入組者(another)
歩いていた私を追いかけてきたのは一人の少女だった。
見ただけでひどく離れているところから少女は迫ってくる。
私はなぜ追いかけられているのかは分からなかった。
もしかしてこの姿を映したモノの親なのだろうか。
姿をそっくりにしてしまい、今の私は間違えられてもおかしくないだろう。
考えてる間に少女は私を抱えていた。
よく見てみると遠くにだがまだ2人いるようだ。
見た限り親ではなさそうなのだが、私を捕まえ
る理由がわからなかった。
「耳も垂れてるしこの猫だろ。」
遅れてきた少女の一人が言った。
どうやら姿を写した猫が探し猫だったのだろうか。とんだ失敗をしてしまった。
私は抵抗できないまま連れていかれることになった。
つぎの日、依頼主であろう娘がやってきた。
しかしそこには姿を写した猫がいた。
やはり探し猫だったらしい。
しかし依頼主がいなくなった以上私はどうなるのだろうか。
このまま逃がされるのもいいがのし少女達はあの新撰組らしい。私を追っている妖から守ってくれるかもしれない。
ここは身を隠させてもらうとしよう。
「えーと……」
前髪が長い少女が私の前でなにか悩んでいる。名前か?
それならなんでもいいだろ。この袋の中に入っているものでもいいか、これをもっていこう。
袋を渡すと少女は中から色とりどりのトゲのあるものを出した。
私はそれを口に含んだ。
固いが甘い。美味しい。
「よろしくこんぺいとう。」
どうやらこれはこんぺいとう、というらしい。
悪くない。ここにお世話にさせてもらうことにした。
私はここでしばらくいさせてもらう。
そう思うと私の二つに別れた尻尾が嬉しそうに揺れた。