月面戦争(4)
場所は変わり、リナとルナが戦っていた所と里を挟んで反対側にある凸凹した荒地。
所々に枯れた木や低い植物があるが、八割方は岩石と小さな山を含むひび割れた大地が広がっていた。
そんなここに相対するは、両軍屈指の筋肉おばけ約二名。
言わずもがな"不思議の塔"第二席チェストと、第三番隊隊長バルクである。
「マッスル☆パァァァンチ!」
「コングブロォォォー!」
鍛え抜かれた筋肉によって放たれた拳がぶつかり合い、激しい衝撃波を生んで地面を陥没させる。
これで一体何度目の拮抗だろう。
先程から二人は示し合わせたように同じタイミングで地を蹴り、こうして数え切れないほど拳を交えていた。
「来い、友よ」
「うむ!」
堂々と仁王立ちしたチェストがバルクを呼ぶ。
それに応え、腕を引き絞ったバルクが懐に飛び込んで拳を繰り出す。
「マッスル☆ラァァァァッシュ!!」
「・・・・・・っ!」
ものすごい勢いで連続の拳を喰らったチェストがよろけて数歩後退したが、しっかりと自身の体を支えて体勢を立て直した。
顔には笑みが浮かんでいる。
決して嘲笑の笑みではない。
相手を賞賛する・・・・・・・・いや、むしろ尊敬するようなと言った方が良いだろう。
そんな笑みだ。
それを見て今度は自分の番とでも言うかのように、バルクまで仁王立ちをする。
「キング・コング!!」
溜めに溜めた力が篭った拳が腹の中心に沈み、こちらもまた数歩後ずさる。
が、やはり笑みを浮かべながら体勢を立て直す所まで変わらない。
両者とも口の端に血を滲ませているにも関わらず、無言のまま交互に技を・・・・・・・筋肉をぶつけ合った。
どれほど経っただろうか。
もはや数える事すら億劫になってきた頃(そもそも色々と直視できないので誰も数えていない)。
チェストの技を機に、二人が距離を取った。
彼らの部下が固唾を飲んで見守る中、向かい合い動かなかった両者がゆらりと動き始めた。
「「むんっ!」」
掛け声と共に、二人はまるでボディコンテストのようにそれぞれ自らの筋肉を主張するポーズを取る。
「「ふんっ!!」」
「「はっ!!!」」
「・・・・・・・・!!」
三度目のポージングを経て、ゴゴゴゴゴォ!と無言の睨み合いが始まったかと思いきや、途端に二人とも雄々しい笑顔を浮かべて固い握手を交わした。
それはもうキランッ、って輝きそうなくらい表情で。
某マッチョな錬金術師が宇宙でサムズアップしていたように見えたのは気のせいだろうか。
「さて、友よ。私はアドレータ様の命でお前を討たねばならん。だが・・・・・・・」
「みなまで言うな、それは俺も同じこと。だがこれは運命なのだ。類稀ぬ筋肉は引かれ合い、そしてそこで出会った友を踏み台に練磨される。自然の摂理だ」
「・・・・・・・・やはり、どちらかが友が次のステージへ進む踏み台にならなければいけないのだな」
「ああ・・・・・・。だが俺は本望だ!たとえ負けたとしても、友が高みに上ってくれるのならば!」
「ふっ、そうだな。決まった運命を嘆いていても仕方がない。回避できぬのなら、せめて全力でぶつかるのみ!」
・・・・・・・・・部下達は即行理解するのを諦めた。
だって何言ってるか分かんないんだもん。
類稀ぬ筋肉が引かれ合うとか初耳なんですが。
だが彼らはあくまでも二人の部下。
自分達の上司がちょっと特殊な考えを持ってることぐらい知ってるし、こんな事ではもう驚かない。
中には触発されて筋肉を鍛えた猛者も居たようで、所々にうんうんと頷く者まで居るくらいだ。
ちなみに、彼らは既に上司達と同じように仲良くなっていた。
一緒に二人の勝負を観戦しているのもこれが理由。
きっと筋肉おばけな上司を持つ同士、何か通じる物でもあったのだろう。
そんな部下達の心情など露知らず、名残惜しそうに手を離した二人は、改めて距離を取り拳を構える。
最初に動き静寂を破ったのはバルクだった。
「ぬぅん!」
目の前の地面を砕くと、ビキビキと亀裂がチェストの元に広がって魔力が爆ぜ、目眩しのように土埃を巻き上げる。
まだ彼の攻撃は終わらない。
なんと地面を砕いたことで宙に浮いた無数の欠片を殴り、マシンガンのように弾き飛ばすではないか。
だが当然の如くそんな子供騙しはチェストには通じるはずがない。
ことごとく粉砕されてしまう。
しかしそのできた隙に乗じて踏み込んだバルクが土埃を振り払って拳を放ち、ガードごとチェストを吹っ飛ばす。
「うおぉぉぉっ!」
「ぬおぉぉぉっ!」
さらなる追撃を躱したチェストの上段突きがほおを抉る。
近距離から互いに相手の顎を掠めるアッパーと正拳突き。
どれだけ肉体が鍛えられていようと、生物であるならば顎が弱点なのは当たり前だ。
少し掠っただけでも脳が揺らされて平衡感覚が無くなってしまう。
それは二人も同じ。
しかし、ただでは倒れない。
ぐらりと揺れる視界の中、上体が倒れるのを利用した強烈な前足蹴りがぶつかり合う。
カッ!と爆ぜる閃光。
発生した衝撃波が地面をズタズタに切り裂いて放射状に広がる。
「マッスルゥゥゥ───────────」
「はぁっ!」
「なにっ!?」
突き出しかけたバルクの拳を弾いたのは、空手の技である"回し受け"。
腕を折り曲げながら円形に回すことで、その円の中に来た攻撃を全て受けることが出来る、受け技の最高峰と呼ばれる受けだ。
そしてこの技は受けだけでなく、攻撃としても有効である。
「破ッ!」
限界まで引き絞られた両腕から放たれた掌底。
その破壊力はバルクの想像を遥かに超えるほど。
ガードに回した左腕がギシギシと軋み、貫通した真空波で内蔵が酷いことになっている。
吐血しながら激しく弾き飛ばされて、受身を取ることなく地面に倒れ込む。
バルクはピクリとも動かない。
傍から見れば完全に勝負は喫している。
が、チェストからすればまだまだ勝負は途中だったらしい。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・・友よ、お前ならまだ立てるはずだ!私が認めた友ならば!」
バルクを奮い立たせるような言葉に、動かなかった彼の指がピクリと反応した。
ゆっくりと拳を握ったバルクが、うおぉぉぉぉぉ!と自分を鼓舞して勢いよく立ち上がる。
確かにまだ勝負は付いていなかったようだ。
だがしかし、バルクの体は既に満身創痍で、立つことすらままならずフラフラと揺れていた。
おそらく次が最後の一撃だろう。
「うむ、さすが我が心の友だ」
頷いたチェストからゆらりと闘気が溢れ出し、右側の力強く握られた引手に集まって行く。
肌で感じた。これはチェストの全力の一撃であると(バルク曰く)。
(今の俺ではあれに勝てない・・・・・・・ならば、限界を超えた潜在能力の百二十%を引き出すのみ!)
「う・・・・おおぉぉぉぉぉっ!!」
構えた状態で全身から闘気が溢れ、ただでさえごつかった筋肉がさらに隆起して大きくなっていく。
(筋肉を誇張しすぎてはダメだ、スピードが損なわれてしまう。もっと密度を上げる!筋肉の密度を!!)
─────────────そして最終的に辿り着いたのは、大きさは元とほとんど変わらないものの、筋肉の密度が約三倍まで膨れ上がった今の姿だ。
全身からこれでもかと闘気が溢れているだけでなく、ピチピチだった服は筋肉の膨張に耐えきれずビリビリに破けてしまっていた。
つまり、今彼は上半身どころか下半身も・・・・・・・・・・。
いや、この話は止めよう。
今は本当に直視できない。
トラウマになる人が増加したという事だけは言っておこう。
観戦していた部下達の中には、卒倒した者も居たとか居なかったとか。
もはやトラウマどころか殺戮兵器にさえなりそうな破壊力。
「その圧倒的に美しい筋肉・・・・・・そうか、ついに至ったのだな・・・筋肉の境地へ!!」
「うむ、友のおかげだ!」
何故か唯一チェストだけはドン引きではなく、むしろ喜んでいたが。
相変わらず筋肉おばけ達の感性はよく分からない。
「行くぞ、我が最大の一撃を!」
闘気の塊と化した右腕が解き放たれ、血のような赤色の拳が尾を引きながら繰り出される。
対するバルクの拳は漆黒に染まり、迫り来るチェストを迎え討つ。
「コォォォォング───────!!」
「マッスルゥゥゥゥ☆───────!!」
血紅色と漆黒の閃光がぶつかり合って爆ぜる。
「クリムゾン!!!」
「クラッシャー!!!」
辺りに拡がった衝撃波が何もかもを破壊し、尚も止まることなく駆け巡る。
巻き起こった砂煙が収まりそこに立っていたのは・・・・・・・・・・・・・バルクだった。
どうやら最終的に筋肉が微笑んだのはバルクのようだ。
"不思議の塔"第二席チェストVS第三番隊隊長バルク
勝者、バルク!!
◇◆◇◆◇◆
里を数キロ南下した場所にある小さな廃墟。
いくつかの実験施設の跡地が集まったここは、自称月の民随一の科学者であるアニが、実験の失敗で消し飛ばした場所の一つである。
久々に戻ってきたアニは実験に明け暮れていたあの頃を思い出し、今まで以上に実験意欲が増していくのを感じていた。
相手をする二人にとっては気の毒でしかないが。
「くっ、デタラメな技ばっかり使うわね!」
「これが"第二番隊隊長"の力ですか・・・・・・!」
放たれた極太のレーザーを回避したシステとアルサーボが、ほおに冷や汗を滲ませながら着地する。
ちらりと背後を見ると、先程の熱線で廃墟の建物だけでなく、地面までもが溶解してドロドロに溶けているではないか。
掠っただけでも致命傷になってしまうのがよく分かる。
戦い始めて数十分経過したが、両者の間の実力差は決定的だった。
白衣のポケットに片手を突っ込んだまま三角錐のドローンを操作しているアニと、避けることに全力を注いでいる二人。
どちらが優勢なのかは分かりきったことだ。
「おいおい、一体どうしたんだい?まだ実験は途中、まだまだ付き合ってもらうぞ」
ドローンの作った二つの三角形から雷撃が飛び出し、地面を砕きながらシステとアルサーボに迫る。
これまたとんでもない威力の技。
だが、いつまでも逃げ回る二人ではない。
あくまでも二人は"不思議の塔"第三席と側近なのだから。
「海王流剣術・"勁風"!」
風を纏った鋭い剣捌きで雷撃を弾き飛ばしたシステが大きく踏み込んで距離を詰める。
海王流剣術。
彼女の故郷である海王星に住む人々が代々伝承してきた、海王星最古の剣術だ。
海王星はその名の通り水やメタン、アンモニアなど"氷"の割合が多く、剣術の型にも水を取り入れた物が多数存在する。
そんな中、何故"風"なのか。
その理由は、海王星が太陽系の中でも最も強い風速約二千百メートル(時速)の暴風が吹き荒れる星だからである。
太古よりその強風と戦ってきたからこそ、この型の剣術が生まれたのだ。
「"超電磁砲"!」
ゴポッ!と水音を立てて体内から排出された機械が連結し、巨大な筒状のレールを形作る。
そこから放たれるのは、およそ音速の七倍の速度にあたるマッハ七で敵を穿つ超電磁砲。
人間では視認すら許されない速度だ。
アルサーボによって通常よりも威力の増したそれが、磁力による加速を得てシステを追い越し、アニに命中する。
「むう、これは凄いな。ドローンが二機も損傷した」
発射前に何とかシールドを滑り込ませたものの、シールドを形成していたドローンの内二機が、バチバチとスパークしながら煙を上げている。
過度な負荷が掛かりオーバーヒートしてしまったようだ。
「海王流剣術・"黒風覇空"!」
荒れ狂う暴風のように荒々しい連撃が叩き込まれ、あの鉄壁のシールドにピシリとヒビが入った。
これにはアニも驚きを隠せない様子。
さらに畳み掛けるようにアルサーボの特製銃火器が火を噴き、ついにシールドを打ち破る。
(ほほう・・・・・これは予想外だ。まさかシールドが突破されるとは。だが、まだドローン自体は壊れていない・・・・・・)
それにしても、アルサーボとやらの体は面白い構造をしているな、とアニは薄い笑みを浮かべながらそう呟く。
体の中にブラックホールのように底知らずな空間があり、そこに兵器などを収納している・・・・・・・・とアニは見立てていた。
実際にその通りで、元々は普通の宇宙人だった彼が実験の末に獲得した、無尽蔵の容量を誇る流動性の肉体があの火星人のような見た目のものだ。
色々な実験を行う上で便利すぎるのでぜひあのような体は欲しいのだが、火星人になるのは悩みどころ・・・・・・・いや、むしろ手が増えてありがたいのでは?
あごに手を当てて割と真剣に考えていると、その隙をチャンスと見たシステの闘気が一気に高まる。
再びシールドを展開しようと腕を動かす・・・・・・・・が、ここに来て彼女の悪癖が現れてしまった。
操作していた手を止め、ゆっくりと下ろす。
それを降伏の証と受け取ったのか、勝利を確信したシステが振り上げた剣を振るう。
─────────────しかし、彼女は見た。
アニの顔に浮かぶ、子供のようにワクワクした笑顔を。
そう、アニの悪癖とは、初見の技や魔法を防御無しでその身に受けようとすること。
それは何故か。
その技や魔法を知るには、それを喰らうのが一番良いからに決まっている(アニ曰く)、だそうだ。
危なっかしいことこの上ない。
「海王流剣術奥義・"遺風残香"!!」
古代より代々伝わりし、海王流剣術始まりの剣技。
アニとシステがすれ違った瞬間、彼女の体が荒れ狂った暴風に斬り刻まれる。
全身から鮮血が吹き出し、アニの視界を真っ赤に染める。
しかも攻撃はそれだけでは終わらず、突如として彼女の上空に真っ黒な膜が現れた。
よく見ると所々にアニのドローンに似た機械がいくつかある。
「"ブラッティ・レイン"!!」
トドメの一撃と言わんばかりに血色のレーザーが降り注ぎ、彼女の華奢な体を貫通する。
明らかに駄目な量の吐血。
流して良い血の量を超えた出血に意識が薄れて行く。
「・・・・・・くっ・・・ははっ・・・・!これは何とも・・・凄まじい、一撃だったね・・・・・・」
白衣を真っ赤に染めたアニが、大量出血で震える足を踏ん張って決して劣らぬ笑みを見せる。
(や、やはり、初見の技は自分で受けるに限るな・・・・・・。面白いな発見ができた)
アニの内心を知ってか知らずか、システとアルサーボの表情が驚愕に染る。
自分達の最大の技を、しかも生身で喰らって生きているなんて信じられない。
そんな二人を尻目に、アニは自分の懐に手を突っ込み、一つの古びた本を取り出した。
「君達には感謝するよ。おかげで新しい研究のテーマが見つかった」
空中に固定された本は光を発しながら一人でにパラパラとページをめくり、アニを中心に地面に魔法陣を描いていく。
一瞬だけ溢れる光がアニを遮ったかと思うと、驚いたことに姿を現した時には傷が完治しているではないか。
出血で悪くなっていた顔色まで元通り。
今度は逆にアルサーボの顔が青ざめていた。
「どうした、ただの回復魔法だぞ?」
「何が"ただの回復魔法"ですか・・・・・!あれほどの傷を、さらに失った血液まで元に戻すなんて・・・・・」
「む、確かに少し陣を弄りはしたが・・・・・・」
どうやら本人にはあまり自覚が内容だが、実はさらっと快挙を成し遂げている。
従来の回復魔法では傷が癒えるだけで失った血液は戻らない。
そのため回復魔法を使っても助からないケースも度々。
しかし、彼女の回復魔法ならばその可能性は無に等しくなる。
まぁ本人は実験の一環で適当にやった物なので、大して気にしてはいないようだが。
「今はそんな事よりも、"これ"を防ぐことに全力を注いだ方が良いと思うぞ?」
「なっ!?」
正面に構築される術式を見たアルサーボが、驚愕の声を上げて手元の筒状のレールにありったけの力を流し込む。
術式が完成するのと、磁力による加速が条件を満たすのはほぼ同時だった。
「「"超電磁砲"!!」」
光速に至った閃光が衝突し、激しい爆風を巻き起こす。
最初は両者の均衡が保たれていたが、すぐにアニの方が押し上げ、アルサーボは兵器と共に光に飲み込まれてしまった。
「アルサーボ・・・・・!くっ、海王流剣術───────────!!」
「古代魔法───────────」
「"勁風"!!」
「【飛剣】!」
魔力によって作られた二本の剣が飛び、システの片手剣と何度も斬り結ぶ。
「はあっ!!」
裂帛の気合と共に横薙ぎされた片手剣がパキンッ!と二本の剣を真っ二つに折る。
やはり剣の扱い方はシステの方が上らしい。
しかし、これは魔力によって作られた剣。
たとえ壊されても魔力の続く限り永遠と再生される。
完全に繋がった二本の剣がシステの体にクロスの傷を刻む。
「うっ・・・・・・!?」
片膝をつくシステ。
決して傷は浅くない。
けれど、剣を支えに立ち上がる。
そこに体が所々抉れたアルサーボも合流した。
やはりこの二人は"不思議の塔"の中でも実力上位者なだけあって、このくらいではまだ倒れてくれないようだ。
「・・・・・・・ならば、実験に付き合ってくれた君達には少しお見せしよう。私の本気をね」
彼女達がまだ立ち上がると言うのならば、こちらも全力で相手をするのが筋と言うもの。
ドローンが全員を囲む大きな三角錐を形取り、外界との繋がりを断つ。
これから放つ魔法は強力すぎて、月に深刻なダメージを残してしまう可能性があるからだ。
アニの足元の魔法陣が一層複雑になって輝きを増し、辺りに暗雲が立ち込める。
「受けてみろ。天と地、全てを穿つ究極魔法を!」
「合成魔法、"天変地異"!!」
大地がひび割れて溶岩が噴き出し、荒れ狂う暴風は止まぬ豪雨と雷を呼ぶ。
大災害も真っ青な天変地異を体現した様子に、システとアルサーボはただただ立ち尽くすしかない。
◇◆◇◆◇◆
バシュッ!と結界が消滅し、ポケットに手を突っ込んだアニが着地する。
その傍らには"天変地異"でボロボロになり、気絶したシステとアルサーボの姿が。
「これだけやってもまだ生きているとは・・・・・・しぶとい奴らだな」
肩をすくませながら二人を降ろす。
(さて、手も空いた事だし、湧いて出ている雑魚でも狩ろうか)
そう思って歩き出すが、すぐに立ちくらみがして足が止まってしまう。
どうやら久しぶりに大量の魔力を消費たせいで倦怠感がするようだ。
日頃からある程度魔力を使った鍛錬などをしていれば問題ないのだが、実験にしか魔力を使ってこなかったアニは駄目だった。
完全にブランク。
「・・・・・・少し休憩していくか。どうせ何かあっても族長が何とかするだろう」
手頃な岩に腰かけると、数秒後には廃墟に似合わぬ安らかな寝息が聞こえてきた。
"不思議の塔"第三席アルサーボ&側近システ VS 第二番隊隊長アニ
勝者、アニ
前半書いている時の私 (私、なんでこんな脳筋肉なの書いてるんだろう……)




