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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
文化祭は美人教師と共に

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海辺祭り(4)







散々俺をからかった挙句(あげく)、"二回目のライブの準備をしている音夢(ねむ)の所に行く"と言って逃げたバルス。

その後一時間ほどスゥ達と遊んで別れた俺は、今度は一人で北校舎の昇降口(しょうこうぐち)を目指して歩いていた。

もちろん仕事を探しにクラスに戻るためではない。

さて、どこに居るのかな〜っと・・・・・・・・あ、見つけた。

目的地に着いて辺りを見回すと、お客さんの出入りが激しい昇降口の右側に固まる女子集団を発見した。

クロとシロ、花恋(かれん)皐月(さつき)の計四人だ。


「ごめん、待った?」

「・・・・・・・っ、にぃ・・・・!」

「あ、おにぃ!遅いよもー!」

「あはは・・・・ごめんごめん、思ってたより混んでてさ。花恋と皐月もごめんね?」

「大丈夫だよー、私達もさっき来たばっかりだし。ね、皐月」

「ですね!それに、その分たくさんイチャイチャしてくれれば問題ありません!」

「が、頑張ります・・・・・・」


手を振りながら近づくと、まずクロとシロが同時に胸元に飛び込んで来て、二倍の衝撃に危うく押し倒されてしまいそうになった。

当然こんな往来(おうらい)でそんな事させる訳にもいかないので、二人を支えながら必死に踏ん張ったのは言うまでもない。

それにしても、まさかこんな所でも双子の連携プレーが働くとは・・・・・・。

双子恐るべし。

そして皐月からは結構プレッシャーになるお言葉を頂戴(ちょうだい)し、いつまでも暑い日向(ひなた)で話しているのもあれなのでとりあえず校舎の中へ。


「皆はもう行きたいとこ決まってるんだっけ」

「うん、シロとクロがこれ行きたいんだってー。私も見たんだけど、確かに面白そうだったなぁ」

咲夜(さくや)さんも喜んでくれそうな感じでした!早速行きましょう!」


元気よく手のひらをパチンと合わせた皐月に背中を押され、すぐ近くにあった階段を登って三年生の教室がある二階に上がる。

おおぅ、ものすごい混み具合。

さすがは三年間もこの学校で過ごしているだけあって、パッと見でも先輩達の出店はどれも完成度が高い物ばかりだ。

お客さんも他学年と比べて多いため、必然とこの階だけ混み具合が半端じゃない。

空間が限られてるから、その分外の比じゃないな・・・・・・・。

皆が行きたい場所はさらにこの一番奥にある三年九組の出店ってのがまた辛い。

覚悟を決め、はぐれないようにシロとクロとは手を繋ぎながら人混みをかき分けて進む。

ちなみに花恋と皐月には俺の服の裾をつまんでもらっている。

・・・・・・・いや、"もらっている"と言うか、二人がそうしたいって言ったんだけどね?

俺の腕は二つしかないのでシロとクロで手一杯で、花恋と皐月なら大丈夫かな〜って思ったんだけど、どうやらそう言う事じゃないらしい。

たしかにはぐれはしない。

しかしそれはそれ、これはこれ。

シロとクロだけ俺の腕に抱きついているのはずるい、との事。

そういう訳で、妥協案としてこうして服の裾をさりげなくつまんでいるのだ。

うん、なんかこういうのって良いよね・・・・・。

積極的ではないけど、さりげないからこその良さがあるって言うか。

こんな風に内心一人で盛り上がっているうちに、いつの間にか目的のクラスの前までたどり着いた。


「コスプレ屋へようこそ〜!五名様ですね?奥へどうぞ。試着する際は、あそこのカーテンで区切られた場所を使用してください!」


クラスの外で待機していたネコミミお姉さんの所で受け付けを済ませると、そのまま(にぎ)わう教室内にあったベンチの一つに案内された。

簡易的なベンチの正面にはカーテンで四方を隠されたエリアがあり、それが各ベンチの個数分、つまり六箇所作られている。

肝心(かんじん)のコスプレ衣装はと言うと、真ん中の洋服掛けにこれでもかというほどたくさんあった。

すごっ・・・・・・思ってたより数倍は本格的だよ、これ。

店内の装飾(そうしょく)綺麗(きれい)だし、奥にはちゃんと何種類かのスタジオ的なやつも設置されてる。

あ、今ちらっと見えたけど、カーテンの奥には段差と鏡があるんだ。

さっきのネコミミお姉さん言い、いくらなんでも俺達とレベルが違過ぎないだろうか・・・・・・・・。


「じゃあ早速シロとクロが着替えてくるね!」

「・・・・・・にぃ、楽しみにしてて・・・・?」


シロとクロが返事を待たずにいそいそと衣装を持って試着室に入る。

──────────数分後。


「じゃじゃーん!みてみて〜、可愛いでしょー!」

「・・・・・・どお・・・・?」

「くっ、うちの子達が可愛すぎる・・・・!写真撮ろう、写真!」


シャッ!と勢いよくカーテンを開けて出てきたのは、天使と悪魔のコスチュームを身にまとったシロとクロ。

純白の翼を(たずさ)えたシロはもちろん、堕天使(だてんし)風の衣装のクロも悪魔的に可愛い。

一瞬本当に目の前に天使が舞い降りたかと思ったよ・・・・・。

ちなみにクロは悪魔じゃね?とかいう無粋(ぶすい)な質問は受け付けない。

とにかく可愛いってこと!

ちょうど空いたスタジオに即行移動して、手を繋ぎながら満面の笑みを浮かべるシロと、控えめに微笑(ほほえ)むクロを色々な角度から連写しまくる。


「咲夜さん、スゥちゃんの時もそうでしたけど、完全に親バカ発動してますね」

「ほんとだよー。はしゃいでる所は可愛いけど、私達の相手もして欲しいよねー」

「ふふふ、そのためのコスプレ屋ですから。皐月達のコスプレで改めて咲夜さんをメロメロにしちゃいましょう・・・・・!」

「そうだねー。まぁ咲夜にはちょっと刺激が強すぎるかもしれないけど」


はっ、何やら悪寒(おかん)が!?

二人の写真を撮っていると、ふと背後から謎の視線を感じた。

思わず疑問符(ぎもんふ)を浮かべながら振り返ったが、視線の合った花恋と皐月は我関(われかん)せずみたいな顔をしていたため、結局今のが何だったのか分からず仕舞いだ。

気のせいだったのかな・・・・・・・。

二人で衣装を選びに行った花恋と皐月を横目に首を傾げる。


「さくにぃ、どうしたの?」

「ん、いや何でもないよ。次は花恋と皐月が着替えるっぽいから、試着室の方に戻ろっか」

「はーい!」

「・・・ん」


天使と悪魔を両手に花状態で座って待っているうちに、気に入った衣装を持ってきた花恋と皐月がカーテンの向こう側へ。

クロとシロと違って二人は着替えがスムーズに出来ると思うので、割とすぐに出てくるはずだ。

しかしここで、一つ事件が。

このコスプレ屋の配置的に隣の試着室やベンチとはそれなりに距離があるものの、セットになっている試着室とベンチは一メートル弱しか距離がない。

そのため思った以上に中の声や音が聞こえてくるのだ。

つまりその、何が言いたいかと言うとね?

聞こえるんですよ、ワイシャツとかスカートを脱ぐときの衣擦(きぬず)れの音が。

結構周りがガヤガヤしてるから意識しないと聞こえないんだけど・・・・・・ほら、一回気がついちゃうと、ね。

無意識に聞き耳を立てちゃうわけですよ。

いやー、やっぱり男の(さが)って怖いね!

なんか普段以上に耳が良くなってる気がする。

・・・・・・・にしても、花恋と皐月はどんな衣装を選んだんだろう。

シロとクロみたいに微笑ましいのだと嬉しいんだけど、この絶好の機会にあの二人が何もしてこないはずがない。

ま、まぁすでに下着同然の水着姿を見てるし、なんならこの前モロに下着見ちゃったしね。

そう考えたら今更少し過激なコスプレの一つや二つ、なんて事ないでしょ───────────。


「おまたせー。花恋バニーさんと皐月バニーさんのお出ましだよー」

「うぅ、いざ着るとやっぱり恥ずかしいです・・・・・・」


とか思ってた時期も俺にはありました。

出てきた二人を見て、さっきまでの謎の余裕は跡形もなく消し飛んだ。

バニーは・・・・・バニーはあかん!!

惜しげなくむき出しにされた真っ白な素足を薄い網目のタイツが包み、大胆に胸元を開けた二人のバニーさん。

衣装がぴっちりと肌に密着しているせいで、細いくびれや美しい双球(そうきゅう)のラインがこれでもかと主張されている。

けしからん!これは非常にけしからんぞぉ!?


「・・・・・・そんなこと言ってるのに、おにぃガン見してるじゃん」

「ふっ、時には欲望に忠実になる必要もあるのさ」


シロのツッコミを華麗(かれい)にスルーしてとりあえず写真を一枚。

うむ、堂々としてる花恋バニーさんも恥ずかしがってる皐月バニーさんも、とても良き!

左右のシロとクロから冷ややかな視線が注がれてるけど、今だけは気にしない!

その後も(ぼう)幻想郷(げんそうきょう)巫女(みこ)が着てそうな巫女装束やナース、ネコミミなど、これ本当に大丈夫かと思ってしまうようなえっちぃ衣装のオンパレード。

二人のコスプレショーが終盤(しゅうばん)を迎える頃には、俺の表情は幸せに満ちていた。


「・・・・・・にぃ、クロとシロの時と反応がちがう」

「ね」

「クロとシロは可愛い枠だからねー。ああ言うのはまだ早いかなー」


たしかに。

もしやるとしても、俺達くらいの年になったら・・・・・・・って、歳で言えば二人の方が圧倒的に上か。

じゃあ体が成長してからかな。

十六、七歳になったクロとシロは相当可愛いだろうし、どんな衣装でも似合いそうだ。

・・・・・・・・いや、こんな衣装を着て人前に出たら、悪い虫が大量に寄ってくるに決まってる。

却下だ却下!そんなのお兄ちゃん許しませんよ!?


「シロ達もバニーさん着ようかな・・・・・」

「ごめん、俺が悪かったからそれはヤメテ!」

「・・・・・にぃ、そんなにクロ達のバニーや・・・・・?」

「あぁ、違うよ!そういう事じゃなくて!ほら、今の二人がバニー着たら、変態紳士が生まれちゃうかもしれないじゃん!?」

「そっちかー。たしかにその可能性は大だけどさー」

「むしろ、咲夜さんがなりそうな気が・・・・・・」

「「へんたいしんし・・・・・?」」


シロとクロは何のことだか分からない様子で首を傾げる。

うん、二人はそのまま純粋で居てくれ・・・・・・。


「じゃあネタ枠はここまでにして、最後に私達が一番着たかったのを着よっかなー」

「?」


意味深(いみしん)に俺の方を見て笑いながらカーテンの向こうに消える花恋と皐月。

今度は一体何をする気なんだろう。

今までのやつのせいで若干(じゃっかん)見るのが怖いんだが。

そんな俺の懸念(けねん)をよそに、先程までとは違い入念に時間をかけて着替えを終えたらしい二人によって、視界を阻んでいたカーテンがサッと開かれる。


「あ、終わった?次は一体なに・・・を・・・・・」

「「わぁ・・・・・!!」」


シロとクロと遊んでいた手を止めて振り返った途端、俺は思わず言葉を失ってしまった。

クラス中からも視線を集め、ぽーっと見とれている人や硬直して持っていた衣装を落としてしまう人もいた。

それほどまでに、()()()()を着た花恋と皐月が綺麗だったのだ。

もったいぶらずに言おう、二人が着ているのはウエディングドレス。

たぶん背中部分をマジックテープか何かで止める簡易的なものだと思う。

これを文化祭のために作った先輩にも驚きだけど、それと共にこれだけウエディングドレスが似合ってる二人もすごい。

花恋はほんのりとピンク色を混ぜたフレンチスリーブ型のドレスで、胸元から二の腕までを覆う薄い布には鈴蘭(すずらん)と思われる花の刺繍(ししゅう)が入れられている。

肩のラインがスッキリしているおかげで、いつもより華奢(きゃしゃ)な感じがして思わずドギマギしてしまう。

広がらずにストンと落ちた裾も彼女の細さと美しさを際立たせる。

皐月はうっすらと水色を(にじ)ませたVネック型のドレスで、ロングスカートより少し短いくらいのミディサイズは活発な彼女らしい長さだ。

全体的にシンプルなドレスだが、スカート部分のフリルと頭の花冠(はなかんむり)が良いアクセントになっている。

カーネーションと・・・・・あとなんだろ。

水色のカーネーションの他に、花冠に添えられたクローバーのような葉。


「あ、これはアジアンタムっていう観葉植物(かんようしょくぶつ)らしいです。一枚一枚が可愛らしい形ですよね!」

「そうだね・・・・・・。で、お二人共これは一体?」


一足先に二人の花嫁姿を見れて嬉しいに決まってるが、なぜいきなりこれを着ようと思ったんだろう。

いきなり過ぎて危うく心臓が飛び出るかと思ったよ?


「あはは、すみません・・・・。ですが、どうしても着たかったんです」

「昔からの夢なんだー」

「夢?」

「そ。ウエディングドレスを着て、盛大な結婚式を挙げるって言うね。ほら、最近は結婚式を挙げない人も多いでしょ?だけどやっぱり私は、永遠の愛を誓うなら大勢の前がいいんだー。皆を巻き込んだ盛大な結婚式で、永遠の愛を誓う。とっても素敵(すてき)だよねー。」

「皐月も同じです。その方が楽しいに決まってます!」


そう言って笑う花恋と皐月はいつもの数倍可愛く見えた。

もちろん、俺が一発KOになったのは言うまでもない。


「だから、いつか私達の夢を叶えてね?」

「・・・・・それはずるいって・・・・・」


もはや茹でダコのように真っ赤になった俺は、プシューッと湯気を上げながらうずくまって(もだ)えてしまう。

恥ずかしさ三割、嬉しさ七割みたいな感じ。

よくもまぁこんだけの人が見てる中あんな事言えたな・・・・・・・俺だったら羞恥心でぽっくり()ってもおかしくないんですけど!?


─────────実はこの時俺はうずくまっていたせいで気が付かなかったが、あとから聞いた話によると花恋と皐月もまぁまぁ赤い顔をしていたらしい。


そしてそんな事は露知(つゆし)らず一人悶えていると思っている俺の横で、ついに我慢の限界が来た幼女が約二名。


「むー・・・・・!ずるい、クロもにぃと結婚・・・する・・・・!」

「シロも!お姉ちゃん達だけ抜けがけは許さないもん!」


ガタッ!と勢いよく立ち上がったシロとクロが、悶える俺を置き去りにして衣装置き場に行ってしまった。

何を探しに行ったかは想像に(かた)くない。

このままではロリコン野郎という不名誉(ふめいよ)な噂が立てられてしまうが、今の俺にそれを止める気力は残されていなかった。




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