表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/50

Episode 5「宇宙街道の謎市場と、“ヌルッとした新食材”との遭遇」



惑星間を結ぶ宇宙街道の中心――ヴァルザバザール。

銀河中の食材・素材・違法なモノまで何でもそろう、混沌の巨大市場。

今日もグルモスはフライパン背負って歩いていた。


「ふむ……次は何か“のどごし”で攻めてみてぇな」


そう呟きながら露店を眺めていたその時、妙に目を引く看板があった。


“幻の滑潤食材! 一口で恋に落ちる! 新触感『ぬるん』あります”

(……ぬるん?)


看板の下にいたのは――

透明なスライムの体に、シルクハットと蝶ネクタイをつけた、やけに紳士的な怪人。


「ようこそおいでくださいました。あなたの舌に革命を――“スラ・ルジェール”と申します」


【食材:『ぬるん』】

見た目:半透明の粘膜状。微弱に発光しており、常にぷるぷるしている。

食感:未知のぬめり。噛むたびに風味が変化する。

効果:喉ごしがあまりにも良すぎて、呼吸を忘れそうになる。

正式名称:ぬるぬる神経藻の発酵体。旧文明では「神のゼリー」と呼ばれた。

「この食材、まだ誰も“料理”として仕上げたことがありません」


「……誰も調理してねぇもんを、売ってんのか」


「その挑戦こそが“価値”ですから。あなたなら――やれると見ました」


グルモスは一瞬、鋭く目を光らせた後、ニッと笑った。


「面白ぇ……受けた」


【調理スタート】

使うは:


星塩で水分を引き出し、食感の芯を調整

冷熱制御で“二層構造”を形成

表面に香草のエキスを微細ミストでまとわせることで、口に入れた瞬間の香りを最大化

名付けて――


「銀河ぬるんの冷香蒸し」

一口。

それは、舌に乗った瞬間に体温で溶け、喉を滑り抜けながら七色の旨味を解放する。


「……ぬるっ、うまぁ…なにこれ、え、え?」


通りすがりの客が一口食べて崩れ落ち、うずくまったまま立ち上がらなくなる。

笑顔で、だらしなく。

スラ・ルジェールは目を見開いた。


「これは……! これが“料理”…! 我々スライム族が何千年も夢見た、“ぬる”の完成形…!!」


「よぉし、次はこの“ぬるん”でコース料理、組んでみるか――」


グルモスの脳内では、すでに“ぬるん懐石”のメニューが組み上がっていた。

食感革命は、もう止まらない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ