Episode 7「出張!グルモス亭 in ウルトラ司令部!? 提出された“料理危険度レポート”とは!」
「報告書を……もう一度、読んでくれ」
会議室の空気が、微妙にぬめっている。
ウルトラ司令部・上級審議官アクエリアスが深いため息をついた。
目の前で報告書を朗読しているのは――ヴァルナ。
【報告書抜粋】
“当該怪人グルモスは、筋肉の質が高く、戦闘力はS-クラスと推定。
しかし最大の脅威は、彼の料理スキルにある。
「ぬるん」なる禁忌級食材を極め、相手の警戒心を完全に蕩かす可能性がある。
私自身も、気づけば笑顔で完食していた。
非常に危険。再接触要注意。”
「……で?」
「だから! 危険かもしれないでしょ!? 魅了系かもしれないし!!その……笑顔にさせるとか、変じゃない!?」
「……君が満面の笑みで“もう一度あの三種盛り食べたい”って呟いていた映像も、ちゃんと録画されてるよ?」
「なーーーーっ!!!」
結論:
司令部は、グルモスを“監視対象レベル3”として一時保留。
ただし、「判断のために試食審査を行う」ことが決定される。
【数日後:グルモス、ウルトラ司令部訪問】
前代未聞。
銀河最大の軍事組織が、一介の料理怪人に試食会場を提供するという異常事態。
司令部の巨大ホールにて。
正装したウルトラヒロインたちと審議官、衛兵までもが着席し、
「本日の試食料理:“星塩とぬるんの四季盛り”」と掲げられたプレートを前に――
グルモス、登場。
「よっ。お高くとまった食通共。
今日は黙って、俺の“平和の味”を食って帰ってもらうぜ」
【メニュー:星塩とぬるんの四季盛り】
春:銀河苺とぬるんの花香和え
夏:ぬるん冷汁の冷たい一杯
秋:星塩で寝かせた蒸し鶏のぬる巻き
冬:温ぬるんのとろとろ小鍋仕立て
試食が始まる。
……一口目、春。
審議官たちが無言になる。
次、夏。
涼やかでほんのり香ばしい喉越しに、皆、目を閉じる。
秋、冬――
「……審査不能です」
「はい?」
「全員……笑顔です。議論になりません」
司令部、結論を出す。
“この怪人グルモスは、暴力ではなく、味覚によって銀河を制す可能性がある。
よって――危険度ではなく、**要交渉指定(Diplomatic Engagement)**と認定する”
つまり――
“お前、料理で宇宙外交しろ”ってことだ!!
あかん。ヒロイン網から逃げるぞ。