表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の男子高校生、色々あってハーレムの主になる~記憶を失くした神様が十二人の花嫁と幸せになるための話~  作者: 没
剣を創りに行っただけなのに

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/122

幸せの鐘の音


知ってます?実はこれ、100話目らしいですよ?

:( ; ´꒳` ;):ガタガタガタガタ




咲夜(さくや)くん、こっちこっち!」

「ほら、早くー!」


()かす花恋(かれん)桃花(とうか)に手を引かれ、(おれ)江ノ島(えのしま)の中でも有名なとある(ほこら)のような場所に連れてこられた。

江島神社(えじまじんじゃ)から続く道の(わき)にあるこの小さな祠に二人は用があるらしい。

左右に配置された狛犬(こまいぬ)の奥にある祠の上には(りゅう)上体(じょうたい)の石像が鎮座(ちんざ)しており、その堂々(どうどう)とした雰囲気(ふんいき)は思わず息を飲んでしまうほどだ。

すごっ、これ動き出しても違和感(いわかん)がないレベルなんだけど。

ヒゲの風になびいてる様子とか、ちょうどその瞬間(しゅんかん)(とき)が止まったようにしか見えない。


「ふぅ、結構(けっこう)人並んでるねー」

「普段も(すご)いらしいけど、きっと今日はお祭りだからもっと人が多いんだよ」


息を切らしながら列の最後尾(さいこうび)に並ぶ。

本当は少し下で皆と集合するつもりだったのだが、その前に二人がここに行きたいと言い出したため、先にここに来た。

初めは集合してから行けば?って言ったんだけど、なんか二人はなるべく早く行きたいらしく、こうして早足(はやあし)で急いで登ってきたのだ。

時間が微妙(びみょう)だったので、一応朱華(あすか)にはここに居ると連絡(れんらく)しておいた。

にしても浴衣(ゆかた)であの傾斜(けいしゃ)を登るの結構キツかったな・・・・・・・・・・。

帰りも同じような所があると思うと憂鬱(ゆううつ)でしかない。

が、それも(ふく)めて夏祭りの醍醐味(だいごみ)だとしておこう。


(りゅう)・・・・(みや)?」

「読み方は龍宮(わだつのみや)らしいよー」

「・・・・・・・・そんなの読めなくない?」


ただでさえ漢字苦手なのに。

祠に近づくとのぼりがあるのに気づき、そこにはこの祠の名前と思われるものが書いてあった。

横の看板(かんばん)によると、江ノ島には古来(こらい)より龍が住んでいたとかいなかったとかで、この地に(ゆかり)のある北条氏(ほうじょうし)家紋(かもん)にも龍が描かれているそうだ。

ちなみに俺はリンゴ(あめ)を食べてる最中(さいちゅう)に、ほとんど問答無用(もんどうむよう)で連れてこられたため、ここがどういう場所なのか(いま)だに分かっていない。

さっきちらっと中が見えてお賽銭(さいせん)を入れるやつがあったから、たぶん神社でやるお(まい)りと同じような感じだと思うんだけど・・・・・・・・・。

ただ、今俺たちの前に並んでたカップルが出てきた時に、こっちを見て目を丸くしてたのがすごく気になる。

そりゃあもうものすごく。


「ここのご利益(りやく)って何があるの?」


入る前に聞いておこうと首を(かし)げると、二人は顔を見合わせて微笑(ほほえ)み合い、「まぁまぁ」と言いながら俺の背中(せなか)を押して祠の前に立った。

あれ、なんか急に不安になってきた!?

何その反応めっちゃ気になるんですけど!

しかし確認(かくにん)する前に順番が回ってきてしまったので、二人に(なら)ってお辞儀(じぎ)をして中に入る。

中には明かりがほとんどなく、奥に何かが(まつ)られていて、その手前(てまえ)賽銭箱(さいせんばこ)があるのが見えた。

神社と同じ流れでお賽銭(さいせん)を入れて二礼していると、ふと左隣(ひだりどなり)の花恋が口を開いた。


「そろそろ良いかな・・・・・。咲夜、ここのご利益ね、安産(あんざん)子宝(こだから)らしいよ?」

「へー、そうなん・・・・・・・・・・・・・・は!?」


隣の俺に聞こえるか聞こえないかの小さな声によって、過去最大級(かこさいだいきゅう)衝撃的(しょうげきてき)な真実が暴露(ばくろ)された。

危うく二拍手(はくしゅ)目に大きな音を立ててしまうところだった。

んなっ、花恋サン何を言って────────────ってもう目をつぶってらっしゃる!?

まさか。

急いで反対側を向く。

予想通りだけど桃花も!?

くっ、俺もここまでやったらさすがにやめられないか・・・・・・・。

真剣(しんけん)にお参りしてる二人に話しかける訳にもいかないので、俺も大人(おとな)しく目をつぶる事にした。

・・・・・・・・・・・・・あれ、さっき花恋、ここのご利益は()()()()()って言ってたよね。

なんかこれだと、俺が花恋と桃花との間に子供が欲しいと思っているようでは?

そして俺とは違って()()()にここに来た二人は─────────────。



ポク、ポク、ポク、チーン!



リズムに合わせて徐々(じょじょ)に顔が赤くなり、ちょうど"チーン"の部分でカッ!と目を見開く。

くっそぅ集中出来ん!

一気に恥ずかしくなってきたぁ!

やっと分かった、なんであのカップルがこっち見て目を丸くしてたのか。

そりゃあ安産と子宝がご利益の所に女子二人(はべ)らせて来てたらそうなるわな。

いやまぁ嫌な訳じゃないんだけどさ。

(うれ)()ずかしさで口元がムニムニ変な動きをしてしまう。


「それじゃあ行こっか!」

「だね。そろそろ皆も来てると思うしねー」


そう言って息ピッタリに両腕に抱きつく花恋と桃花。

二人の柔らかなものが押し付けられて、余計(よけい)に頭の中がグチャグチャに()(みだ)される。

今、絶対に湯気(ゆげ)が出るくらい赤くなってるのが自分でも分かる。

て言うか実際(じっさい)に湯気出てる気がする!

は、早く皆に合流して落ち着かなければ・・・・・・・・。

駄菓子菓子(だがしかし)、そんな俺の思惑(おもわく)とは裏腹(うらはら)に、すすっと顔を()せてきた花恋が俺にしか聞こえない声でトドメの一撃を繰り出した。


「神様にお(いの)りしたけど、私達自身も"分野(ぶんや)"は違えど同じ神様だからねー。()()()()()()ー!何とは言わないけど」

「・・・・・・・・・・・・・あふぅ」


花恋のオーバーキル過ぎる一撃に、俺はもっと顔を赤くして湯気を立ち上らせながら、目を回し倒れてしまった。



        ◇◆◇◆◇◆



何やら遠くから話し声が聞こえてくる。

いや、意識(いしき)がぼんやり戻ってくると、その声が案外(あんがい)近くのものだと分かった。

誰かがこっちに歩いてくる。

あれ、俺何してたんだっけ。

・・・・・・・・・・・・まぁいいや、なんか今(まくら)にしてるやつがふわふわして気持ち良いし、このまま寝ちゃおう・・・・・・・・。


「もしもーし、咲夜くん先輩(せんぱ〜い)?まだ起きないなら食べちゃいますよ〜?」

「はいすみません今すぐ起きます!!」


あっという間に意識が覚醒(かくせい)してカッ!と目を見開く。

くっ、因幡(いなば)め人が気持ちよく寝ようとしていたと言うのに!

ふと下を向くと俺の浴衣を()がそうと(おび)に手をかけていた因幡と目が合った。


「もう、先輩そこは空気を読んで起きないでくださいよぉ!」

「お前には言われたくないわ、この年中(ねんぢゅう)発情(はつじょう)うさぎがぁ!ここ一応公共(こうきょう)の場!T・P・O!」


空気を読まなきゃいけないのは一体どっちだよ。

(みどり)(かこ)まれた森の中っぽいけど一応人いるし。

因幡のことだから、一瞬本当に山奥(やまおく)に連れ去られたのかと思ったぞ・・・・・・・・。

どうやら俺は龍宮(わだつのみや)で倒れたあと、その真横の森に(つな)がる道を進んだ所にあるベンチで休ませてもらっていたらしい。

そしてなんと、あのふわふわした感触(かんしょく)の正体が分かったぞ諸君(しょくん)

よく考えてみたらこういうシーンの王道(おうどう)と言えばやっぱりこれだよね!


「あ、咲夜くん起きた?」

「・・・・・・ごちそうさまです・・・・・」


答えは桃花さんの膝枕(ひざまくら)でした。

さらにこの上から(のぞ)()姿勢(しせい)に桃花の顔を隠す二つの立派な果実・・・・・・・・・・ありがとうございます!


「咲夜くん大丈夫?急に倒れたからびっくりしたよ〜」

「びっくりしたに関してはこっちのセリフだけどね。でも心配かけてごめんね」


名残惜(なごりお)しいが、周りの視線が恥ずかしいので起き上がって桃花の横に座る。

すでに残りの皆も合流していたようで、俺が起きるのを待ってくれていたようだ。


「咲夜先輩、何も無いところで(つまず)いて頭を打ったて聞いたよ。大丈夫?」

「え?あ、うん、もう歳なのかもね」


杏奈(あんな)が心配したように(かが)んで俺の顔を覗き込む。

どうやら三人で龍宮に行ったことは皆には内緒(ないしょ)らしい。

朱華にもちょっと先に行ってるとしか伝えてないし、気づかれることはないだろう。


「そう言えば、次行くのってここの先なんだっけ」


よく周りを見てみるとどことなく見覚えがあり、そこが皆で一緒に行こうと言っていた場所なのを思い出した。

たしかこの先に江ノ島屈指(くっし)の恋愛スポットがあるのだとか。

一番最初に行きたいって言ったのがバカップル(颯馬と楓)だった。


「そうだよー。じゃあ咲夜も起きたことだし行こっか」

「咲夜くん動ける?」

「ん、大丈夫」


いつまでもベンチを占拠(せんきょ)している訳にもいかないしね。

そろって緑に囲まれた森を歩いていると、少し経って二手の分かれ道が現れた。

俺たちが行くのは右側。

ちなみに左側に行く人達は"江ノ島ト〇ジャー"と呼ばれる、謎解(なぞと)きゲームに参加しているのがほとんどだ。


「いやー、本当はね?私も膝枕したかったんだぁ」

「というか"膝枕したい人〜?"って聞いたら全員手を()げてたしね。あ、もちろん私も挙げたよ、お兄ちゃん」

結局(けっきょく)話し合いじゃ決まりそうになかったので、ジャンケンすることにしたんです」


へぇ、でもそれが一番平和(へいわ)な解決方法だよなぁ。

それで勝ったのが桃花だったってわけか。

・・・・・・・・・・・と思っていたんだけど、どうやら少し(ちが)う部分があったらしい。

あ、桃花がジャンケンに勝ったって言うのは違くないそうです。


「でもねぇ!?なんでか私だけジャンケンに参加させてもらえなかったんだよ!?(ひど)いよね!」


ここにとある理由でジャンケンに参加させてもらえなかった()()()()()()()が一人。

言わずもがな美雨(みう)である。

本人は理由が分かっていないようだが、こちらからすれば一目瞭然(いちもくりょうぜん)だ。


「起きた途端(とたん)()()()()()みたら、また咲夜さんが気絶しちゃいます・・・・・・・」

「ごもっとも」


後頭部(こうとうぶ)のムッチリした感触に、本人の顔を完全に隠すほどの大きさの二つの果実が目の前にあったら、そりゃあもう平気(へいき)で居られるわけが無い。

これは男性の(さが)というものよ。

かと言ってそれを直接(ちょくせつ)美雨さんに伝えるのもどうかと思うし・・・・・・・・。

まぁ、しょうがないって事で。

ムスッとする美雨さんをなだめながら右側の道をさらに進むと、一部だけ視界(しかい)が開けている場所にたどり着いた。

右側からは綺麗(きれい)な海が見え、左側にあった小さな階段を登るとお目当(めあ)ての恋愛スポットとご対面(たいめん)だ。

そこにあったのは一つの銀色の(かね)

そう、この"龍恋(りゅうれん)の鐘"こそが江ノ島屈指(くっし)の恋愛スポットなのだ。

なんでもこの鐘を二人で鳴らすと未来永劫(みらいえいごう)幸せになれるのだとか。

まず鐘を鳴らすのは颯馬(そうま)(かえで)

正面のちょうど良い位置にスマホを立てる場所があるので、そこにタイマーを設定したスマホを設置して、鐘から伸びるヒモを二人で(つか)む。

数秒後にピピッと音がして、カシャッと写真が撮られた。

と同時に二人が鐘を鳴らす。

()んだ鐘の音が辺りに(ひび)(わた)った。

おぉ、なんか良いねこういうの。

この二人のバカップル度合(どあ)いがさらにレベルアップするのは(なや)ましい所だが、一人の友達としては幸せになって欲しいので、まぁ良しとしよう。

さーて、そんじゃあ引き続き花火(はなび)が上がるまでに最奥(さいおく)を目指しますか。


「あれ、咲夜どこ行くの?」

「え?颯馬と楓が終わったから戻ろうと・・・・・・・・・」

「咲夜もやるんだよ?」


・・・・・・・・・・なんですと?


「はいはい、咲夜はこっちね」

「あ、はい」


戻ろうとしていた俺は手早く移動させられてヒモの右側に立った。

まぁ鳴らすこと自体(じたい)は別に良いんだけど、これ誰とやるの?



「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」



あれ、何この沈黙(ちんもく)

俺何か不味(まず)いこと言った・・・・・?

ちょ、皆何か(しゃべ)ってよ!

夜の森の中の雰囲気と合わさって、無言の圧力(あつりょく)がめっちゃ怖いじゃん!

皆の予想外の反応に戸惑(とまど)っていると。



「「「「「「・・・・・っ!!」」」」」」


次の瞬間、一斉(いっせい)に俺の隣に行かんと()し合い()し合いが始まってしまった。


「咲夜の隣で鐘を鳴らすのは私だから!」

「違うもん、幼馴染(おさななじみ)の私が隣に並ぶんだもん!」

「これだけは誰にも譲りません!普段から咲夜さんをサポートしてる私が適任(てきにん)です!」

「皆自重(じちょう)してよ!そこは兄妹(きょうだい)の私が行くべき場所なんだよ!」

「させないよ、今度こそお姉さんの番なんだからぁ!」

「咲夜くん先輩と愛を(ちか)うのは私ですぅ!他の皆さんは(うらや)ましそうに見ているがいいですぅ!」



うおおおりゃあああぁぁぁぁっっ!!×6



・・・・・・・・・・(みにく)い。

五人が一歩も(ゆず)らずぶつかり合い、俺の隣というたった一席をもぎ取るために争っている。

年頃(としごろ)の女の子が出しちゃいけないような掛け声も出ちゃってるし、女子に(はかな)幻想(げんそう)を持ってる男子には見せちゃいけない光景だな。

ほら、颯馬も楓もドン引きしてるじゃん・・・・・・・。

無駄(むだ)にハイスペックな人が多いせいか、バトル漫画みたいな動きをしている女性陣の皆さん。


「・・・・・・・(すき)あり」


皆が争っている間にできた一瞬の隙をついて、一人傍観(ぼうかん)していた杏奈が滑り込むように俺の隣に並んだ。


「「「「「「あっ!?」」」」」」

「「あ」」


今まで激しく争っていたのが(うそ)のようにピタリと動きを止めた皆が、杏奈からその座を奪おうと一斉に動いたせいで、グラリと体勢(たいせい)(くず)してしまう。

倒れたのはもちろん俺と杏奈の居る鐘の向き。

いくら女子とはいえ六人もの人数が倒れてきては俺では支えきれず、一緒に倒れそうになる。

反射的(はんしゃてき)に手を伸ばした先には鐘から()れ下がるヒモがあり、ちょうど皆もそこに掴まっていた。




地面に倒れると共に"龍恋(りゅうれん)(かね)"が、ゴーン、ゴーン、とその()き通った音色(ねいろ)を辺りに響かせる。

設置したスマホには、倒れる間際(まぎわ)の全員の(あわ)てた様子が(うつ)されていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ