表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/9

妻達の戦争

アドベンチャーファミリーって映画が昔あって、大好きでした

フロンティアシティに出かける夫を子供達と3人で見送ると不安だけが残った

隣領のブロッケン領と戦争になった為にフロンティア領軍は前線に移動

最前線で使う防御壁を作る為にフロンティア領民に領命で成人男性の協力者が募集された

報酬も出るし、働いてる間の食事も出るから行ってくる、夫はそう言って出て行ったが残された者はたまった物では無い

これからの畑の事を考えていると家の外に車の止まる音がした

窓から外を見ると斎藤さんだった

子供達は斎藤さんを見ると家から飛び出して


「爺ちゃん!」


そう言って車から降りてきた斎藤さんにまとわり付く


「2人とも、デカくなったなぁ!」


斎藤さんはそう言いながら2人の頭を撫でていた


斎藤は数年前を思い出す、フロンティアに駐在さんの桜とオタ、そして現場監督の3人に熊先生と連れてこられてこの農場に案内された

最初は異世界に戸惑ったが痩せた土地に住む痩せこけた子供達を見て、幼い時に死んだ妹を思い出した

戦後間もなく、何も無い時代に栄養失調で死んだ妹

次の日にはトラクターと肥料を持ち込んでここの畑を耕していた

自分の畑から獲れた野菜を持ち込んで

ジャガイモ、人参、タマネギ、など植えた野菜の食べ方を教え、モヤシやカイワレ大根の栽培キットを持って来て植えて育てた


今では畑も増えて、麦やトウモロコシなども育っている


家の中でお茶を貰いながら、フロンティアシティに行った後、人手が必要な畑は無いか視察に訪れた事を言い


「他も任されているから、遠慮なく言ってくれ」


そう言って何か困った事や、わからない事が無いか聞いて見た


「収穫の時期と人手の手配、あと害獣がたまに来ます」


そう聞くと斎藤さんは


「収穫の時期はワシも見に来るわ、収穫はギルドで人手を募集しよう」


この家は銃はあったかな?そう聞かれたので

奥の部屋からウィンチェスター ライフルを取ってくる


「撃ったことは?」


そう聞かれたので、無いですと答えると


じゃあ外で練習するか、そう言ってお茶を飲み干すと立ち上がった


アニーはウィンチェスターライフルのレバーをスライドさせて薬室に弾を送ると標的に置いた空き缶に狙いを付けた

右腕の付け根に銃床を付けると脇を締めて固定する


「ゆっくり絞る様に引き金を引くんだ」


斎藤さんにそう言われて引き金を絞る

パンっと音が鳴って右肩に振動が走る


「そのまま何発か撃って見なさい」


斎藤さんにそう言われて何発か撃った後にサイト調整をすると空き缶に当たった


「これで良い、旦那が来たらまた調整すると良い」


それを見ていた子供達のうち兄のハックが撃ちたいと言い出した


斎藤さんはハックの方を見ると


「今から言う事を守ると誓えるか?」


そう言って、銃は親に言ってから触る、人には遊びでも向けない、向けたら絶対に引き金を引く、この三点を誓わせた


「人に向けるって事は反撃されて撃たれても文句は言えない、動物もそうだ、」


誓えるか?そう言われてハックは躊躇ためらった後に頷いた


「母ちゃんとマーガレットが危なかったら、俺が守る」


真剣な目でそう言うハックにアニーは何も言えなかった


斎藤さんはハックに装弾の仕方、撃ち方、安全装置の掛け方を教えると、妹のマーガレットにやってみるか?そう声をかけるとマーガレットは


「あたしは無理、引き金を引ける気がし無い」


そう答えたマーガレットに斎藤さんは


「それで良い、無理はしないで良い」


そう言って笑っマーガレットの頭を撫でていた



その日の晩にそろそろ寝ようかと思っていると外で物音がした、窓から外を見ると一匹の魔狼が外に居た


魔狼、狼が魔石の影響で大きく凶暴化した魔獣、それは魔石山脈から流れてきた、はぐれ狼の様だった


アニーは子供達をクローゼットに押し込み、外に出ない様に言うとウィンチェスター ライフルを持って窓に駆け寄る


そっと外を見ようと窓に顔を近づけた瞬間


魔狼の頭が窓から飛び込んで来た、慌てて窓から離れた時に足を滑らせて床に転がる

転がった瞬間、ウィンチェスターライフルが手から離れた、魔狼は窓から入ろうとするが身体が引っかかって中には入れない

その間にアニーは銃を取ると魔狼に向けて引き金を引くが何も起きない!


絶望感に襲われるアニーにハックの声が飛び込んだ


「母ちゃん、レバー!レバー引いて」


慌ててレバーを引いて薬室に弾を送ると魔狼に向かって引き金を引いた


パンッと音がして魔狼に当たったが、魔狼はさらに暴れて中に入ろうとする


アニーは夢中になってレバーを動かして魔狼を撃つ、そのうちの1発が偶然にも魔狼の目に当たった


キャンっと魔狼は悲鳴をあげると窓から離れて家から離れる


アニーは窓に駆け寄ると夢中になって魔狼を撃った


身体に数発の拳銃弾を受けて魔狼は仰け反ると、魔石山脈の方に逃げて行った


アニーはその姿を確認すると子供達に駆け寄った


「母ちゃん!」子供達がアニーにすがりつくとアニーは子供達と一緒に泣き出した


怪我をした魔狼は魔石山脈の方に向かって逃げて行った、その魔狼を魔石山脈から降りてきた濃い霧が包むと、魔狼の姿はいつのまにか消えていた


翌朝、斎藤さんがアニーの牧場に着くと壊れた窓と地面の血の後に気が付いた


「皆んな無事か?」


斎藤さんがそう言ってドアを叩くと憔悴したアニーが出て来た、そして昨夜の事を聞くと

車の無線で街の農協(JA)に警察に連絡してもらった


街からはランパトカ(ランクルパトカー)に乗って桜とオタが来た


「災難でしたね、警察からギルドに連絡して山狩りをします、斎藤さん達、猟友会にも協力を求めて対処しますから」


安心して下さいね、桜はそう言うと警察分署に連絡して山狩りを行った

結果、魔獣を何頭か駆除したが目に傷を負った魔狼は見つからず山狩りは終了した

戦争は男達を戦場に送ります

でもその後残された女達もまた大変なんです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ