二
『あ~、そーゆーことか…』
俺はいま、校舎裏に来ている。
先程の三つ編みと黒髪の喧嘩の原因を見に3日前に戻ったのだが…これは酷い。
「無理ならいいよ?その代わり加賀橋さんを泣かせる事になるけどね」
「そんな…」
校舎の裏では、三つ編みの子…中川瑠璃 それと同級生の横山悟が人目を避けるように密談中だ。
「ねぇ、どうするの?するの?しないの?」
横山悟は心底楽しそうな表情で耳まで赤く染めた中川瑠璃の顔を除き混む
「し…ます」
「え?聞こえない」
「キス…しますから…」
そう言って中川瑠璃はふるふると震えながら目をつぶった
事の発端はここからさらに数日前、黒髪ちゃんこと、加賀橋明美がずっと想いを寄せていた横山悟に告白するため、手紙を渡した。 まぁ、ラブレターってやつだな…そのラブレターを受け取った横山悟は…加賀橋明美の親友である中川瑠璃をここへ呼び出したのだ。「俺さぁ、ずっと中川の事可愛いなぁって思ってたんだよ…俺とキスするなら加賀橋と付き合ってもいいよ?」校舎裏に来た時の横山悟の第一声はこれだった。その言葉を聞いた中川瑠璃は「そんなことできない!」と青ざめた顔で首を横にふったが、次の言葉で決心せざる終えなくなった。「そっか…残念だな…」わざとらしく溜め息を漏らしながら学生服のポケットからおもむろにスマートフォンを取り出す横山悟、「実はさ、この手紙…写真撮っといたんだよ。さてと…誰に送ろうかな~」画面と怒りで真っ赤になった中川瑠璃を交互に見ながらニヒルな笑顔を見せる横山悟は実に楽しそうだった。
「そうそう、最初から素直に従ってれば良かったんだよ」
そう言うと校舎の影に目をやったあと、中川瑠璃の唇に自分の唇を重ねた。
『ん?』
その行動を不振に思った俺は、校舎の影に向かった。
『おいおい…まじかよ』
俺がそこで見たのは、二人と同じ学生服に身を包んだ男女3人。その全員が持ってるスマートフォンの画面には…横山悟と中川瑠璃のキスシーンがバッチリアップで写っていた。
怒りで真っ赤になってるはずの中川瑠璃の顔は写真だけ見れば、照れて赤くなってるようにも見える、もしこれを他人が見ればどう考えても脅されてキスしたとは思わないだろう…。