。


「もうこんな時間だねー。咲夜はもう帰る?」

「そうだね。夜ご飯も作らなきゃいけないし、そろそろ帰ろうかな」

「へぇ、咲夜さんがご飯を作ってるんですか!家庭的ですね!」

「あはは、(うち)は両親が共働きだから、必然的にこういう・・・・・・・・・・・」


コンコンッ。


階段に繋がっているドアがノックされた。

お、早速何か依頼だろうか。


「はーい・・・・・・」


一番近かった花恋がドアを開ける。

入って来たのは、スーツを着て黒髪をオールバックにした四十代後半くらいのダンディな男性。


「ご無沙汰しております、花恋様、皐月様。・・・・・・・そちらの方は?」

「新しくここで働くことになった、神月咲夜さんです。咲夜さん、こちらは篠原秀政(しのはらひでまさ)さん。日本に居る数少ない魔法使い一族の当主の一人です」

「これはこれは。私も良いタイミングに来ましたな。これからよろしくお願いしますぞ」

「あ、どうも・・・・・・・・」


俺はにこやかに差し出された手を握ってぎこちなく握手する。

篠原さん一族には代々、一族の中で一番魔力量が多くその扱いに()けた者が当主となると言う掟があるらしい。

魔力量が多いだけで精密な操作が出来なかったり、魔力の扱いは上手いがそもそも魔力量が多くなければ、当主にはなれないという。

つまり今目の前にいる篠原さんが、今代で一番総合的に強いということになる。

ふむ、そんな人が依頼に来るなんて、何か余程(よほど)の事でもあったのだろうか。


「それで、篠原さん。今日は何故ここに?」

「おお、そうでしたな。すみませんが少々急いでおるので、手短(てみじか)に話させてもらいます」


ソファーに座り、俺たちは真剣(しんけん)な表情になった篠原さんの話に耳を傾けた。








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