まるで緑の
Martha Argerich play Chopin "Polonaise N°6 l'heroique"
を 聴きながら
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まるで緑の海の中を縫うようにすすむ。あんなにはるかとおくまで草の生い茂る様は、まるでどこまでものみこまれそうな緑の海。渦になってずぶりとしずまされそうだ。それとは、どこまでも続く緑の砂漠。言い得て妙に思えて。かれらは雑草として、この畑を緑の砂漠のそれにかえてみせて。途中から、何故ぼくは、このようなことをしているのだろうか、と思えてくる。そのうちぼくの視界には、生き生きと生い茂った新緑の草。草とともに風に吹かれて。一体化しそう。それともぼくがのみこまれて?
薄い水色の空と風がそのうち黄味の強い赤味に染まる頃には。ぼくの心はすっかりそこにのみこまれおおわれていよう。とけそうなその熱を含んだ空気に呼吸とともに閉じ込められ、もっていかれた。