表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
二章 何でも屋"夜桜"へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/122

妹の気持ち




「あれ、朱華(あすか)。もう支度(したく)出来たの?」


急いで着替えて部屋から出ると、ちょうど階段を登ってきたお兄ちゃんと鉢合(はちあ)わせた。

むぅ、ステイって行ったのに・・・・・・・・まぁでもしょうがないっか。

お兄ちゃんも準備しなきゃだし、お兄ちゃんが花恋さんのそばにいたら()()()()()()し。


「あ、お兄ちゃん。花恋(かれん)さんって下にいる?」

「リビングにいるよ」

「そっか。ありだと!」


キョトンとするお兄ちゃんの横を通って階段を降り、緊張しながらリビングのドアノブに手をかける。

・・・・・・お兄ちゃんがいない間に、確かめなきゃ・・・・・・。

深呼吸(しんこきゅう)、深呼吸しよう・・・・・スー、ハー・・・・・・・・・・・・・もし、花恋さんも私と同じで()()だったら、どうしよう。

ふとそんな事が頭をよぎった。

ドアノブを握っていた手がピクンッと震え、思わず力を(ゆる)めてしまう。

仮に本当にそうだとしたら、正直、勝てる気が微塵(みじん)もしない。

上でこっそり二人の会話を聞いていて、なんていうか上手(うま)く言えないけど、お兄ちゃんと花恋さんの間には、何か特別な雰囲気(ふんいき)が流れていたのが分かった。

二人はいつ出会ったんだろう。

お兄ちゃんが新しいバイトを始めると言っていたのがちょうど一週間前だったから、そこら辺から?

それとももっと前に出会っていて、花恋さんが居るから新しいバイトを始めたの?

お兄ちゃんは(まった)く気づいてなさそうだったけど、花恋さんの言葉の端々(はしばし)からは、とても隠しきれないような喜びの感情が(あふ)れていた。

もちろん、単純(たんじゅん)に話せて嬉しいと言うのもあるのだろうけど、きっとそれだけじゃなくて・・・・・・・・。


"ずっと会いたかった人にやっと会えた。"


有名人に対するそれじゃなくて、もっとこう、なんて言うか・・・・・・長い間、(はな)(ばな)れになっていた大切な人に、やっと会えた・・・・・・・・的な。

そんな感じ。

少なくとも、会って一週間でこんな関係は(きず)けないと思えるくらいには(した)しげだった。

まあこれに(かん)しては、自分で言ってて変だなぁって思う。

やけに具体的だし。

私は昔から人の気持ちを読み取るのが得意(とくい)だったけど、最近は人の表情を見ただけで、その人がどんな気持ちを抱えているのか、常人には見破(みやぶ)れないようなところまで分かるようになってきた。

時々、花恋さんのように具体的なものが感じられる場合もある。

・・・・・・もはやこれって、得意どころの話でじゃないのでは?

っと、こんなこと考えてる場合じゃない!

お兄ちゃんが戻って来ちゃう。

私は()(けっ)してドアを開ける。


「やー、朱華ちゃん。待ってたよー」


礼儀(れいぎ)正しくソファーに座っていた花恋さんが、こちらに振り返って手を振る。

待ってた、かぁ・・・・・・。

何かを聞こうとしてること、バレてたのかな。

私は花恋さんの向かい側のソファーに腰を下ろす。


「・・・・・少し、お話ししませんか?」

「うん、いいよー。朱華ちゃんとも仲良くなりたいからね!なんでも聞いて!」


ウィンクして両手を広げ、ウェルカムと言っている花恋さん。

その姿に苦笑しながら。


「とりあえず、さっきは急にあんな態度とってごめんなさい」


そう言って軽く頭を下げる。

急に可愛い人がお兄ちゃんを訪ねに来たから、気が動転しちゃったんですよ・・・・・・・。

でもいくら警戒(けいかい)していたからだとしても、初対面であの態度はさすがにまずかったかな。


「ううん、気にしなくていいよー。あの時は朱華ちゃんも複雑な気持ちだったろうしねー」


(おだ)やかに笑う花恋さんを見て、私は少し罪悪感(ざいあくかん)が湧いた。

私はあんなに敵意(てきい)をむき出しにしていたのに・・・・・・たぶん私の想いにも気づいているのに、こんなに優しく接してくれている。

これが大人の余裕ってやつか・・・・・!


「一つ質問いいですか?」

「うん、いいよ」


本当は答えなんて聞きたくなんかないし、聞かなくても予想はついてること。

でもこれは、花恋さんの口から直接聞かなくてはいけない。

私の表情から何を聞かれるかある程度(さっ)しているらしい花恋さんは、薄く微笑(ほほえ)みながら私の目を見ている。



「花恋さん、お兄ちゃんのこと好きですよね」



「うん、もちろんだよー!むしろ愛してると言ってもいい」



花恋さんはそう答えながら腰に手を当てて得意げに胸をそらせる。

むぅ、よくそんな事堂々(どうどう)と言えますね・・・・・・・・・・・と言うか、何なんですかその胸は!

私より大きいじゃないですか、さっき胸張った時に揺れてましたよ?

けしからん、(じつ)にけしからんですよ!

お兄ちゃんめ・・・・・まさかこれに誘惑(ゆうわく)された訳じゃあるまいな。

もしそうだったら一回正座(せいざ)させるか・・・・・・・。

まぁお兄ちゃんの疑惑(ぎわく)は一旦置いておくとして。


「花恋さん顔赤いですよ」

「うっ、そこにはツッコまないで欲しかったかな・・・・・。言った後に恥ずかしくなったよー。そう言う風に思ってるってことは、本当なんだけどね」


花恋さんは薄く赤く染まったほおを片手で隠しながら視線を()らす。

やっぱりそっかぁー・・・・・・・。

自分で聞いておいてあれだけど、本人に言われると余計(よけい)に心がざわついた。

こんなにも魅力的(みりょくてき)な人がお兄ちゃんを好きで、お兄ちゃんもなんだか満更(まんざら)ではない様子。

二人がいつ、どんな風な出会い方をしたのか私は知らないけど、これだけの好意を向けられるだなんて、よほど劇的(げきてき)な何かがあったんだろう。

そう思うとどうしようもなく嫉妬心(しっとしん)が湧き出てきて、私は顔を()せて拳をギュッと握りしめる。

私だって、お兄ちゃんと────────────!



「朱華ちゃんも咲夜のこと、好きだよね?」


「・・・・・・ふぇっ!?」



思わぬ不意打(ふいう)ちに太ももの上で握っていた(こぶし)がずるっと滑って、(あや)うく転倒(てんとう)しそうになった。

私は顔が赤くなるのを感じながら、上目遣(うわめづか)いに花恋さんを見上げる。


「・・・・・・・やっぱり、分かりますか?」

「うん。私が来た時とか必死だったもんねー」

「あうっ・・・・・・・」


私はさらに顔の火照(ほて)りが増すのを感じ、花恋さんと同じように思わず視線を逸らしてしまう。

たしかに今日は動揺(どうよう)してたせいで、普段はしないようなあからさまな言動をしてしまっていた。

今更(いまさら)だけど、よく考えると玄関でお兄ちゃん押し倒すって、私何してんだろ・・・・・・・・・・・。


「妹である私がお兄ちゃんのことを好きなのって、やっぱり変ですか?」


これは、誰かに一度聞いてみたかったこと。

世間一般的(せけんいっぱんてき)にはダメな事ってされてるけど、私はもうお兄ちゃんを好きになっちゃったから。

今更この気持ちを変えるなんて事、ましては忘れる事なんて出来っこない。


「うーん、ちょっと()()だけど、私は別に変じゃないと思うなー。誰を好きになるかは人それぞれだし、朱華ちゃんの場合はそれがお兄ちゃんの咲夜だったってだけで、そこまで気にする必要はないと思うよー」


私が思っていたより肯定的(こうていてき)な返事が返って来て、思わずキョトンとしてしまう。

てっきり()(こう)から否定されるものだと思っていたが、(ふた)を開けてみたらまさかの真反対(まはんたい)だった。


「あ、もしかして否定されると思ってた?」

「えーっと・・・・・まぁ・・・・・・」

「あはは、まあそうだよねぇ。たしかにそう考える人は多い・・・・・・と言うかそれが常識なんだろうけど、私の場合はさっき言ったみたいに()()()()()()()()だし、たとえそうじゃ無いとしても、朱華ちゃんの気持ちを否定する気はないよー」

「そうですか・・・・・・・・」


まさか、こんな風に言ってくれるなんて。

花恋さんの目を見れば、お世辞(せじ)じゃなくて本気でそう思ってくれているのがよく分かる。

恋敵(こいがたき)である私を蹴落(けお)とさず、励ますだなんて。

まったく、なんでこんなにいい人がお兄ちゃんに()れちゃったんだろーなー。

まあたしかにうちのお兄ちゃんは、超かっこいいし超可愛いけどさ!


コンコンッ。


リビングの扉がノックされる音がした。


「おーい、用意できたぞ。なんか話してるみたいだけど、入って大丈夫?」


お兄ちゃんの声が聞こえて来て、私と花恋さんは思わず顔を見合わせる。

話が一段落(ひとだんらく)着くのを待っていたような、ちょうど見計らったようなタイミング。


「じゃあ、今日はここまでにしよっか」

「そうですね」


そろってソファーから立ち上がり、私はリビングのドアを開ける。

部屋に入ってきたお兄ちゃんは私たちの顔を見るなりクスリと笑った。

ん?どうしたの?

・・・・・・・・・もしかして何か顔についてる?


「いや。何話してたか知らないけど、仲良くなれたみたいでよかったよ」

「「・・・・・・・・・」」


私と花恋さんは顔を見合わせて笑い合うと、左右に分かれてそれぞれお兄ちゃんの腕を抱きしめる。


「ん!?ちょ、二人とも何して・・・・・・・!?」


状況がうまく飲み込めず慌てふためくお兄ちゃんを他所(よそ)に、私たちは視線を交差(こうさ)させて火花を散らす。

スッキリさせてもらった所で申し訳ないんですけど、(もと)から私も負けるつもりはありませんからね!

コテンパンに負かしてやりますよ、覚悟(かくご)しておいて下さい。


「お互い、振り向いてもらえるようにがんばろーね!」

「はい!負けませんよ!」

「待ってそれ何の話!?」


頭の上に"!?"マークを大量に出しているお兄ちゃんを二人で引っ張りながら、私たちはデートに出かけるのであった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ