表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君との距離の概算  作者: 秋月周夜
2/2

日本の現状

4月1日


国立修仁学園高校。それは東京湾に面して作られた、学園都市全体を指す。

2117年、政府は日本のリーダーの養成を目的としてこの学園都市を設立した。下降の一途を辿る世界における日本の大学ランキングは勢いを増しており、日本のトップである東都帝国大学通称「東大」が遂に100位を下回ったと先日騒がれていた。


外交ではアメリカを始めとする先進諸国に丸め込まれ、日本人によるノーベル賞獲得も長らく聞いていない。政府はこの現状の原因の一つに「少子化による競争力の低下」を挙げた。100年くらい前は大学、就職試験の倍率が高く、自身の希望を通すには相当の努力が必要だったと聞くが今は違う。希望すれば名前を書くだけで相当の大学には入れるし、就職も引く手あまたである。これではクオリティが下がるのも必然。世界においていかれるわけだ。


そんなことを考えながら、教室の隅から外を見ていた。校舎全体を囲っている無機質なコンクリートの壁が日の光に反射しキラキラ光っている。さすが新設。机、黒板いたるとこまで新品だ。

8:45分教室のドアが開く。30代前半であろうか、長い黒髪を後ろで束ねた細身であり背の高い(がでるところはでている)女はスーツに身を包み入ってきた。それまでザワザワしていた教室に静寂が訪れる。


「あー、落ちこぼれ諸君おはよう。私が君達のクラスを受けもつ滋野井だ。3年間宜しく」


滋野井と名乗るその女性は、僕たちを一瞥し、フンッと鼻を鳴らした。一瞬の沈黙のあと、前に座っていた金髪の男子が椅子を突き飛ばして立ち上がり。


「おいってめ!開口一番落ちこぼれってどういう了見だよ!!」


凄い剣幕だ。が、彼が疑問も分かる。学力至上主義を標榜していた筈のこの学校の入学試験にはペーパーテストが無かったのである。その代わり面接が30分と長い時間あったがそれだけだ。このことは試験前に公表されてなかったため、多くの受験生が戸惑っていた。


「おー怖い怖い。お前みたいな学生が上のクラスに居なくてホッとするわ。ま、かくいう私も面接試験だけの入試には反対してたんだ。でもしっかりふるい分けられてるみたいで、よかったよかった。」


手を叩きながら、笑顔でそう答えた。

散々煽られた彼はというと、顔を真っ赤にし、教師の胸倉を掴む。右腕を振りかぶる。一部の女子が短い悲鳴をあげた。


「いいのか、手を出して。お前退学になるぞ」


金髪を直視し、冷たい目で短く言った。

退学という言葉に一瞬体を震わせた金髪は、握り拳を解き胸倉を離すと、舌打ちをし、席に戻った。

再び訪れる静寂。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ