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願いが叶った女  作者: 花梨
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№3

日差しは暖かだが汗ばむ程ではなく心地よい。

木々は青々とその枝に瑞々しい青葉を乗せ、地上は美しい花々で彩られていた。

生命の息吹が満ちている、きっと季節は春。




和やかな室外とは違い、喧騒としていた神降殿内部。

三人の嫁候補の異世界人は三人が三人、最初に叫びまくりその後、頭が混乱するのか泣き出しあげくのはては敵意剥き出しの視線を向けては怯えたように震えていた。だが時間が経つに連れてその様子も少しばかり変わってきていた。


それもそのはず、誰でもそうするはず、まったく違う世界へいきなり連れてこられたら誰だって鳴りうる事、しかも三人という人数が心強いのか話しをまったく聞こうとはしない。聞くどころが少しは黙ってくれと言いたくなる程にそれぞれが自分を元の世界に戻せと言い張り聞く耳すらない。

神官達が『神のお告げによって導かれた』と何度言っても理解しようとはしない。




その様子を静観していた王がゆっくりと立ち上がる。

召還された女性の元へと歩いていく、それに気づいた回りの者達が王の為に行く手を開けていく。

三人の女性達も大物登場の雰囲気に圧倒されたのか急に黙り込でしまった。




「私はこの国の王である。身勝手にそなた達をこの世界へと呼び寄せた事許してくれ、これも我が世界の神のお告げによりしたことなのだ…。受け入れがたい事だと言う事もわかっておる。だが…、元の世界へ戻す事はできない。現実を受けとめこの世界に一日も早く慣れる事を願っている。」


それだけ言うと後ろに控えていた宰相へと何かを耳打ちした。

宰相が王に変わり三人の前へ出て行く。


「突然の事にお疲れになられた事でしょう、部屋を用意しておりますのでそちらで今日はゆっくりとお休みください。明日以降の事は明朝にお知らせ致しますので、それではご案内致します。」


数名の騎士が、三人の女性を案内して部屋から出て行った。

最後まで何か言いたげに振り向き振り向きしながらも、三人の女性は渋々従ったのである。





「あら…、王子そちらの方は? 」


「はい? 何でしょうか?」


王妃が視線を王子の隣に向けていた。その視線をたどるように王子が自分の横を確認した。


「!!!!!」


何気なく向けた先をもう一度確認するかのよう二度目は完全に隣を向いていた、王子の冷めたような瞳が大きく開かれ、驚いたのか椅子から思わず立ち上がったようである。


「床で寝るにはまだ肌寒いのに…。大丈夫なのかしら?」


近づく王妃を手で制しては、剣を抜き床に倒れている者へと剣先を向けた。

いつのまにか隣に来ていた王が王子と同じように驚いたように目を大きく開いては王子と目をあわす。


「もしや……四人目の召還者か?」


王の低い声が王妃と王子に問う。


「そのようですね…、変わった服装をしているのがその証拠でしょう。」と王子が言う。


「何か上掛けをかけてあげないと……。寒そうですわね…。」と王妃。


「なぜ四人目が……。それもこんな場所に……。」


「魔力が集中していた場所からは離れているというのに……。」


「王子、上着を脱ぎなさい。早く。」


王との会話に集中している王子は王妃に言われるがままに上着を脱いでいく。


「寒いのにごめんなさいね、こんな物しかなくて…。」


床に倒れこんだままの人物に言葉をかけながら上着をかけてやる王妃。



宰相が王と王子の会話に入り込む。


「この者はいったい……。神官長どう言う事ですか?」


呼ばれてやってきた神官長が倒れている者を見て驚いたように口を開けている。

眉間に皺を寄せては分からないと言うように首を横に振っている。

宰相が近寄り何かを確認した後振り向き


「意識を失っているようですが、息はあります。」


「医師の手配を、それにいつまでもこんな床に寝かせておくのは可愛そうですわ…。私たちの手違いにて異世界より呼び寄せてしまったのなら……、なんと申し訳ない事を……。まだ…幼いのに……。」


手をぎゅっと握り締めていく王妃であった。


「それでは部屋は…、三人の異世界人と同じく後宮に準備いたします。」


「陛下…私のそばでは駄目でしょうか?」


「王妃…、それは無理だ…。お前はこの国の王妃なのだから…。」


王妃は自分が我がままを言っているのはわかっていた。それでもこの少女が心配でならなかった。


「わかりました…、三人と同じように手厚く世話をするように、それから…怖がらせない為にも待女の選択は考慮してあげてくださいね…。意識が戻ったらきっと…、この状況に混乱する事でしょう…。」


王妃は辛そうな表情で床に倒れている少女を見ていた。まるで何かを思い出しているような顔であった。





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