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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
文化祭は美人教師と共に

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海辺祭り(5)







「やー、コスプレも以心伝心ゲームも楽しかったねー」

「ですね!特にウエディングドレスを着れたのが嬉しかったです!」

「・・・・・・・二人とも楽しんでくれたようで何よりだよ・・・・・」


コスプレに引き続き隣のクラスでやっていた"以心伝心ゲーム"なるものを終え、外に出た花恋と皐月はほくほくした表情で先程までの事を語り合っていた。

二人が言っている以心伝心ゲームとは、二人一ペアになって主催者が出すお題をそれぞれ答え、どれだけ合っているかを試すカップル御用達のゲームだ。

人気がありすぎるせいで専用の会場まで用意されていた。

どんな質問が来るのかと思ったら、案外簡単そうな片方の好きな食べ物について聞かれたり、はたまたそれカップルじゃないと答えられないだろ、とツッコミたくなるような質問まで。

幅広いラインナップに終始振り回されっぱなしだった。

ちなみに結果はシロとクロペアが満点、俺と皐月ペア、そして俺と花恋ペアが同率で九十点。

いずれにしろ司会者さえびっくりの高得点を取ることができた。

特にシロとクロは相変わらずのシンクロ率を発揮してたなぁ・・・・・・。

さすが双子。

こういうやつで満点なんて初めて見たよ。

俺と花恋や皐月ペアも、クロとシロには一歩及ばずだったけど、それなりに良い成績は残せたんじゃないだろうか。

一応全体のスコアランキングでは、シロクロペアに引き続き二位だったしね。

二人が段違いですごいだけで俺達も頑張った方だと思う。

・・・・・・・・・ただ一つ言わせて欲しい。

今回司会者をやってくれたあの三年生の先輩に。

"いくら何でもあの質問はズルくない!?"、って。

ちょっと詳細は言えないんだけど、とにかく答えるのも花恋と皐月の答えを見るのも恥ずかしくて、顔が真っ赤になってしまった。

計二回の()()()()()()()()()でもう俺は瀕死状態だ。

にしても問題出してる時の先輩、すっごいイキイキしてたなぁ。

満面の笑みだったし。

まぁ傍から見れば完全に悪魔の微笑みでしかなかったけど。

花恋と皐月とは違い先程の出来事を思い返して遠い目をしていると、不意に服の裾がクイクイっ、と二方向から引っ張られた。


「・・・・・・にぃ、次は小さいウエディングドレスあるとこ行こ・・・・・絶対・・・」

「そうだよ!今度こそシロ達が花嫁になるの!」


見ると、現在ちょっと・・・・と言うかだいぶご立腹なお二人が、ほおを膨らまして上目遣いで俺を見上げているじゃありませんか。

シロとクロがなぜこんなにも機嫌が悪いのか。

理由は当然(?)、自分達だけウエディングドレスを着れなかったからだ。

コスプレ屋で頑張って探したものの、結局シロとクロに合うサイズの物を見つけれず、泣く泣く移動することになった。

その時の悲しそうな顔と言ったらもう・・・・・・・。

あまりにも悲痛すぎて見てられなかった俺は、咄嗟に今度別の場所に連れていくと断言してしまった。

あっ、と思った時にはもう遅い。

先程まで死んだ魚のような目をしていたシロとクロに生気が戻り、キラキラした瞳で俺の事を見つめてくる。

そんな純粋な表情されたら前言撤回なんぞ言えるはずもなく、それは一瞬で決定事項へと早変わりした。

おかげで二人が元気を取り戻したのは良い事なのだが、俺の心配事は増えていくばかりだ。

くっ、なんてこったい。

これじゃあ俺の"何とか誤魔化してあやふやにする作戦"が実行できないじゃないか・・・・・!

このままさら〜っ、と流していつの間にか忘れてるのが一番理想的だったのに。

・・・・・・・いや、別に連れてくこと自体は何も問題は無いんだけど、その目的がウエディングドレス着ることだってのがね。

そもそもシロとクロが着れるサイズのドレスを貸し出してる場所、家の近くにあるかどうか・・・・・・・・。

もうすでに探すのさえも一苦労な予感。

まぁ自分で言ったんだから、ちゃんと見つけて二人を連れてきますよ。

まさかこんなお父さんみたいな事をこの歳でやることになるとは思わなかった。


「咲夜くん先輩、随分とお疲れのようですね」

「大丈夫、これは嬉し疲れだから・・・・・・わっ!?因幡、いつの間に!?」


話しているうちに喉が乾いてきたので、近くのお店でジュースを買って木陰のベンチに座りながら休憩タイム。

爽やかな風に当たりながらさっきの話の続きをしていると、なんと突然目の前に野生の元気ハツラツ後輩が現れた。

ほんと、今まさに転移魔法で移動してきたって言われても、信じられるくらい突然に。

・・・・・・・まさか使ってないよね?

こんな人目のある場所で使ってたら、もし見られた時大事件になるよ?


「心外ですね、私だって時と場合は選びますよ」

「うっ、さすがにそうだよね。疑ってごめ・・・・・」

「まぁ先輩のムフフな光景を見られるとしたら別ですけど!いついかなる時、たとえ周りにどれだけの人の目があろうと文字通り飛んでいきます!」

「前言撤回!俺の申し訳ないと思った気持ちを返せ!」

「あうっ!?」


ドヤ顔でとんでもない事を言ってのけた因幡に、ツッコミがてら渾身のデコピンを喰らわせる。

綺麗に眉間にヒットして、バチンッと結構痛そうな音が鳴った。

因幡があまりの痛さにしゃがみこんで額を抑えながらのたうち回っているが、全て自業自得だと思う。

相変わらずのようで安心したわ、この発情うさぎ!

周りに視線がある中でそんな事を言う勇気だけは認めてやろう。

駄菓子菓子(だがしかし)、それ以外を許すかどうかは別の話だ。


「と言うか因幡は何でここに?たしか待ち合わせは屋上だったよね」

「それはそうですけど・・・・・えへへ、待ちきれずに来ちゃいました!」

「ん゛ん゛っ!」


おっと失礼、照れながら微笑む因幡が可愛すぎてつい変な声が出てしまった。

前の話題で油断していた所に、思わぬ不意打ちが見事にクリーンヒットした瞬間だ。

ぐふっ、普段からこのくらい可愛げがあればいいものを・・・・・・。

今ので改めて思った。

因幡っていつもは発情うさぎを全面に押しすぎているせいで分かりずらいけど、こういう可愛い一面も普通にあるんだよな。

や、いつもが可愛くないとかじゃないんだよ?

むしろこんなに一途(?)な後輩に好かれて嫌なわけない。

でもねぇ・・・・・・中学生時代の()()()()()のおかげでどうしても、ね。


「咲夜さんが遠い目をしてます・・・・・・!」

「まぁ色々あったんだよ。それで、因幡は咲夜を迎えに来たんだよね?」

「はい!・・・・とは言っても、皆さんが遊び足りないのならもう少し待ちますけど・・・・・・・」

「うーん、そうしたい気もするけど、私達はもう十分過ぎるくらい楽しんだから大丈夫だよー。やりたい事も出来たしね」

「うぅ・・・名残惜しいですが約束は守らないとです・・・・!」


プルプルと腕を震わせながら俺から手を離した皐月が心底残念そうに肩を落とす。

ちなみにシロとクロも同じような反応だった。

そんな風に一生の別れみたいに悲しまれると、ここを離れるのがものすごく申し訳なくなってくる。

委員会とかクラスの出し物があったから、頑張っても今日一日しかお休みが出来なかった。

そのせいで数時間おきにグループを変えるやり方じゃないと、皆と回ることになってしまったのだ。

すまん・・・・今度じっくり一人一人とお出かけする時間作るから、今日だけは許しておくれ。


「それじゃあ咲夜くん先輩、杏奈達が待っている屋上に向かいましょ〜♪」


断固として離れようとしなかったシロとクロを花恋が抑えているうちに歩き出した俺と因幡は、二人して文化祭の間だけ解放されている屋上に向かう。

そこには本日最後の一緒に回るメンバーである、因幡を抜いた杏奈と桃花、ヴェレ、フレアの計四人が待っているはずだ。

屋上なんて滅多に入れる機会なんてないから、回る前に景色も見ときたいなぁ。

きっと海がいい感じに見えると思う。

昇降口近くの階段を三階まで上り、さらにそこから普段は看板で封鎖されている上へと進んでいく。


「咲夜くん先輩は屋上行ったことあるんですか?」

「いや、まだ一回も無いかな。絶対景色が綺麗だから行きたかったんだけど・・・・・」

「なるほどなるほど。じゃあ期待しておいて下さい!きっと咲夜くん先輩の予想以上に綺麗ですから♪」


ほほぅ、因幡にそうとまで言わせるとは俄然(がぜん)気になってきた。

さっきから心做(こころな)しか因幡のテンションが高いのも、屋上で見た景色が理由なのだろう。

コツコツと上履きの音を響かせながら降りてきた学生と入れ替わりに踊り場を曲がると、もう屋上へと繋がるドアは目の前だ。

しかし、ここで問題発生。

・・・・・・四階分も階段登るのつらい・・・・・・・。

二階目辺りからゼーゼー息切れが始まったし、明らかに去年と比べて体力の衰えを感じる。

もしかして俺だけ階段長くなってる?

そう思えるくらいキツい。

因幡はなんでそんなに楽々登れるのさ・・・・・・。


「咲夜くん先輩、おんぶします?私は後輩なんだから遠慮しなくていいんですよ?」

「やばい因幡に本気で心配されている・・・・・。駄菓子菓子(だがしかし)、俺は自力で登りきってみせる!その方が景色も綺麗に見えるだろうし!」

「そういうのは険しい山とかで言ってくださいよ・・・・・。で、本当に大丈夫なんですか?」

「大丈夫・・・・なはず」


最後ので少し頼りなくなってしまったが、なんとか息を整えて再び止まっていた足を動かす。

うん、これ明日確実に筋肉痛だわ。

足全体が悲鳴をあげてる。


「ちぇっ、合法的に咲夜くん先輩の太ももを堪能出来ると思ったのに」

「おい待て、そっちが本音かい」


さらっと因幡の口から漏れたとんでもない言葉に思わずそうツッコむ。

割とガチトーンで心配してきたと思ったら、まさかのセクハラ目的だったんですけど。

知ってる?

男女逆でもセクハラって成り立つんだよ?


「双方の合意があれば問題ないです。と言うわけで咲夜くん先輩、後で太ももスリスリさせて下さい!」

「やだ」

「そんな!?まさか一言で断られるなんて・・・・・」

「逆にどうしたら俺がいいって言うと思ったんだよ・・・・・。ほらもう着いたぞ。さてさて、景色はどんな感じなんだろうなぁ」

「あ、置いてかないでくださいよぉ!私だって恥ずかしいのを忍んで─────────」



「だから、止めてってば!」


「わっ!?」

「ふぎゃっ!?」


ギャーギャー言ってる因幡をなだめながら屋上に続くドアを開け、校舎内から一歩足を踏み出した次の瞬間、景色に目が行く間もなく大きな少女の声が聞こえてきた。

突然響いた大きな声にびっくりして足を止めると、それに反応出来なかった因幡が俺の背中にドンッとぶつかる。

あ、ごめん・・・・・・つい立ち止まっちゃった。

慌てて振り返ると、どうやら顔面からぶつかったらしい因幡が、女の子らしからぬ声を上げて鼻を抑えていた。

涙目のまま無言で睨んでくる因幡の視線が痛い。


「・・・・・・・とりあえずこれは一旦置いておくとして。咲夜くん先輩、今の声・・・・」

「うん、間違いなくフレアだったね。何かあったのかな」


かなり声を荒らげていたので心配だ。

声の方向からして正面ではなく、入口のある小屋の裏側から聞こえてきた。

そんな場所にいるのもまた不安を掻き立てる要因の一つとなっている。

俺と因幡は足音を殺して小屋の横に回ると、角からトーテムポールのようにそっと顔を覗かせる。

そこには待ち合わせをしていたはずのフレア達四人と、その他に違う制服を着た外部の学生と思われる男子が五名程。

いずれも見た目から面倒くささが漂ってる系男子だ。


「うーわ、出たよ迷惑ナンパ野郎」

「・・・・・・なんだか一発喰らわせてやりたい気分です」


あまりにしつこすぎるナンパに因幡もイライラを隠せない様子。

向こうのヴェレと桃花も静かにキレ出しているのを男達は気が付かないのだろうか。

もう笑顔が笑ってないよ・・・・・・。

遠くで見てるこっちまで背筋が凍るのに、あんなに近くでバカしてる男共はある意味強者なのかもしれない。

よし、さっさと止めに入ろう。

こういう輩は注意しても分からないだろうから、現実を見せる方向で・・・・・・・・・。


「え〜、まだ待ち合わせしてる奴来てないんだろ?」

「っ、やめてって!」


急に目の前にいた男に手首を掴まれてビクッ、と肩を竦めたフレアが思いっきりその男の腕を振り払う。

しかし、中々諦めの悪い男はさらにしつこく掴もうとする。


カッチーン!


はい俺今すごいカッチーンきました!

フレアが怖がってるじゃないか。

彼女はああ見えて大精霊一繊細と言っても過言じゃない。

そんな子を三人で囲んで一方的なナンパとかダメだろ。

て言うか冷静に考えて、見た目十代前半の女の子をナンパするとか今どきの高校生はどうなってるんだろう。


「だからさ〜、別にいいじゃんか」

「よかねぇよ。実行委員だ、これ以上うちの生徒に迷惑かけるようなら出禁にすっぞ」

「っ、あんた・・・・・!」

「咲夜さん・・・・!もう、待ちくたびれてしまいましたよ?」

「咲夜くん!」


もう我慢できなくなった俺は影から飛び出して男達とフレア達の間に割って入り、ポケットにしまっていた文化祭実行委員の腕章を見せつけぬわっ!?

男達を睨んでいたら突然後ろから桃花に抱きつかれて、危うくカッコつけて出した腕章を落としそうになってしまった。

ちょ、桃花サン!?

抱きしめてくれるのは嬉しいんだけど、そういうのは今じゃない方がいいって言うか・・・・・・。

この体勢じゃイマイチ決まらない。

一応腕章を出した効果はあったみたいで、それを見た男達が一瞬たじろぐ。

しかし、すぐに俺の体を値踏みするような視線で舐め回すと、今度はこっちにまでナンパをしてきた。

・・・・・・・はぁ、ここまでバカなナンパ野郎もそうそう居ないでしょ。

実行委員だって言ってんのに。

一周回って呆れてくる。

あれか、もしかしてお前ら自分達がかっこいいと思ってる痛いやつらなのか?

伸ばしてきた手を絡め取って倒し、軽く関節をキメてやる。


「次はないからね?」

「いってぇ!?は、はい、すみませんでした・・・・・・!」


耳元でドスの効いた声を聞かせ、男達が怯んでいる隙にフレアの腕を引き桃花とヴェレを連れてさっさと屋上から逃げる。

ったく、迷惑な奴らだったな・・・・・・・あいつらのせいで皆どんよりムードだし、景色見損ねたし!

せっかく楽しみにしてたのに。


「咲夜、さっきはその・・・・・ありがとね」


やっとあいつらから離れられたおかげで、フレアが心底ほっとしたような表情を浮かべる。

いつも気丈なフレアにこんな顔させるなんて、やっぱりあいつら許せん!

はぁ、こんな時どうやって励ませば良いんだろ・・・・・・・。

俺はここでさらっと何か言えるほど女性経験が盛んなわけじゃない。

さらにはテンションでごり押せる陽キャでもないので、どうしたら良いのか本当に迷ってしまう。

そして色々考えた結果。

まだ微かに震えている彼女の手をギュッと握り返し。


「・・・・・・・・まぁ少なくとも、ナンパしたくなる気持ちは分かるかな。フレア可愛いし」

「────────かっ、かわっ!?」


俺のらしからぬセリフを聞いた途端、フレアの顔がぼっ!と赤く染って酸素を求める魚のように口をぱくぱくさせる。

ああぁぁぁぁぁぁ死ぬほど恥ずかしい!

出来ることなら今すぐ地面に転がり回って叫びたい。

が、そんな事をしてしまえば恥ずかしいのを忍んでせっかく言ったセリフが台無しになってしまう。

だからうっすらと赤くなった顔で唇をきゅっと結び、小刻みに震えるだけに留めておいた。

ビッタンビッタン跳ね回るのは内心だけだ。


「ねぇねぇ咲夜くん、私も!私も怖かったよ!」

「う、うん・・・・・。桃花に関しては毎回思うけど、もう少し抵抗しても良いんじゃない?」


正直に言うと桃花とヴェレに対してはあんまり心配していなかった。

桃花は精神的に、ヴェレは物理的に強いからね。

今回のやつらがだいぶ特殊だっただけで、そんじょそこらの輩が相手なら桃花の凍える微笑みでなんとかなるはずだ。

昔から桃花がナンパさせる所を真横で見てたけど、それで追い払えなかったやつ居なかったもん。

だから次ナンパされた時は──────────。


「・・・・・・ってあれ、桃花?」

「むーーーっ・・・!!」


何か違和感を感じて振り返ると、限界までほおを膨張させた桃花が瞳に涙を浮かべ、俺の服の裾を力強く握り締めていた。

ぱっつんぱっつんに膨れ上がったほおの上からでも、桃花のものすごい・・・・・本当にものすごい不服そうな表情がこれでもかとよく分かる。

あれ、何か俺まずい事言っちゃった・・・・・・?


「・・・・・・・もう、咲夜くんのばか!にぶちん!」

「あ、ちょ、桃花サン!?」


なぜか桃花を怒らせてしまったようで、そんなセリフを残し一人先に階段を降りて行ってしまった。

姿が見えなくなるまでそう時間はかからない。


「まったく・・・・咲夜くん先輩は酷い男ですねぇ。桃花先輩が可哀想です」

「うぅ、そんな事言われても・・・・・」

「桃花先輩は私がなだめておきますから、その間に何が悪かったのか考えておいてください。ほら、フレアさんも行きますよ」

「え、えぇ」


因幡はまだ若干俺の方を気にしているフレアの手を引いて、先に行ってしまった桃花を追いかけて下の階へと降りていった。

ポツンと取り残された俺は無言のまま隣のヴェレに助けを求める視線を送る。


「咲夜さんはもう少し女心という物について知りましょうね?」

「お、女心っすか・・・・・・」


ヴェレにさえこんなにも呆れた目で見られているということは、さっきの俺は相当やらかしていたらしい。

と言ってもまったく心当たりがないんだが・・・・・・。


「先は長そうですねぇ」

「一言も反論できない・・・・・・・」

「まあ一つ言えるとしたら、咲夜さんが思っているほど昔のままではないのですよ。桃花さんは」

「それってどういう・・・・・?」

「ヒントはここまでです。いつまでも私に頼らず、ちゃんと自分から見つけなくては意味がありませんから」

「むぅ、確かにその通りだけども」


ヴェレは話しながらうふふっ、と意味ありげに余裕の笑みを見せる。

女心か・・・・・・なんだろう、一生かけても分かる気がしない。




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