マイリトルシスター
早速、投稿予定日から遅れましたすみません!(土下座)
一応理由もあるんですが、それはまた後ほど。
ヴーッ、ヴーッ!
「・・・・・・・んんっ・・・・・」
もぞもぞと布団から手だけ出して頭上のスマホを取り、適当に連打してアラームを止める。
時刻は午前六時半。
花恋と出会ってから一週間ちょい経った土曜日だ。
いつもなら余裕で起きる時間なのだが、今日はそうもいかない。
傷が治ったとは言え疲労はずっと取れないし、無理な動きをしたせいで筋肉痛がすごいんです・・・・・・・。
桃花と荷物を運んでた時と言い、そろそろ本気で何か運動すべきかどうか考える必要がある気がする。
まぁ、たぶんやるやる言って結局やらないだろうけど。
ちなみに今日は花恋が何でも屋の事務所を案内してくれるとのことで、会うことになっているのだがそれは午後二時ごろの予定。
うん、二度寝して大丈夫そうだね!
そうと決まればすぐさまスマホを元の位置に戻して布団に潜り込む。
するとすぐに睡魔が襲って来て、それに抗うことなくそのまま───────────。
「お兄ちゃん、朝だよ!おーーきーーてーー!」
バンっと突然部屋のドアが勢いよく開き、誰かが入ってきた。
襲撃者はトテトテと足音を立てながらこっちに来て、俺に馬乗りになり布団を揺する。
「朱華ぁ、お兄ちゃん疲れてるの・・・・・・。もうちょっと寝かせてぇ・・・・・・」
布団越しに俺の上に跨る妹に弱々しい声で答える。
神月朱華。
かわいいの代名詞とまで言われた容姿と腰まで伸びた艶やか黒髪を持ち、料理など家庭的な能力もバッチリな俺の自慢の妹だ。
そんなマイリトルシスターは未だに布団から出ようともしない俺に煮えを切らしたのか、バサリと力任せにそれを奪い去ってしまった。
「だめだよ、今日の朝食係お兄ちゃんでしょ?手伝ってあげるから起きて、よ!」
勢いよく布団が引き剥がされ、朱華のふくれた顔が目の前に現れる。
うぅ、眩しい・・・・・・・そして朱華近い、めっちゃ近い。
「・・・・・・・ぅー・・・・・・・」
「だ・め!」
盗られた布団を取り返そうと手を伸ばすが、届かないところに上げられて防がれてしまう。
朱華のいじわる!
普段は逆に朱華が寝起き悪くて起こされる側なのに、何で今日に限って早起きしてるんですかね・・・・・・・。
まさかいつも無理矢理起こされてることへの仕返しかな?
「今日お父さんとお母さんどっちも仕事だからって、さっき叩き起されたの!こうなったらお兄ちゃんにも同じ苦痛を味わってもらうから」
「早起きしてた理由はそれか・・・・・」
うちの両親は共働きで、今日みたいに二人とも家に居ないことなんてのざらにある。
しょうがない、観念して起きるか。
「よっこいしょ」
「うきゅっ!?」
「あ、ごめん」
急に起き上がったせいで驚いた朱華がベットから転げ落ちてしまったので、謝りながら立ち上がらせる。
その後一旦部屋から出てもらってから手早く着替え、待っていてくれた朱華とともに階段を降りてリビングに隣接するキッチンに行く。
さて、ちゃっちゃと作りますか。
こういう日は結構あり食事を作る係を決めて俺と朱華で回しているのだが、今日は強制的に早起きさせられてしまった朱華も手伝ってくれるらしい。
取り出したフライパンに油をひいて、冷蔵庫から出したベーコンと卵、大さじ一杯の水を入れて蓋をする。
卵が焼けるまでの間に、棚から食パンを取ってトースターに放り込み、隣の食器棚からは大きめの平たいお皿を二つ出してフライパンの横に置く。
ちなみにコンロの前では朱華が絶賛サラダを作り中だ。
トマトを八等分のくし切りにした後さらに半分に切り、輪切りにしたきゅうりとちぎったレタスと一緒にお皿に盛り付け、ドレッシングをかけて完成。
朱華がそのサラダとコップ、お茶を持ってリビングの方へ向かう。
俺はフライパンの蓋を開けて、良い感じに焼けているベーコンエッグをお皿に移し、そこにナイスタイミングで焼けたトーストも乗せて机に置いた。
はい、終わり。
コップにお茶を入れてテレビの電源を入れる。
「「いただきまーす」」
二人そろって手を合わせ、早速できたてのベーコンエッグから食べ始める。
うん、おいしい。
卵はトロトロで、ベーコンもほどよく焼けている。
俺と朱華は目玉焼きは半熟派なんだよねぇ〜。
このトロっとした感じがたまんないんですよ。
さてさて、お次は朱華の作ってくれたサラダを一口。
レタスのシャキシャキ感と、トマトときゅうりのみずみずしさが疲れた体によく染みる。
「あ、そう言えば、お兄ちゃん」
ふと何か思い出したように話しかけて来た朱華に、トーストを片手にニュース番組を見ながら聞き返す。
「先週お兄ちゃんが帰ってきた少し前に、すごい大きい音しなかった?こう、何か爆発するみたいな」
「ぶふっ!?」
思わずむせてしまう。
ちょっと待って、それってもしかしてあの悪魔との戦いでコンクリートが爆散した時の轟音か?
あれ、おかしいな。
花恋は魔力結界で覆ったから、大丈夫だって言ってたけど・・・・・・。
後で聞いてみよう。
てか何で一週間経ったこのタイミングで言ってきたの?
「あの時はウトウトしてたから、寝ぼけて聞き間違いなんじゃないかな〜、って思ってたんだけどさ。でも今思い返すとなんか明らかに雰囲気もおかしかったし、ちょうど良かったから聞いてみたの」
「・・・・・・・・・・・・・・・うんまぁあれだ、気のせいじゃないの?」
「えー、絶対そんことないと思うんだけどなぁ。だってものすっっっごい大きな音だったんだよ?」
「でも、それだったら今頃大騒ぎになってるはずでしょ?今のところそう言うのも無いし」
「そうだけどぉ・・・・・・」
どこか釈然としない様子でベーコンを咥える朱華だったが、やがて別の何か思い出したようにあっ、と声を上げた。
顔が青ざめていることからかなりやばい事のようだ。
「来週提出の課題終わってないんだった・・・・・。お兄ちゃん、食べ終わったら教えてくれない?」
「うん、いいよー」
ふぅ、何とか誤魔化せたかな?
最後まで残っててくれた課題に感謝しなくては。
まぁギリギリまで課題やらないのはどうかと思うけどね。
残りのトーストを口に放り込んで、使い終わった食器をシンクに下げて洗い、いつの間にか課題やノートを持って来ていた朱華の横に座る。
えーっと、数学か。
「この図形の問題なんだけどね、途中までは出来たんだけど、ここから先がどうやったら良いか分かんないの」
「あーこれはな、問題文に辺ABの中点は"M"ってのがあるだろ?そこから真っ直ぐ線を引いて・・・・・・・」
「ふむふむ、なるほど。て言うことはここに線を引けば・・・・・・」
「お、正解したな。よく出来ました」
よしよしと頭を撫でると、にへーっ、とほおを緩ませて嬉しそうな笑顔を見せる朱華。
何だこの可愛すぎる生き物は!
我が妹ながら末恐ろしい。
「うん、ありがと!そしたら次の問題なんだけど・・・・・・・」
「あー、難しいよねぇ、これ。この点の位置が大切なんだけど・・・・・・」
その後も朱華が分からない問題の解説を繰り返すこと約一時間。
溜まっていた課題は終わったらしいので、二人でゲームを始めていた。
やっているのは有名なレースゲームである、マ◯オカート。
俺が使っているキャラクターは、赤色帽子に青色のオーバーオールを着た主人公のおじさんで、朱華は二等身のピンクキノコだ。
テレビに接続できるゲーム機器なので、テレビの大画面で熱い兄妹対決が繰り広げられていた。
「んなっ、なんてことするんだ朱華!目の前でアイテムボックス取るなんて!」
「ふふんっ、一位はいただいたよお兄ちゃん!」
「ふっ。甘いな、甘いぞ朱華!このショートカットをキメれば・・・・・・!」
「あっ!ちょ、うそぉ!?」
「よっしゃあ!」
「そんなぁ・・・・・」
俺は片手でガッツポーズをし、朱華はガックリと肩を落とす。
画面の中で、最後の最後で大逆転を演出したおじさんが観客に向かって手を振っていた。
「むうぅ、次は負けない!」
「のぞむところだ!」
朱華はこう見えても負けず嫌いなので、次やる時は必ずと言って良いほど強くなってくるのだが、まだ勝率は俺の方が高い。
ゲーマーの意地で、負けるわけにはいかんのだよ。
まあ今後どうなるかはわからんが。
それはさておき、次のレースに移るためにそれぞれコースを選択し、ルーレットが始まる。
ピンポーン。
「お?」
家のインターホンが鳴った。
なんだろ。
「もー、せっかく良いところだったのに。お兄ちゃん、私見てくるね」
「あいよー。一旦ホーム画面に戻しとくね」
朱華がリビングを出て玄関に向かっていくのを足音で感じながら、コントローラーのボタンを押してホーム画面にする。
宅配で何か頼んでたっけなぁ〜・・・・・はっ、この前アマ〇ンで買ったグッズの数々か?
いや、でもこれ頼んだのは昨日だし、それにしては早すぎるよな。
朱華も心当たり無さそうだったし、きっと父さんか母さんのだろう。
「「えっ!?」」
しかし、ガチャっとドアが開く音がしたと思ったら、続いて重なった大きな驚きの声が廊下に響き渡った。
うん!?今の声って・・・・・・・!
コントローラーをソファーに投げ捨てて、急いで玄関に行く。
そこでは、ドアを開けた体勢で固まる朱華と、これまた開いたドアの前で固まる花恋が、互いのことを呆然と見つめ合っていた。
・マ◯オカート・・・・任天堂様のゲームより。
いいわけです!
実は、投稿予定日には仕上がってたんですよ。
でもちょっとした手違いで、書いたやつが全部丸ごと消えちゃって・・・・・・。
あの時はやばかったです、はい。
近くにいた人に話しかけられるまで、ずっとフリーズしておりました。
もう二度とあの絶望感は味わいたく無いですね・・・・・。




