恋とトモダチ
ああ、いいなあ。このみんは、いいなあ。
あたしは、タカノ君の前にいるだけで心臓がバクバクして、逃げ出したくなるのに。
このみんは、簡単に笑い合ってる。
いいなあ。
セノウエ君とは、話しても何ともないのになあ。
「ねえ、このみん。」
「晴香。」
「あたし、告白するべきかなぁ。」
「さあ・・・。でも、まだ早いんじゃない?」
このみんは、いつもそういう。
あたし、このみんは、タカノ君が好きなんだと思う。で、セノウエ君はこのみんが好きなんだ。
タカノ君、は。
「タカノ君、このみんのこと好きなのかなぁ・・・」
「違うから。」
これも、いつも。
このみんは、しっかりした顔でいうから。
うたがえないもん。
でも。
でもね。
こんな風にしてて、いいのかな。
このみんは大丈夫っていうけど、タカノ君好きな人いっぱい知ってるし。
どうしよう。
「ねえ、野々宮さん。」
「なあに、亜矢ちゃん。」
理科室で、話しかけられる。
「あたし、高野に告ったんだ。」
「・・・・。」
うそ。うそ、うそ、うそ。
亜矢ちゃんはまだ、しないって・・・!
「断られたけど、まだあきらめないつもり。」
断ったんだ、タカノ君。
ことわったん、だ・・・。でも、だけど。
あたし、このままじゃ、後悔するんじゃない?
あたし、このままじゃ、終わっちゃうんじゃない?
あたしの・・、わたしの、恋。
終わらせて、いいの?
「晴香。」
「このみん。わたし、おわらせたくない。おわらせたく、ないの。」
「え!?」
「告ってくる。」
「ちょ、な、待って!」
「・・ごめんね、このみん。」
「!!」
このみんは、すっごくびっくりしてた。
ごめんねってつぶやくと、目をいっぱいにひらいてた。
やっぱり、っていう思いと。
それでも、っていう思い。
「タカノ君!!!」
わたしは、叫んだ。
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あのこは、いつのまに、「わたし」っていうようになったんだろう。
いつのまに、大人になっていたのだろうか。
気になるのは、最後の言葉。
「ごめんね、このみん。」
どういう、いみなの?ねえ、あなたは全部知ってるの?
私の、気持ちも。
私の、好きな人の、きもちも。
ねえ、教えてよ。
「晴香・・・。」