Episode 50「本日のまかないは“今日も元気なうどん”――スパイダー公爵、初挑戦!!」
その日の朝――
スパイダー公爵、厨房にて緊張の面持ち。
グルモスが指差したのは、野菜の山と麺の山。
グルモス:「今日は“まかない”を任せる。テーマは“元気”だ」
スパイダー公爵:「元気……という名のエネルギー……それを“うどん”に……詰め込めと……!?」
彼は考えた。
「美しい盛り」「構築された味」「芸術的演出」……
それを詰め込んだ、壮麗なる“ビジュアル系うどん”を設計開始。
しかし――
・うどんが絡まってスパゲッティ化
・盛り付け時に器が倒れて噴水事故
・温玉が爆発して天井に貼り付き
・最後に出汁に香水を入れかける(寸前で止められる)
グルモス:「お前、“元気”の意味を見失ってるぞ」
スパイダー公爵:「ぐっ……私は……料理において、見た目と理論を優先しすぎて……“誰のため”を忘れていたのか……」
そのとき、外の席でヒロイン候補生・ルーナがふらりと来店。
まだ眠そうで、ぐったりしている。
グルモス:「……あいつに食わせる“元気”を作れ。
言葉もいらん。ただ“うまい”だけで目が覚めるやつだ」
公爵、深呼吸。
鍋を取り、具材を見直し、
初めて**“計算ではなく、想像”で手を動かす。**
【公爵のまかないうどん】
ふわ玉と銀根の“おはよううどん”
出汁は朝摘み銀根の甘みを活かしたやさしさ重視
ふんわり火入れした月卵をとじ、朝の空気のような香りに
麺はすこし柔らかめ、でもコシの残る仕上がり
上には刻んだ漬物を少し添えて、味に“目覚まし”を。
ルーナ:「……これ……うま……
なんか、がんばれそう……」
グルモス:「うどんは“食う側”の朝を想像できた時点で、勝ちだ」
スパイダー公爵、黙って一礼。
「……今日、初めて、“料理が芸術”じゃなくて、
“誰かの一歩”になるってこと、わかった気がします……!」
【店内・応援ボソボソ団】
スビョーン:「公爵、やっと“食わせるために作った”な…」
ピヨヨヨ:「あれは“まかない”じゃねぇ。“エール”だよ」
ゴローニャ:「もうちょいで泣きかけた…くそ、うどんで泣くとか…」
次回予告
Episode 51「本日のメニューは“冷やし銀河そば”――新たな来客、“水系ヒロイン”現る!?」
蒸し暑い惑星から、ふと現れた冷静沈着なヒロイン。
彼女が求めたのは、“涼しさ”でも“栄養”でもない――“信じられる味”。
グルモス、次なる挑戦は“冷たい一杯”!!




