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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
二章 何でも屋"夜桜"へ

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決着




『グルルルアァァァァァァァッッ!!!』


巨大な咆哮(ほうこう)とともに、ヴラフォスドラゴンの周りに(とが)った岩の(かたまり)がいくつも作り出される。

(ふたた)びの咆哮によってその岩石(がんせき)達はものすごい勢いで四方八方(しほうはっぽう)に飛んでいく。

皐月(さつき)単体を狙うのを(あきら)めたのか、周囲を巻き込んだ無差別攻撃(むさべつこうげき)だ。


「ふっ・・・・・・!」


皐月の右腕が(ひらめ)いたかと思うと、(せま)っていた岩の塊が一瞬で粉々(こなごな)()(きざ)まれた。

さらに迫り来る岩と足による踏みつけ攻撃を素早(すばや)()けながらヴラフォスドラゴンに接近し、(また)の下をくぐり抜けシッポを切断(せつだん)

血を吹き出しながらのたうつシッポを退()かして背を駆け上がり、頭付近(ふきん)でジャンプして空中に(おど)りでた。

(けん)を肩に(かつ)ぐようにして半身(はんみ)の姿勢をとる。

すると、剣は今までよりもっと勢いを増して(あお)く輝き、周囲を太陽(たいよう)のごとく照らした。

ちょ、なんか大技(おおわざ)撃とうとしてない!?

(あき)らかにさっきまでのとは毛色(けいろ)が違うし、ヴラフォスドラゴンさえも"え、聞いてないんですけど"見たいな顔をしてる気がする。

心做(こころな)しか腰が引けてるような・・・・・・・。

それもそのはず、皐月から(はっ)せられる魔力(まりょく)の圧が比べ物にならないくらいに増えていて、この技が見掛け倒しではない事を物語(ものがた)っている。


「"蒼天(そうてん)霖雨流聖(りんうりゅうせい)!"」


体をひねって振り下ろされた蒼剣(そうけん)は、それを防ぐために(たて)にされた腕ごと、いとも簡単にヴラフォスドラゴンを真っ二つに斬った。

(あふ)れ出した蒼い閃光(せんこう)で視界が染まる。

うっ、これ絶対にオーバーキルなんじゃ・・・・・・・・。

光が落ち着いて目を開けると、目の前には大きなクレーターができていて、そこの中心には真っ二つになったヴラフォスドラゴンと、蒼剣を(さや)に収める皐月がいた。

どうやら、ヴラフォスドラゴンを斬った後もその威力は(おとろ)えず、地面にクレーターと深い(みぞ)を作り周囲にも大きな爪痕(つめあと)を残したらしい。

予想通りオーバーキルな一撃だったようだ。

ここが異空間(いくうかん)でほんとによかったよ・・・・・・・元の空間でこんな事やったら一体どんな事になるか。

きっとバカ高い修理費(しゅうりひ)を払うだけじゃ済まないだろう。

花恋はサラッと、俺は慎重(しんちょう)にクレーターに入って皐月の元に行く。


「まったく、最後のはやりすぎだよ?」

「あはは、やっぱりそうですよねぇ・・・・・。ちょっと張り切りすぎちゃいました」


普通、ちょっと張り切りすぎてあんな技が出るのだろうか。

花恋も大概(たいがい)だが、皐月もとんでもなく強いみたいだな。


「まぁ、そりゃねー。一応"ユグドラシル"の三幹部(さんかんぶ)の一人でもあるし」

「あ、なるほど。だからこんだけ・・・・・・・・・今なんて言った?」


うーんと、俺の聞き間違いかな。

今、皐月が"ユグドラシル"の幹部の一人だって聞こえたんだけど・・・・・・・・・。


「そうだよ?世界を見守る組織"ユグドラシル"を支える三本の(はしら)。その内の一人が皐月なんだー。たしか、(つかさど)ってるのは『人類(じんるい)』だっけ」

「はいです!ユグドラシル所属、序列(じょれつ)第三位にして『人類』を司る、白川皐月(しらかわさつき)てすっ!以後お見知(みし)()きを!」


可愛いい敬礼(けいれい)をしながら、わざとらしくウインクをする皐月。

いやもうほんと、どこからツッコめばいいのやら・・・・・・・・。

たまにユグドラシルから依頼を受けることもあるって言ってたけど、まさかその幹部が仕事を手伝ってるだなんて。

しかも俺より年下でそんな重要な役職に()いてるって凄くない?

もし俺が皐月の立場だったら責任感とかで胃に穴きそうだもん。


「ごめんねー。ちょっと言うタイミング逃しちゃって」

「皐月もすっかり忘れちゃってました!」


カラカラと皐月が笑う。

心臓に悪いからなるべくそういう話は早くしてもしかったかも・・・・・・・。

まぁ俺はそこら辺の話をよく知らないし、それを(ふく)めて今日、花恋から(くわ)しく話しを聞く予定だったんだけど、予想外なところで知ることになったな。


「・・・・・・っと、そうだ。この魔力結界はずっと張っておく訳にもいかないから、この話は(あと)始末(しまつ)をしてからにしよっか」

「ですね!」

「それはいいんだけど、後始末って何すんの?」


建物の被害は空間が違うから大丈夫らしいし、とりあえずこのヴラフォスドラゴンの死体を何とかしなきゃいけないって言うのは分かる。

でもこれって、人間が何とか出来るようなものじゃなくない?

少なくともここにいる人数で運べる代物(しろもの)ではないと思う。

ダンプカーでも呼んでくる?

あ、それはもっと無理か。


「ふっふっふーっ、ここで私の出番なのだよー!」


花恋が自慢げに腰に手を当てて胸をそらせる。

え、今度は花恋が一人でやるの?

まさか片手で持ち上げたり・・・・・・・・・・いや、さすがに花恋でもそれは無理でしょ!

・・・・・・・・無理だよね?

一体どうやってこんな馬鹿でかい死体を、一人で何とかするんだろうか。


「咲夜さん。今はまだいいですけど、合図(あいず)をしたらしっかり目をつぶってくださいね?じゃないと失明(しつめい)しますから」

「ちょっと待って、本当に何するの!?」

「じゃあいくよー」


花恋がヴラフォスドラゴンの頭に手をかざすと、そこから(あわ)光が漏れ出していく。

その光はだんだんと(かがや)きを増し、やがて直視(ちょくし)するのが難しくなるくらいになった。

おぉ、これはあれですか、いわゆる神聖魔法(しんせいまほう)的なやつですか!


「咲夜さん、そろそろ・・・・・・」

「ほーい」


言われた通りしっかりと目をつぶってさらに手で(おお)い隠すと、少し遅れて目を閉じていても眩しく感じるほどの光が辺り一面を染める。

あ、これはたしかに目をつぶってないとやばいわ。

絶対"目が・・・・目がぁ・・・・!"ってなるやつだ。

バ〇ス並の威力がある光が収まってから目を開けると、ヴラフォスドラゴンの死体は淡く発光し、光の粒子となって少しずつ消滅(しょうめつ)していた。


「やっぱりこれも魔法なの?」

「うん。光属性の浄化魔法(じょうかまほう)の一種だよー」


光の粒子の量は徐々に増えていって、数分でヴラフォスドラゴンの死体は完全に消滅した。

すごいな・・・・・・あれだけ巨大だったドラゴンがほんの少しの間に跡形もなくなってしまった。

今更ではあるが、敵だとしても殺してしまったのは少し心が痛む。

せめて安らかに眠ってね・・・・・・。

俺たちは天に昇る光の粒子に黙祷(もくとう)をしてから、そろって最初にいたフードコートに戻る。

結界を解除(かいじょ)した時に元と違う場所にいると、周りの人からは瞬間移動(しゅんかんいどう)したように見えるらしいので、多少の誤差(ごさ)はともかく大雑把(おおざっぱ)にでも戻らないといけないのだ。

動かない朱華(あすか)の横を通り抜けて元の位置に戻ると、花恋が結界を消す。

途端(とたん)に周囲はザワザワと騒がしさを取り戻し、突然揺れが収まったことに戸惑(とまど)う声が飛び交っている。


「・・・・・あ・・・・れ・・・・・?お兄ちゃん、今なんか変な感じがしたんだけど・・・・・・・」


朱華は俺たちが一瞬の間に若干(じゃっかん)動いたのを何となく感じたらしく、頭の上に"?"を大量に浮かべている。

首をかしげる朱華に気のせいだと誤魔化(ごまか)しながら、騒然(そうぜん)とする店内が落ち着くのを待つのであった。






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