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普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
文化祭は美人教師と共に

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文化祭の出し物




イシスを正気に戻した後、プリントと一抹の不安を抱えて教室に戻った俺だったが、結果としてその心配は不要だった事となる。

なぜならそれ以降イシスはドMの姿を見せること無く、高嶺の花だが接しやすく面白いを売りにした先生として瞬く間に学校中に噂が広がったからだ。

彼女の噂は尋常じゃない速度で広がり、昼休みには学年問わず大勢の生徒が俺達のクラスの前に集まっていた。

うわぁ、花恋と皐月が転校してきた時も凄かったけど、やっぱりイシスもすごいな・・・・・・・・。

ドMだからうっかり忘れてたけど、そう言えばイシスって神秘的って評されるほど美しいんだった。

そりゃあこんな外見と接しやすさが合わさったら人気が出ないはずがない。

いつもこんな感じにしていれば良いものを・・・・・・・・て言うかやっぱり、集まるのは男子の方が割合高いね。

ふと視線を上げて、"豊海先生と会話出来る列"という謎の看板の並べられた列を見る。

なんかあれは生徒会の役員が用意したらしいよ?

あまりにもうちのクラスの前が混雑してるってんで、急遽作ったあの看板と役員の案内で列を整頓させてるらしい。

さっきちらっと見たんだけど、列が向こうの端の教室までズラ〜っと並んでたんだよね・・・・・・・・どんだけ人気なんだか。

扱いがまるでアイドルの握手会だ。

だがそうなってしまうのも分からんでもない。

何せ全ての男子学生だけでなく、あらゆる人にとって憧れのシチュエーションだもんな!

さりげなく先生も並んでたし。

ただ、やるなら他の空いてる教室でやって欲しかった。

こうも視線があると、なんか微妙にお昼ご飯が食べにくいんだよねぇ・・・・・・・。

まぁ目の前の楓と颯馬は気にせずバクバク食べてるけど。

君達、少しは周りが気にならないの?


「え?う〜ん、まぁ別にいいかなって!それよりお腹減ったんだもん!」

「僕は見られ慣れてるしね。それに、お昼は楓と一緒に食べたいからさ」

「さらっとラブラブアピールする颯馬のそこに痺れる憧れるぅ」


くっ、これだから白崎高校バカップル代表は!

俺も一回言ってみたいわ"見られ慣れてるから大丈夫"って!

当然俺にはそんな度胸はないのでスマホ片手にボーッとしながら昼休みは終わり、お腹がすいたまま五時間目に突入。

ここの授業が総合で良かったと心から思える。

それ以外の授業だったら間違いなく空腹で死んでただろうね・・・・・・・・。

特に体育とか。

食後でお腹いっぱいでも食べてなくてお腹すいてても軽く地獄を見そうだもんなぁ。


「それじゃあこの時間では、文化祭でやるクラスの出し物を決めようと思います。文化祭も近づいてきましたからね。そろそろ決めないと準備が間に合いませんよ〜?」


イシスがそう言いながら黒板に書いたのは、今のところ上がっている選択肢の中から選ばれた二種類の出し物。

今日は話し合いでこの二つのどちらかに決め、明日から早速準備を開始する予定だ。

ちなみに黒板に大きく書かれた選択肢は"執事喫茶"と"メイド喫茶"。

どちらをやるかによって男女共に大きくやる事が変わるので、この二派の討論は今日まで決着がつかなかった。

文化祭実行委員としてはなるべく早く決めて欲しかったのだが、これに関しては何も言えないので辛抱強く見守るしかない。

今日もまた時間がかかるのだろうと覚悟を決めた。

しかし。


「ふっふっふっ!今日こそは決めてみせるよ!何せ今日は秘密兵器があるんだから!ね、桃花ちゃん!」

「うん、ちゃんと齋藤くんに頼んで両方とも用意してもらったよ〜」


何やら同じく実行委員の桃花と楓には、何かこの話し合いを早く終わらせる秘策があるらしい。

どうやらそれはクラス全員の合意の上らしいので、それによって決定することに異存がある人はいなかった。

だがちょっと待って欲しい。

あれ、俺はその話聞いてないんですが!?


「だって咲夜君が聞いたら絶対に逃げちゃうんだもん」

「それなら尚更聞いて欲しかったかなぁ・・・・・・・」


俺が聞いたら絶対逃げるって、今から何する気なの!?

後ろから颯馬に捕獲されてじたばたする俺を尻目に、齋藤(演劇部所属のクラスメイト)が言われて掛けてあった紙袋から取り出したのは、なんとメイド服と執事服。

本人曰く演劇部の部室から拝借してきたものらしい。

理由を聞いた部長が快く貸してくれたんだとか。

並べられたメイド服と執事服は流石に大会などで使用されているものなだけあって、素人目に見ても作りが細かいのがよく分かる。

おー、すごい、やっぱり高校だと中学校よりいいもの使えるんだな・・・・・・。

元演劇部としては中々興味のそそられる服だ。

そういえば演劇部に居た時、一回だけ執事の役したっけ。

あの時の因幡の反応はあまりにも面白くて今も鮮明に覚えている──────────って、感慨に浸ってる場合じゃない!

俺は経験上知っている、こんな状況でやらされる事はただ一つ。


「咲夜君、これを着て皆に見せてくれないかな・・・・・」

「だが断る」

「いいえダメよ!教師権限で今すぐ神月君は着替えて来なさい!」

「それで良いのか豊海先生よ・・・・・・」


まさかの裏切りだと!?

"ご主人様のメイド姿・・・・・はぁはぁ"とか聞こえたけど、執事服はともかくメイド服は着ないからね!?

昔部活中に着せ替え人形をやらされる事があったのだが、それが高校でも起こるとは。

駄菓子菓子、今回こそはなんとか逃げ切ってみせる!

そんな決意とは裏腹に、ひょいっと持ち上げられた俺が足を動かしても帰ってくるのは虚しく空を切る感触のみ。

くっ、自分の低身長が恨めしい!


「いやほら、もしかしたらサイズ合わないかもしれないし・・・・・・」

「ふっ、そこは大丈夫。ちゃんと咲夜に合うサイズのを持ってきたぞ!」

「ほんとだピッタリなサイズありがと!」


確認したら両方とも俺の身長にピッタリのやつじゃんか・・・・・・。

ここまで用意周到だともはや逃げても無駄なのでは?

と言うか逃げたくても逃げられないし。

身長155センチ且つ体重43キロ舐めんなよ!?

運動部とは言え颯馬に軽々持ち上げられちゃうから。

こんなの逃げられるわけが無い。

あのぅ、ちなみに俺に拒否権って・・・・・・・・。


「そんなもの無いわ」

「ですよね〜」


うん、知ってた。

やがて悟ったような笑顔を浮かべる俺は隣の男子更衣室に連行され、用意された執事服に着替えることになった。

ちなみに着替えを手伝ってくれるのは男子なのだが、当然彼らの希望はメイド喫茶。

しかし性別上仕方がないのでそこは勘弁して欲しい。

正直執事服だけなら見られる恥ずかしさはあるものの、別に抵抗はないのでささっと着替え終えてしまう。

ピシッとしたズボンとワイシャツの上に後ろの裾が長くなったベストを羽織り、黒いネクタイを絞めて手袋をはめる。

本番に使う衣装のお披露目会という訳では無いから、ここまで本格的にやる必要は無いと思うのだが、一部のガチ勢にそう言ったらガチギレされた。

なので今回は姿勢まで気にするという徹底ぶりだ。


「おー、執事服は学ランみたいに肩パット無くて楽だな・・・・・・」

「ちょっと待て、いくら手袋してるからって指細すぎじゃねぇか?」

「全体的にシュッとしたイメージになったね。決まってて良い感じじゃん」

「どう?さっき言った通り一応サイズは合わせたけど、何か違和感ある?」

「いんや全然。逆にしっくりきすぎてて怖いくらいだよ」


つけてみて分かったけど、手袋もちょうど良い大きさだった。

一体いつからこれを計画していたのかは分からないけど、よくここまでジャストフィットな物見つけられたよね。


「よし、じゃあこのまま教室戻って女子達を驚かせてやろう!」

「咲夜は姿勢と表情意識してね。いつもみたいなゆるゆるなのじゃ締まらないから」

「悪かったねいつもゆるゆるで」


もはや趣旨を忘れて楽しんでいる男子諸君に先導されて更衣室を出た俺は、言われた通り姿勢と表情を意識しながら教室に入る。

背筋は伸ばして、顔はキリッと・・・・・・。


「えっ!?マジやばいんだけど!?カッコよすぎな!」

「この人マジに咲夜!?いつもと雰囲気違いすぎん!?」

「なんか咲夜、心做しかイキイキしてる気が・・・・・」

「久しぶりに演劇をしてた頃に戻れて嬉しいんじゃないですか?」

「あー、なるほどー。無邪気で可愛いらしいねー」

「ですね!」


ご覧の通り女子からは大人気。

こういう喜んでくれてる顔見ると、やっぱりやったかいがあるってもんだよね〜。


「さてさて、じゃあ咲夜にはさっき伝えたセリフを言ってもらおうか!」

「やだ」

「キリッとしながらそんな事言われても・・・・・・・・。ほら、皆もやって欲しいよね?」


こら齋藤、そんな事言わないの!

やはりと言うか何と言うか、なんの事か知らない女子達からは"やれ"という圧力がひしひしとかかってくる。

実はさっき着替えている途中に、こんなセリフ言ったら盛り上がりそうだよなぁ、と言っていくつか候補が上がっていたのだ。

何かやらないと皆からのブーイングが凄そうなので、とりあえずド定番をやっておこう。

ちょうど近くにいた花恋の腕を引いて抱き寄せる。


「おかえりなさいませ、お嬢様。あまりにお戻りが遅かったので、僕の方からお迎えに上がりましたよ?」

「っ、そ、それはズルいよ〜・・・・・」


至近距離で見つめ合う花恋のほおはうっすらと赤く染まり、周りからは黄色い声援が甲高く響く。

彼女らの盛り上がりようが執事服での()()()()()()()を物語っている。

先生達にも受けが良かったようで、姫野先生は"はわわわわっ・・・・・!"と口元を抑えながらあわあわしていて、豊海先生に至っては晴れやかな表情で昇天しかけてた。


「・・・・・・・分かってはいたけどなんだろう、この敗北感」

「ふはははは、これが元演劇部の力よ!」


四つん這いになって打ちのめされている男子諸君には追い打ちになるようで申し訳ないが、このまま行くと文化祭の出し物は執事喫茶になりそうだ。


「さて、それじゃあ俺はこれ脱いでくるから・・・・・・・・・」

「お次はメイド服の出番だね!」

「うおっ、桃花!?」


さりげな〜くその場から離れようとしていると、案の定女子に捕まってしまい、その筆頭である桃花が食い気味にメイド服を押し付けてきた。

やはりまだ、俺にメイド服を着せる気は満々のようだ。


「い、嫌だー!それを着たらなんか大切な物を失う気がする!」

「ダ・メ♡さあ皆、咲夜君を運んじゃおう!」

「うわーっ!?」


桃花の掛け声と共に、わっしょいわっしょいと担がれてちょうど男子更衣室の真上にある女子更衣室まで連れて行かれ、そこで花恋と皐月によって鮮やかに執事服をひん剥かれる。

その手際と言ったらもう、職人と言っても差し支えないレベル。

服がスル〜ンって剥けるの初めて見たよ?

この二人は本当にどこに向かっているのだろうか。


「ぐ・ぬ・ぬ・・・・!絶対の着ないぃ!」

「咲夜ぁ、早く着ないとあんたのスマホ割るよ?」

「ちょ、新島それだけは止めて!?」


一応抵抗したんだよ?

だけど新島のやつが最終手段として俺から奪い取ったスマホを人質にしたんだよ・・・・・・・・。

もう言うこと聞くしかないじゃん。


「うぅ、スカートひらひらする・・・・・短くないこれ?」

「か、可愛すぎる・・・・・!」

「やば、咲夜って女子だったん?」

「ちがわいれっきとした男だわ!」


はぁ、可愛いって言われるのは嬉しいような違うような。

これを男子の前にも行かなきゃ行けないって考えると、ものすごく恥ずかしいのですが。


「しかも教室に行くまでに別のクラスの前通るしね。明日からどんな顔して登校すれば・・・・・・?」

「あ、待って咲夜君!はいこれ」


ポンッと桃花から手渡された物を思わず二度見してしまう。


「え、これも付けんの?」

「うん。多分その方が似合うと思う」

「・・・・・・・まぁもう今更何も怖くないか!」


渡された物をかぶり、その上からメイド特有のカチューシャを付けたら準備完了。

足早にクラスの前に戻る。


「姿勢は全体的に柔らかく、表情はふわっと!」


何故か過去一張り切っている桃花による姿勢や表情の矯正を終えて、恐る恐る中に入る。

その瞬間、ザワッ!とクラス中がざわめいたのは言うまでもない。

何せ花恋と皐月に連行・・・・・・じゃなくて渋々連れてこられたのが、黒髪ロングの清楚系(自称)メイドだったからだ。

男子は当然のこと、先生二人までこちらを見て言葉を失っている様子。

そう、先程渡されたのはこの黒髪ロングのカツラ。

普段から男子にしてはそれなりに長い俺の髪だったが、メイド服を着るなら確かにこっちの方が似合うかもしれない。

実際に黒髪ロングの破壊力は偉大だ。


「─────────────はぁ!?可愛すぎんだろ!」

「反則だろこんなの!」

「おい咲夜、俺の純情を弄んだ代償はでかいぞ!」

「やかましいわ、俺だって好きでこれ着てるわけじゃないもん!」

「おおぅ、喋ると完全に咲夜」

「あ、こらダメでしょ!喋る時はさっき練習したみたいにやらないと!セリフも練習したでしょ?」

「え〜」


あれやるの?

練習の時は少人数だったから大丈夫だったけど、こんなに大勢いる人の前でやりたくないんだけど・・・・・・・・。

やった場合俺が羞恥心で死ぬよ?


「スマホ割る?」

「分かった、やるからはやまらないで!」


渋っていたらスマホが真っ二つに粉砕されそうなのでやるしかない。

うぅ、なんで俺がこんな事しなきゃいけないんだ・・・・・・・。

え〜、んんっ!

咳払いをして声を確かめると、口角を緩く上げるのを意識してふわっと優しい笑みを浮かべる。

もちろんあざとく胸の前で手を握るのも忘れずに。



「おかえりなさいませ、ご主人様!(裏声)」



ゴンッ!!

五時間目のとある教室で、大勢の生徒が机に頭を打ち付けるという奇行が起こり、その他のクラスを非常に驚かせる事になった。

その理由を知る者は奇行の起こったクラスメイト以外にいなかった。




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