Episode 47「本日のメニューは“蜘蛛の糸のアミューズプレート”――美食怪人スパイダー公爵、敗北の晩餐」
昼下がりのグルモス亭。
いつもより、やや香水くさい風が入ってくる。
コツ…コツ…と、気取った足音。
現れたのは――
スパイダー公爵。
複眼のマスクに、ベルベットのマント。
常にオペラ調で喋る。
自称“銀河美食界の審判者”。
「料理は芸術! 味とは理論!」が口癖。
スパイダー公爵:「グルモス殿、拝見仕る。
銀河各地で噂されるその料理、果たして私の“美舌”に通じるかどうか……ふふ、愉しみだ」
グルモス:「……厨房にしゃべる奴は入れない主義だ」
【本日の一皿】
蜘蛛の糸のアミューズプレート
極細銀根パスタの冷製糸仕立て(=蜘蛛の糸)
宇宙海藻キャビアと銀塩マリネで組んだ一口オードブル
ミニトマトコンフィの“赤い爆弾”が後味に炸裂
見た目の美と味覚の設計が、“一口で崩れる理論”
公爵、まずは講釈。
スパイダー公爵:「ふむふむ、なるほどこのビジュアル……
塩の並べ方に若干の未熟が……いや、あえての乱調…?いやしかし――」
パクッ。
………
…………
スパイダー公爵:「……っ………………
……くっ………な、なにこの繊細な……
口内、絹糸舞踏会――!!!!!!」
(椅子から落ちる)
一口で崩壊。
講釈全消滅。
スパイダー公爵:「敗北……だと……!?
私の理論が……この味に……及ばぬ……だと……ッ!!」
立ち上がり、正座。
「グルモス殿! どうか私を……
弟子にしてくださいッッッ!!!!」
グルモス:「厨房にはもう弟子がいる。
けど……皿洗いは足りてねぇ」
スパイダー公爵:「喜んでぇぇええええ!!!!」
【店内・爆笑ボソボソ大会】
スビョーン:「皿洗い確定……あんなキザでも?」
ピヨヨヨ:「あいつこの後ずっと“美しき残飯の配置”ってメモ取ってたぞ…」
ゴローニャ:「グルモスに出会ったら、“うまい”の前じゃ全員素になる。あれ、法則だな」
次回予告
Episode 48「皿洗いの日常、そして――“料理怪人の弟子、爆誕!?”」
公爵、早速グルモスに振り回される。
野菜の皮むきで哲学を叫び、出汁の香りで失神。
だけどそこに、“料理を作る理由”を見つけ始める――。




